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迷宮と掲示板 改稿版  作者: Bさん
5章 闇と墓の迷宮
76/88

58話

「あー、効くぅ……」

「ここですか?」


 訓練を終えて、ベッドでパステルからマッサージを受けている。あの後、ネクに追い回されて全身の筋肉が疲労でやばい事になっていた。

 明日の探索に影響しないよう、マッサージをしてもらう事になったのだ。そろそろ全力で長時間動くには、辛い年齢だなぁ……。

 パステルのマッサージは、大部分はしっかり効果がある様に見えるのだが、稀に股間や尻に手が伸びるのは勘弁して欲しい。

 その度に突っ込みを入れて阻止をしているのだが、そのまま放置したらどうなるのだろうか。


「はい、終了です。しばらくお休み下さい」

「ありがとう。大分体が軽くなったよ」


 上半身だけを起こしてパステルに礼を言う。

 マッサージなんて数年ぶりに受けたが、やっぱり良いものだな。これからもたまにお願いしたくなる。


「スズキさん、相談があるんだけど」

「コク、そんなに慌ててどうしたんだ?」


 パステルと軽く雑談をしていたら、コクが部屋に勢い良く入ってきた。

 いつもの事ではあるが、もう少し落ち着いて欲しいと思う。


「主様、私はネクに聞きたい事があるので……これで」

「ああ、マッサージありがとうな」


 パステルはそう言って部屋から退室する。ネクに聞きたい事とは、恐らくあの詠唱予約の件だろう。事前に魔法の詠唱を終えておけば、先制を打つ時に便利だと思う。

 退出するのを見届けた後、コクはこちらを見て口を開いた。


「スズキさん。ダーク鉱なんだけど、今の炉じゃ加工できないんだ」

「あー、そう言えば魔法銀までしか無理なんだっけか。ちょっと、PCまで移動しよう」

「うん……でも、先に服を着てね」


 そういえば、マッサージを受けていたから、下着1枚の格好だった。以前はこの姿でも真っ赤になって逃げていたのに、コクも成長したなぁ……。

 俺は服を着て、コクと一緒にPCの前まで移動した。




「炉の強化……ダーク鉱ってどんな加工をするんだ?」

「冷たい炎で溶かすんだよ」

「冷たい炎?」


 コクに炉をどう調整するのか聞いたら、聞き慣れない単語が出てきた。炎って熱いものじゃないのか?

 てっきり、もっと高い温度を出せるように調整するのかと思った。

 いや、そもそも冷たい炎って何だ?


「そうだよ。この鉱石の特徴なんだけど、マイナス80℃の温度に晒すと溶けるんだ。だから、炉の炎の温度をマイナスまで調整出来るようにお願い」

「原理は良く解からないが、マイナスね」


 拠点の地図から炉の置いている場所を選び、それをクリックする。すると、炉のバージョンアップ画面に移行した。

 そこには、温度の調整、サイズの調整などが選べるようになっている。温度をクリックすると現在調整が出来る±の最高値が表示されていた。

 マイナスを伸ばしていくと、1℃につきいくら掛かるという具合で使用予定のDPが増えていく。80まで伸ばしたら3万DPだった。

 一応、今日の売上のお陰で買えない事は無いが、また使い切る事になりそうだ。テニスラケットを買った事が悔やまれる。


「これでよしっと。マイナス80℃まで出来るようになったと思う」

「スズキさん、ありがとう。早速見てくるね」

「あ、俺も行くよ」


 設定を終えるとコクに告げる。コクは今にも走って鍛冶場へ行きたそうだったが、俺も冷たい炎というモノに少し興味がある。

 俺は、コクが慌てて走り出さないように地下へと下りて行った。この階段は、長い上に石で出来ている。足をもつれさせて落ちたら危険だ。


 鍛冶場に入ると俺は、周囲を見渡す。結構散らかっているな……。コク専用みたいなものだし、自分でやり易い配置なのだろう。出来るだけ触らないようにした方が良さそうだ。

 コクは真っ直ぐ炉の方へ器用に物を避けて歩いていく。そして、炉の近くのコントロールパネルを操作し始めた。そんな所だけハイテクなのかよ!

 常時火が点いている炉だけに、薪の量とかで火力を調整出来ないだろうとは思っていたが……。いや、便利なんだろうけどさ。


 調整で炉の中の炎の色が赤い色から青い色に変わっていく。あれ? 青い色って普通に熱いんじゃないの?

