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迷宮と掲示板 改稿版  作者: Bさん
4章 街の迷宮
63/88

51話

「こっちは準備良いぞ。始めてくれ」


 あれから数日経過し、コクの武器が完成したと報告を受けた。そして、今日がその最終調整の場である。

 この間にもティアは個別でコクの実験に協力していた。何度も失敗をし、それでもめげずに開発を行っていたようだ。

 俺も見たかったのだが、コクは未完成の状態では見せたく無いと言ってきて、参加をする事は出来なかった。

 ティアもまた気絶する姿を見せたくないのか、俺の要望を擁護する事もしてくれなった。

 何度も気絶したティアが、コクによって寝室に運ばれている様子は見た。俺は敢えてその様子を見なかった事にしている。


 俺たちは耳を押さえて武器の展開の様子を見ている。

 最初に先端が開き、その周囲を固定する為の刃が大量に出てくる。以前よりも遥かに数が多い。

 規定の回数撃ってもすっぽ抜けない様にする配慮なのだろう。

 初めての試作品を見た時は、両手で持っていたランスだが、今は片手で持っている。軽量化も進んだのだろうか。

 

 ティアはトリガーを引いて、爆音が訓練場を震わせる。以前よりもかなり大きな音だ。

 威力を下げて衝撃を和らげる事はしていないらしい。

 そして、すぐに2発、3発と撃っていく。ティアは、最初の位置からかなり後退し、壁際まで反動で押されてしまったようだ。

 これでも以前よりは反動が弱くなっているらしい。全く違いは判らないが。


 出ている弾も以前のように砲丸ではなく、銃なんかで使うような先端が尖ったタイプだ。

 貫通力を高める為に、回転の力も込めているのだろう。威力も段違いで拠点の壁に突き刺さっていた。

 遂に拠点を破壊出来るような武器を作ってしまったのか……。


「あー、あー、耳がおかしくなったわね」

「凄い音だったからな。だが、3発撃てたか……」


 タリスの言葉に俺は返事をする。いつもより大きな声になっていると思う。手で押さえ付けてもかなりの爆音だった。

 コクは武器の様子を見る為にティアの所に走っていく。他のメンバーはゆっくり歩いてティアの方へと向かった。


「うん、十分耐えられているね。でも、4発目は無理そうかなー」


 コクは武器を見ながらそう言っていた。内部を開けると熱気が溢れる。かなり熱そうだ。ドワーフってああいうの大丈夫なのかね。

 ティアは専用の兜を外すと自分の耳に触れていた。かなり窮屈らしいから、耳の状態を確認しているのだろう。


「ティア、大丈夫か?」

「ん、問題ない」


 ネクとコクが共同で作り出した兜により気絶をする事がなくなったようだ。

 これで、決め手となる武器は完成か……。

 後は、タリスとパステルが進めている合成魔法だけだ。


「パステル、魔法の方はどうなんだ?」

「もう少しで完成します。魔力の消費量は抑える事が出来ましたが、タイミングを合わせるのに難航をしております」

「そうか、引き続き頼む」

「大丈夫よ。もう大分合ってきているし、魔力切れもしなくなったから」


 パステルが状況を簡単に説明し、タリスが胸を張って言ってくる。なら、俺はそれを信じて待つだけだ。

 しかし、こうなると俺とネクは何もする事がないな。

 特に俺は倒されてしまうと作戦が失敗になる。実は街に行かない方がいいんじゃね?


