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迷宮と掲示板 改稿版  作者: Bさん
5章 闇と墓の迷宮
69/88

54話

「今日から5階層の攻略を始める。といっても今日は様子見だけどな。一緒に誰か来るか?」

『たまには行くよ』

「私も行く」


 いつものミーティングの時間、今日から探索を開始することを宣言する。付いてくるのは、ネクとティアの様だ。

 珍しくパステルが立候補をしない。体調でも悪いのだろうか。


「パステルは行かないのか?」

「……はい。恥ずかしながら昨日のテニスで体を酷使し過ぎたようです」


 早い話、筋肉痛と。後衛があそこまで全身を使って運動をする事はないだろうしな。

 本当に酷いテニスだった……。


「それじゃ、ゆっくり休んでいてくれ。ネク、ティア行こうか」


 そう言って、俺たちは立ち上がる。パステルだけはテーブルに突っ伏したまま動かない。そんなに酷いのか。

 帰ってきたら湿布とか買ってやろう。売っているのかは知らないが。


 行くメンバーである俺を含めた3人は鎧を着用する。準備を終えると、直通ゲートを使って4階層へと移動した。


「城壁が直っているな」

『うん、またここに居たら龍が来るのかな』


 俺の言葉にネクが文字を書く。ティアは城壁を見上げて何かを想っている様だ。

 俺たちは暫くそんなティアを見て立ち尽くしていた。


「ティア、そろそろ行こうか」

「ん、分かった」


 俺が声をかけると、ティアはいつもの調子で返してくる。そして、俺たちは平原にある階段を降りていった。違和感あり過ぎだろ。




「暗いな。また室内の迷宮なんだろうか」

「うん、私を頼って」


 階段を降りていくと、どんどん明かりがなくなって来る。

 ティアは獣人の特性で普通に見えるようだ。こういう時は頼りになるな。

 カンテラや松明の残りはあるが、両方とも点灯はしていない。魔法を使える人が居れば使えたんだがなぁ……。


 俺たちが一番下まで降りると、そこは部屋の中だった。前の階層のように生活観がある様な部屋ではなく、廃墟と言っても差し支えのない様子だ。

 窓に近付いて外を見る。月明かりがあるようで、薄っすらとだが外の様子が見えた。


「ヒッ!」

「ティア?」


 ティアがそんな声を出す。窓から見ると白い気体の様な存在が宙を舞っている。地上には人型の……死体?