 学生の頃に使ったガスバーナーやガスコンロの火は、普通に青かった。こういう所もファンタジーなのだろうか。


「スズキさん見ててね」

「ああ、ちゃんと見ているよ」


 コクはそう言って四つん這いになりながら、鉄の棒を温度が下がったと思われる炎に突っ込む。俺はその尻を凝視しながら待つ。暫くその姿勢のまま炎の中に入れて、棒を取り出した。

 鉄の棒の周囲には霜の様な物が付着していた。空気中の水分が凍結したものが付着したのだろうか。


「本当にマイナスの温度みたいだな」

「うん、果物とかを入れても大丈夫だよ」

「へー、面白そうだな」


 もしかしたら、アイスみたいな物も作れるのだろうか。さすがに作り方は解からないが、カキ氷くらいは作れそうな気がする。

 尤も、鍛冶場の炉に入れてそういうのを作ろうとは思わないが。

 そういうのを作りたいなら、普通に冷凍庫を買った方が気分的にも良い気がする。価格は知らんけども。


「それじゃ、加工を始めるね。スズキさんは見ていく?」

「ああ、少し見させて貰うよ」


 俺がそう言うと、コクは少し恥ずかしそうにはにかむ。やっぱり、作業をしている所を注目されるのは恥ずかしいものなのかね。

 アイテムボックスから、俺たちが取ってきたダーク鉱を取り出すと加工を始める。さすがに専門的な内容なので、俺には何をしているのか全く解からない。

 鉱石の不純物を取り除いて、黒いインゴットを作っているようだ。本当に冷やすと溶けるのな。作業を始めたコクの表情は真剣そのものだ。先程までの恥ずかしそうな表情はもう無くなっている。これが職人というものなのだろう。


 いくつかインゴットを作る所まで確認すると、俺は作業の邪魔をしないように静かに鍛冶場を出るのだった。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 私がコタツの部屋に入ると、そこにはティア、タリス、ネクの3人が座っていました。全員でテレビを見ているようです。何の番組を見ているのだろう。そう思い、画面の方を見ました。そこには、料理を作る手順を説明している映像が流れています。

 ティアは、その様子をノートに真剣に書き写しています。また、新しい料理を食べられるのでしょう。本当にここの料理は美味しくて毎日が楽しみです。


 タリスは、その料理番組を凝視して、既に食べている気分なのか幸せそうな表情をしています。ネクは表情がないだけにイマイチ良く解かりません。裁縫の手を止めない所を見ると、そこまで真剣には見ていないのでしょう。

 私もコタツに入って、その番組を見ます。聞きたい事はあるのですが、さすがに見ている途中で邪魔をしようとは思いません。そう長い番組ではないでしょうし、急ぐ必要もありません。


「ネク、少し聞きたい事があるのですが、良いですか?」

『良いよ。何となく聞かれると思っていたからね』


 番組の最後の方の試食に移った所でネクに問い掛けました。タリスは涎を垂らしながらその様子を見ていますが、放って置いたほうがきっと幸せでしょう。

 魔法に関する事だから一緒に教えて貰った方が良いとは思いますが、後で私が理解した後に伝えれば良い話です。


「先程の詠唱を事前に行う方法なんですが、やり方を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」

『皆が使えるようになれば便利だと思うけど……難しいよ?』

「それは承知の上です」


 それが出来れば、かなりの戦力アップに繋がると思います。中位の魔法のように詠唱が長い魔法を事前に貯めて置けるとしたら、使い勝手も格段に上がります。

 ネクから魔法の理論を聞いていきます。ですが……。


「これは、難しいですね」

『うん、パステルなら下位の魔法を維持できると思うけど、タリスでは無理かな』


 魔法を予約してストックしておくには、かなり多くの魔力が必要になるそうです。下位の魔法でしたら、ストックするまでもなく詠唱をした方が効率が良いでしょう。

 このスキルのレベルが上がれば、消費する魔力が減少していくと聞いています。ならば、今の内から訓練しておくのも、無駄にはならないと思います。


「いずれ役に立つかも知れません。教えてください」

『私も色々と試したいから、頑張ろう』


 そこで私はネクと握手をします。確か、主様の故郷ではこうして手を繋ぐ事で、友好の証としていたと聞いています。

 今更ネクと友好も何もないとは思いますが、同じ目的を持ったもの同士やってみたくなったのです。

 