「あ、スズキさん、ネク。盾を作ったから確認して」

「盾? 頼んだ覚えはないんだが……」

「1人は城壁で僕の事を、もう1人はパステルとタリスをブレスから守って欲しいんだ」


 コクはそう言いながら2つの盾を取り出す。見た目はいわゆるタワーシールド型だ。

 四角い長方形で約2mほどの高さになっている。厚さも10cmはあるだろうか。盾というより鉄板のようだ。


「この盾はあの龍のブレスに耐えられると思う。大体2、3回はいけると思うよ」

「重っ……。これ何kgだよ……。両手なら何とか持てるけど、走り回るのは無理だぞ」

「基本的に動き回る感じではないね。必要になったら僕達の前に来てくれるだけで良いんじゃないかな」


 しかし、あのブレスに耐えられるのなら十分価値はありそうだ。城壁で迎撃する際にブレスを使われる事はあるだろう。

 受けて誰かが欠けてしまったら作戦は失敗だ。それを防ぐ手があるのなら有効活用しない手はない。


「そうか。城壁で戦う時に、俺とネクはこの盾で防衛して、ティアを除く3人が迎撃と」

「あー、それなんだけど、僕とネクだけ城壁で戦おうと思うんだ。魔力の都合もあるだろうし、余りダメージを与えすぎて逃げられても困るでしょ?」

「……確かに。城壁を壊した後に、走って中央広場へ移動して隠れる場所まで行くのは無理があるか」


 俺たち以外に誰もいなければ可能だろう。だが、以前見た時は多くの逃げ惑う住人が居た。

 彼らを掻き分けて進むのは難しそうだ。そんな簡単な事を失念していた。


「なら、俺はタリスとパステルが合成魔法を撃った後に間に入る役目か。龍は俺たちの存在に気が付くだろうし、遠距離攻撃をしてきてもおかしくはないな」

「うん、ブレスが来るのが濃厚かな。タリスは役目を終えるから倒されても問題ないけど、パステルはすぐに霧を発生させないといけないし、動けないと思う」

「何気にあたしの扱い酷くない!?」


 俺たちの会話にタリスがジト目で突っ込んでくるがスルーしておく。

 魔法を使った後の疲労もあるだろう。走って別の場所に移動する体力が残っているのかも怪しい。


「一方的に攻撃できる訳ではありませんし、主様お願いします」

「ああ、任せてくれ。必ず守ってみせる。だから2人は、自分の役目を全力で頼んだ」

「もちろんよ。天才最強妖精タリス様の実力を見せてあげる!」


 俺の言葉にタリスが胸を張りながら答えてくる。

 タリスよ……お前はいつの間に天才で最強になんてなったんだ?


「それじゃ、決戦への最終調整を頼む。近日中に達成させよう」

「ん、必ず倒す」

『この盾凄く重いんだけど……コク、どうにかならないのかな?』

「これ以上は無理かなー、頑張ってね」

「さーて、テレビテレビっと」

「タリス、調整が先です」


 俺の言葉に乗ってきたのはティアだけだった。凄く寂しい……。

 だが、ある意味それが、俺たちらしいのかも知れない。






「準備は出来たか?」

「はい、こちらは大丈夫です」


 数日後、コクとパステルから最終調整が終わったと聞いた。

 やっと迷宮に入る準備が整い、今日これから再突入を決行する日となったのだ。 


「食料も一杯作った。飲み物は?」

「コーラを大量に入れといたわよ。他のは……どうしたっけ?」

『ちゃんと入れておいたよ。他の人の事も考えようね』

「ごめん、ごめん」


 あっちで食べる食料も問題ないようだ。後は、コクがここに来るのを待つだけだ。

 コクは何かあっちで使う物があるらしく、その準備の道具をアイテムボックスへ急遽仕舞い込んでいる。

 何でこんなに慌てる事になったのかは知らない。寸前まで調整とかしていたのだろう。


「おまたせー。待たせてごめんね」

「大して待っていないからいいよ。それじゃ、迷宮へと飛ぶぞ」


 俺の掛け声で全員が俺の周りに集合する。ボス部屋への直通ゲートを起動させて、久しぶりになる迷宮へと入るのだった。



「さて、これから4日間ゆっくり過ごす事になる訳だが……」

「4日目の昼に龍が来ます。なので、当日の朝には各自配置に着いて下さい」


 パステルが、俺の言葉をフォローする。コクの準備は解からないが、他のメンバーは当日の朝に移動すれば十分間に合う。

 それまでは、各自がのんびりと家で過ごしていれば良い。


「僕の準備は少し手間取るから、前日の昼くらいからやらないと駄目かな」

「それって城壁に丸1日居るという事か? 他の住人に邪魔されそうなんだが」


 一応、城壁は一般人の立ち入りを禁止していたはず。そこに見ず知らずの人が占拠し出したら追い出されるだろう。

 戦闘を開始する前に敵を増やしたくは無い。


「大丈夫、結界石を使うよ。その代わり、ネクも早めに行動して貰う事になるけど良いかな?」

『仕方ないね。それじゃ、私とコクは3日目の昼に移動するよ』

「ああ、何をするかは解からないが、頑張ってくれ」


 コクが城壁に何かを設置して迎撃をするのだろう。あの槍を見る限り、俺の予想を超えた物を作っていそうだ。

 この世界観が崩壊する様な武器を使うのかも知れない。

 こっちに来る前に倒したりしないよな?