 腐った皮膚、そこの隙間からは骨が覗いている。頭からは脳髄が見えている。そんな存在が外を歩いていた。


「ゾンビなのか?」


 俺はそう呟いたのだが、返事が返って来ない。ネクが喋れないのはいつも通りなのだが、ティアが反応してくれない。少し寂しい。

 ティアの方を見ると、驚愕の表情のまま固まっていた。あー、これは駄目だわ……。

 坑道で克服出来たと思ったんだが……無理だったか。少数だったから気合で我慢してくれてたのね。


「ネク、帰るか」


 そう言うとネクは肩を竦めて仕方ないと言わんばかりの仕草をする。

 俺はティアを背負うと、マップでこの迷宮の名前を確認して拠点へと転移した。




「あれ、パステル。まだそこにいたのか」

「はい、どうしても辛いので。ティアはどうしたんですか?」


 パステルは、俺たちが出たときと同じ姿勢で椅子に座っていた。そんなに辛いのならベッドに寝れば良いのに。

 やはり、俺が背負っているティアの事を聞いてきた。


「先にティアを寝かせてきて良いか?」

「あ、はい。そうですね。ここでお待ちしています」


 ティアを背負ってコタツの部屋に向かう。起きて誰も居なかったら不安になりそうだし、ベッドで寝かせるより他の人が居る場所の方が良いだろう。

 あそこならテレビの音がするし、タリスかネクが大体いる。


「あれ? マスター、おかえり」

「ただいま。ティアの事を頼んで良いか?」

「良いけど……もしかして幽霊?」


 案の定、コタツにタリスが入っていた。俺はティアの事を頼むとタリスが察したように聞いてくる。

 俺はそれに頷く事で答えると、ネクとタリスにティアの事を任せてパステルのもとへ向かった。


「次の迷宮の名前は闇と墓の迷宮となっていた。名前が示す通り、アンデッドが大量に居たよ」

「なるほど……ティアはそれで気絶してしまいましたか。克服出来ていなかったのですね」


 次の迷宮は、掲示板でも稀に出ていたアンデッドが大量に居るマップだ。

 ホラー映画をたまに見る程度の俺ですら引いてしまうほどに大量のアンデッドが居た。

 苦手な人には相当辛いだろう。


「そうみたいだ。さすがにあの状態ではどうしようもないだろう。次の迷宮ではティアを外す。幸いにも採掘スキルを覚えさせた後だし、拠点でもやる事はあると思う」

「それが賢明でしょう。それだけ多くのアンデッドが居るのでは、無理に連れて歩いてもストレスで駄目になってしまいそうです」


 そう言うと、パステルも同意してくれた。見ただけで気絶するような状況を克服しろというのは無理だろう。

 無理をさせても良い結果にならないのは、火を見るより明らかだ。


「アンデッドが多いのであれば、神聖魔法はどうでしょうか。私やタリスが覚えれば十分使いこなせると思いますが」

「新しい魔法か……確かにあった方が良さそうだな」


 対アンデッド用の魔法があるのと無いのでは、大きく違うだろう。

 もし今回、使えなかったとしても今後役に立ってくれる可能性だってあるのだ。

 タリスとパステルはスキル欄にも余裕があるし、覚えさせた方が後々便利そうだ。


「それじゃ、タリスとパステルに覚えてもらおう。ちょっと買って来るよ」

「いってらっしゃいませ。私はもう暫くここにいます」


 PCの前まで行くとそれを起動させる。やるべき事は2つ。

 神聖魔法のスクロールの購入と掲示板での情報収集だ。敵の情報を知っているのと知らないのでは、対処法が大きく変わる。


「さて、神聖魔法のスクロールと」


 買う為にPCを操作していると誰かに肩を叩かれる。誰だろう、そう思いながら後ろを振り向いた。

 そこにはネクがおり、すぐに文字を書いた紙を見せてくる。


『ティアが起きてもう落ち着いたよ』

「ありがとう。早かったな」


 気絶していた割に復帰も早かったようだ。落ち着いているのなら、後で迷宮の事を告げるとしよう。

 今はさっさと買ってしまうか。


『何を買うの?』

「神聖魔法だよ。アンデッドに効果が高いだろ?」

『神聖魔法……』


 ネクもアンデッドだから覚えている人が居るのは怖いのだろうか。

 何だかボーっとしている。ネクにしては珍しいと思う。


『ねぇ、スズキ。私にも神聖魔法をくれない?』

「え? ネクは戦士だし……その、アンデッドだろ?」

『そうなんだけど……何だか私の記憶に引っかかるんだ』


 この間の魔法銀の剣もそうだったが、神聖魔法まで引っかかるのか。

 神聖魔法+鎚だと神官戦士みたいだな。


「解かった。3つ買うよ。ただし、調子が悪くなったらすぐに言ってくれよ」

『うん、迷惑はかけないようにするから』


 その言葉を聞いて俺は購入したスクロールをネクに渡す。

 それをネクは目で追っていく。声に出ていないが読んでいるのだろう。

 すぐにスクロールは消滅したようだ。


 だが、ネクはボーっとしている。魔法に関して確認をしているのだろうか。