「なんだか良く解からないけど」


 そう言ってティアが私とネクの手の上に手の平を乗せました。恐らく、この姿を見て参加したくなったのでしょう。普段感情を余り出さないティアですが、仲間外れというのを嫌うようです。寂しいのが苦手なのかも知れません。


「なら、あたしもー」


 そう言ってタリスがティアの手の甲の上に座りました。この子は一体何をしているのでしょうか。そういうモノではないのですが……。

 ネクの方を見ると、苦笑しているような雰囲気が出ています。私はもう片方の手でタリスを抱えると、握手していた手を離しました。


「それでは、訓練場に行きましょう。タリス、新しいスキルの訓練をしますよ」

「え!? これからアニメが始まるんだけど!!」

「諦めてください」


 私はタリスの方を見て笑顔を作りながら言います。タリスは、諦めたようにがっくりと肩を落とす様子が見えますが、見なかったことにしておきましょう。私は、ネクとティアと共にコタツの部屋を出ました。

 ティアは、早速先程の料理を作るようで、無限箱の置き場へ歩いていきました。夕飯を楽しみに思いながら、私たちは訓練を始めました。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



雑談スレpart84


887 名前:名無しさん

あばばばばばば


888 名前:名無しさん

おい、どうした!

返事をしろ>>887


889 名前:名無しさん

残念だが手遅れだ

既に事切れておる


890 名前:名無しさん

惜しい奴を亡くした・・・

って、いつまで続けるんだよ


891 名前:名無しさん

ネタが無いんだろ

場を維持する必要がある訳ではないんだし

書き込む必要は無いんだけどな


892 名前:名無しさん

 


893 名前:名無しさん

 


894 名前:名無しさん

いや、何か書き込めよ


895 名前:名無しさん

仕方ねぇな

ネタを提供してやるよ


ゾンビ娘を使い魔にした

すげぇ後悔した


896 名前:名無しさん

おい・・・

何で使い魔にしてしまったんだ・・・


897 名前:名無しさん

ダンジョンに居る時はそんなに腐ってなかったんだよ

んで、牢屋で出したら・・・


898 名前:名無しさん

・・・解放しろよ

その娘さんもアンデッドとして復活したら

かなりショックだろ


899 名前:名無しさん

それが、凄くアグレッシブでさ

手足縛られたまま牢屋の中で暴れまくるのよ

あーあー、とか言いながら

思わずテイムって叫んじゃったね


900 名前:名無しさん

な ん で 叫 ん だ

それで感想は?


901 名前:名無しさん

腐敗が止まった

臭いは・・・まぁ、仕方ないにしても

ちゃんと命令は聞いてくれるし普通に活動してくれてるぞ


902 名前:名無しさん

その臭いが一番辛いんですが・・・

次に見た目


903 名前:名無しさん

見た目は、服を着せて化粧をすれば問題ない

たまに体の肉が落ちるのが、とってもチャーミング


904 名前:名無しさん

チャーミングじゃねーよ!!

グロいよ!!


905 名前:名無しさん

見た目だけなら虫系もきつい人には辛いだろうし

一応、人間だからマシなんじゃね?


906 名前:名無しさん

それでも臭いのはなぁ・・・

あ、香水とか使えばマシになるんじゃないか?


907 名前:名無しさん

香水なんてあるの?

って、化粧があるならありそうだな


908 名前:名無しさん

使いすぎには気をつけとけ

嗅覚が強い種族もいるから

強烈な臭いだと気絶したりするぞ


909 名前:名無しさん

嫌がるを通り越して気絶かよ

俺らと感じる感覚が違うから

相当なんだろうなぁ・・・


910 名前:名無しさん

獣系の使い魔はやばいな

逆にアンデッド系や俺らと変わらない種族は大丈夫な方


911 名前:名無しさん

うちにはウルフ君がいるから無理だな


912 名前:名無しさん

ウルフ?

ペットでも飼ってんの?


913 名前:名無しさん

ペットというより戦力だけどね

可愛いし、凄く良いよ


914 名前:名無しさん

へー、そういうのも良いなぁ・・・

でも、うちの迷宮には小型の生物は虫しかいないや


915 名前:名無しさん

人型の使い魔をペットに・・・

って、別の意味になるな


916 名前:名無しさん

既にそれは完了しているから問題ない


917 名前:名無しさん

うわぁ・・・さらりと変態発言をしてきやがった

でも、コボルトみたいなのならペットに出来るかも


918 名前:ケモナー

性欲も満たせるしな


919 名前:名無しさん

お前・・・どこにでも現れるのな

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