「ともかく、あと3日はのんびり出来るんだ。無理をせずにゆっくりと過ごそう」

「コーラを飲もうかしら。マスター開けてくれない?」

「はいはい、ほらよ」

「ありがと」


 相変わらずタリスは自分で缶を開けられないらしい。やり方は教えたし、力も足りていると思うだがなぁ……。

 ある意味でストッパーとして役に立つから良いか。タリスが自分で開けられたら、タリスの寝室やコタツの所にはコーラが大量に並びそうだ。

 全員テーブルに着いて寛ぐ。ティアがタリス以外にお茶を振る舞いゆっくりとした時間が過ぎていった。

 


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


雑談スレpart68


477 名前:名無しさん

迷宮探索における槍の地位について語り合おう


478 名前:名無しさん

槍?普通に使われるだろ

突いて良し、投げて良しで便利だよ


479 名前:名無しさん

室内型の迷宮だと微妙だけどな

振り回すと長すぎて他の人にぶつかる


480 名前:名無しさん

あー、そういうのはあるな

戦っているのは自分だけじゃないし間合いは重要だ


481 名前:名無しさん

そういうのを考えると槍って不便じゃね?

2mくらいのサイズでも結構邪魔になる


482 名前:名無しさん

2mって駄目なのか・・・

俺の両手剣それくらいなんだけど


483 名前:名無しさん

それは邪魔だ

てか、そんなの良く振り回せるな


484 名前:名無しさん

風の付与魔法で軽量化しているんだよ

それでも5kgくらいはあるけど


485 名前:名無しさん

何でそんなもん使ってるんだよ

軽量化で5kgって下手したら元のは20kg越えているんじゃないか?


486 名前:名無しさん

ああ、越えてたよ

でも、凄く重そうな両手剣って浪漫がないか?


487 名前:名無しさん

気持ちは解かるが・・・

両手剣使うなら斧でもいいよね

両手斧は柄の部分が長いから持つ場所を調整し易いし


488 名前:名無しさん

斧はほら、なんか野暮ったい

どっちかと言えば木こりのイメージがあるんだよな


489 名前:名無しさん

何その偏見

斧をメインで使っているドワーフさんに謝れ


490 名前:名無しさん

ドワーフといえば、ロリ娘が大きな武器を振るっているのって

ちょっと良いよね


491 名前:名無しさん

ああ、ネトゲとかで流行ったよな

サイズは強さに影響しないからやたら身長が低いのが大量に居るという


492 名前:名無しさん

あったあった

ネトゲとか懐かしいなぁ・・・

もうここに来て3ヶ月くらい経つんだっけか


493 名前:名無しさん

もうそんなになるのか

家族が心配しているかなぁ・・・


494 名前:名無しさん

居るならそりゃ心配するだろ

大量に行方不明になったんだし大騒ぎだろうさ


495 名前:名無しさん

こっちから連絡出来ないのは仕方ないけど

あっちの情報を得る事は出来ないのか?


496 名前:名無しさん

以前は書き込もうとしても出来なかったんだが・・・

今は出来てるな

期限的な何かが影響しているんだろうか


497 名前:名無しさん

ほら、転移されたばかりだと

ホームシックにかかってしまうじゃないか

その対策なんじゃね?


498 名前:名無しさん

もう大分落ち着いてきたからOKサインが出たのか

大体の人は生活基盤は出来ているだろうしな


499 名前:名無しさん

父さんと母さんは元気かなー

連絡をする方法とかないもんか


500 名前:名無しさん

せめて無事である事は伝えたいよな

方法は無いけど


501 名前:名無しさん

もっと攻略を進めれば

何か出来る事も増えるかも知れないし頑張ろうぜ


502 名前:名無しさん

そうだな

目指せクリアだ


503 名前:名無しさん

あの・・・槍・・・


504 名前:名無しさん

槍?

石弓から打ち出せば良いんじゃないかな

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