 スキルを覚えてすぐはそうして知識の確認をする事がある。

 それにしても長い気がするな。


「ネク?」

『ごめん。ちょっと混乱しているから後で』

「混乱? 解かった。落ち着いたら話してくれ」


 やはり記憶に関わる内容だったのだろうか。ネクはコタツの方ではなく寝室へと消えていった。

 後で教えてくれるのなら、今はそっとしておいた方が良さそうだ。


「さて、湿布を買ってやるか」


 ネクが去っていった時にパステルが目に入ったのだ。さすがにあの状態では、明日にも影響が出そうである。

 なら、湿布でも張って安静にしてもらった方が治りは早いだろう。


 売買リストの方を確認しても湿布は無い。自動販売のほうを見ると、いくつか売っていた。

 全て同じ名前で出ているのを見る限り、1人が複数出品しているのだろう。

 そういった知識を持つ人が作っているのかも知れない。俺はそれを数枚購入すると、パステルの方へと歩いて行った。


「パステル、湿布を買ったからはってやろう」

「湿布? それは一体……」

「色々な痛みに効く軟膏と布みたいなものだ。ここでは駄目だろうし、寝室に行こう」

「あ、あのっ主様!?」


 パステルが珍しく慌てている。俺はその体を極力動かさないように抱き上げる。

 そんな事をされてパステルは無意識に体に力を入れてしまい、激痛が走ったのか少し涙を流していた。

 それでも声を上げなかったのは、凄い根性だ。


 俺はそのままパステルとコクの寝室へと運ぶ。そしてベッドに寝かせると、パステルの服を脱がしにかかった。


「あの……脱がないと駄目なのですか?」

「あれ? 太ももとか腰じゃないのか?」


 脱がしている途中、既に下着姿になったパステルが言ってくる。俺はてっきりそのあたりだと思っていたのだが……。

 パステルは恥ずかしそうにそうです、とだけボソリと呟いた。いつもの変態的な行動は大丈夫でも、こういうのは駄目なのか。その境が良く解からん。


「ひぅ!」


 湿布を肌に貼ると、パステルがそんな声を上げる。この手の湿布って冷たくてびっくりするよな。

 その綺麗な肌に湿布を張っていく。痛む場所を聞いてそこに張り、撫でるように触れた後次に行く。

 その度にパステルは、艶かしい声を上げる。俺は、襲いたくなる衝動に駆られながらも、どうにか耐えて貼り続ける。

 さすがに筋肉痛の相手を襲う程、外道ではない。


「後は安静にすれば良いだろう」

「あ、ありがとうございます。では、少し寝かせて頂きますね」


 パステルは顔を真っ赤にしながらそう言ってくる。珍しい事もあるもんだ。

 俺は部屋を出るとコタツの方へと向かう。ティアとタリスは、どうしているだろうか。


「ティア、タリス」

「あ、マスター、どうかしたの?」

「ご主人様、ごめんなさい」


 部屋に入って声をかける。2人はこちらを向いてそれぞれ別の言葉をかけてきた。

 俺はティアの隣に座ると、ティアがジッとこちらを見てきた。先程の事に関して責められるとでも思っているのだろうか。


「ティア、苦手なものは仕方ない。今回の迷宮ではティアに留守番してもらう」

「ご主人様……」


 ティアも大体予想していたのだろう。明らかにホッとした様子が半分、役立たずになってしまった事への悲しみが半分という所だろう。

 俺はティアの肩を抱き寄せると口を開いた。


「ティアは採掘を頑張ってくれ。コクの補佐を頼む」

「ん、解かった。ご主人様も気をつけて」


 ティアはそう言うと俺の胸に顔を埋める。そのまま背中に腕を回してその温もりを楽しむ。


「あー、熱い熱い。コタツから出た方が良いわね」

「タリス、その前にこれを覚えてくれ」

「なにこれ」


 そう言ってスクロールを受け取る。スキルをすぐに覚えると何となく理解してくれたようだ。

 タリスは何度も頷いて確認していた。


「神聖魔法ね。ちょっと練習してくるわね」

「ああ、いってらっしゃい」


 タリスが出て行って、この部屋は俺とティアのみになる。

 俺が寝転がると、ティアは俺の胸の上に乗るような姿勢になった。その背に腕を回して、その体を撫で回して堪能する。

 ティアは俺の胸に顔を埋めながら、その手の動きに合わせる様に小刻みに動いている。尻尾や尻、太ももに手を回し撫で回す。

 そうしていると徐々にティアの息遣いが荒くなってきた。これでも未だに声を出さずに耐えるか。

 ここに誰もいないようなので、ムラムラしていた俺は、タガを外してティアに襲い掛かった。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



攻略スレ総合 part14


884 名前:名無しさん

アンデッド祭り

1階ゾンビ、ゴースト、ヴァンパイア

2階ゾンビ、レイス、ヴァンパイア、カースドドール、レディゾンビ、???



885 名前:名無しさん

???って何だ?

ユニークか?


886 名前:名無しさん

倒した奴とかいないの?


887 名前:名無しさん

まだ居ないらしい

迷宮をクリアしても勝てる気がしないそうだ


888 名前:名無しさん

どんだけ強いんだよ

しかし、何を落とすか気になるな


889 名前:名無しさん

強さよりも問題はその特殊な状況らしいぞ

ただ、その人も詳しくこれ以上は話さなかった


890 名前:名無しさん

アンデッド祭りでそれは・・・

どんな目に会ったんだよ


891 名前:名無しさん

ホラーっぽい感じがするから怖そうだよな


892 名前:名無しさん

暫くは迷宮探索が出来なくなったんだってさ


893 名前:名無しさん

トラウマになったのか

どうすんだよ

次の階層アンデッド祭りだよ


894 名前:名無しさん

南無

ユニークの続報に期待しているぞ


895 名前:名無しさん

うわぁ・・・出会いたくねー


896 名前:名無しさん

アンデッド祭りだとアレがいるよな


897 名前:名無しさん

ヴァンパイアだよな

ナイスバディ


898 名前:名無しさん

確かにそうだが

いきなりどうした?


899 名前:名無しさん

いや、この迷宮に胸の大きいのって少ないよな?


900 名前:名無しさん

エンジェルとかフェアリーも大きいぞ?


901 名前:名無しさん

フェアリーを入れるのかよ

確かに結構でかいけどさ


902 名前:名無しさん

獣人は無駄な贅肉が少ない感じだし

エルフは種族柄かスレンダーだしな

ドワーフはロリ枠


903 名前:名無しさん

確かにな

ヴァンパイア、エンジェル、フェアリーか

ゴーストは?


904 名前:名無しさん

確かに女のもいるけどさ

触れられないんだよ


905 名前:名無しさん

あっちからは触れてくるのにな


906 名前:名無しさん

さすがに触れないのは却下

他に女の種族っている?


907 名前:名無しさん

リザードマンとかドラゴニュートとか


908 名前:名無しさん

両方鱗じゃねーか

ケモナーならいけるのかね


909 名前:名無しさん

どうだろうな

フサフサじゃないし


910 名前:ケモナー

呼んだ?


911 名前:名無しさん

久しぶりじゃないか、生きてたのか


912 名前:ケモナー

数を増やしすぎて大変だった

主に食事で

性的な方はかなり満足している


913 名前:名無しさん

相変わらずだな

数が多いのなら食事はどうしようもない


914 名前:名無しさん

ちゃんと安定してから増やすなら増やせって事だな


915 名前:ケモナー

本当にそれは皆に言いたいな

毎日毎日攻略より食事をそろえる為の箱集めだった


916 名前:名無しさん

ご利用はご計画的に

やっぱり、人間みたいなのは駄目なのか?


917 名前:ケモナー

うんにゃ?獣以外もいける

オールオッケー


918 名前:名無しさん

さらりと変態発言をしやがった

さすがケモナー


919 名前:名無しさん

もはや穴があれば何でも良いんじゃね?


920 名前:ケモナー

穴が無くてもOK

何でもばっち来い


921 名前:名無しさん

さすがだ・・・

さすがの変態だ・・・

最低


922 名前:名無しさん

しっそれを言っちゃ駄目


923 名前:名無しさん

す、すまん・・・


924 名前:ケモナー

(´・ω・`) ショボーン


925 名前:名無しさん

お前には愛する家族がいるだろ?

元気出せよ


925 名前:ケモナー

(`・ω・´)シャキーン

イチャイチャしてくるわ


926 名前:名無しさん

羨ましくないのは何でだろうか


927 名前:名無しさん

ケモナーだからだろ


928 名前:名無しさん

納得したわ

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