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迷宮と掲示板 改稿版  作者: Bさん
4章 街の迷宮
59/88

47話

「スズキさん!!」

「うぉあ!!」


 いきなり背後から声をかけられて、変な声を出してしまった。

 慌てて現在見ていた画面を閉じる。子供には有害な物だろう。見せる訳には行かない。


「コクか……どうしたんだ?」

「どんな武器を作るか決まったんだ。材料に関して相談かな」


 俺は平静を装うと背後に振り返って聞いてみる。

 どうやら、早くもアレに対抗出来る武器が解かったらしい。凄いな。


「それで、どんな武器なんだ?」

「それはねー、これだよ」

「……なにこれ」


 紙に書かれた武器の図面? を見る。

 馬上の騎士が使う槍の様な武器だろうか。それにしては……凄く……太いです。

 こんなもん持てるのかね。


「しかし、槍なのか。スキルを持っているメンバーが居ないんだよなぁ……」

「大丈夫。1回突くだけだから。突き刺さった所が開いて内部で固定。そして、そこを爆撃する武器だよ」

「それは何ともエグい武器だな……」


 それだけに効果は大きいだろう。腕に当たったとしてもその腕を吹き飛ばせそうだ。

 表面が硬くても内部が柔らかいのは、割とお約束である。


「凄いよね。まだ、草案の段階だけど、これから練っていく予定だよ」

「それで相談というのは、この先端の鉱石か? 露骨に名前の所が丸で囲まれているけど」

「うん、ダーククリスタルっていう鉱石なんだ。ちょっと高いんだよね」

「へー、調べてみるか」


 高いと知っているのだろうから、自分でも調べたのだろう。

 ある程度高くても必要経費だ。買えそうなら買ってしまおう。

 そう思い売買リストの生産素材の所からダーククリスタルを検索する。


「ブッ!」

「あははは、高いよね」


 思わず噴出してしまった。10万DPってなんだよ。高すぎるにも程があるだろ。

 最近、4階層で篭っていたからDPは1万くらいしか残っていない。どう転んでも買えるわけが無い。


「高すぎだ。これ以外の素材はないのか?」

「これ以外だとオリハルコンしかないみたいだよ。そっちはその10倍するんだ」

「……マジかよ……」


 伝説の金属のオリハルコンさんですか。しかもこれの10倍ってひゃ、ひゃくまんえん!?

 しかし、オリハルコンとかあるのな。


「買う以外の入手手段ってないのか? 10万稼ぐには10日近くかかるぞ」

「一応、坑道でも低確率で採掘出来るらしいよ。稼ぐついでに探してみようよ」

「解かった。明日から一緒に来てもらうぞ」

「うん、望む所だよ。つるはしもよろしくね」


 コクはそう言うと地下へ降りていく。しかし10万DPか……色々と試したりもあるだろうし、いくつか買う必要が出るだろう。

 そうなると数十万……ジュースを買わない方が良かったかなぁ……。

 いや、皆喜んでくれているし、数十万の中の数万くらい誤差の範囲だろう。

 

 俺はそう開き直ると夜戦に向けての武器を探すのだった。




「朝か……いつの間に寝ていたんだろう」


 目を開けて周りを見渡すと片腕にティアがしがみ付いている。あれ? パステルはどこだ?

 そう思い部屋全体を見る。ティアのベッドに拘束されているパステルが居た。ああ、昨日のまま放置してしまったか。

 手足というより体全体を拘束された状態だというのに、パステルは器用に寝ていた。良くこんな体勢で寝れるな。

 時間を見るとまだちょっと早いようだ。俺はティアが掴んでいる腕をそっと外す。


「……ん」

「まだ早いからもう少し寝れるぞ」


 ティアが起きそうになったので、頭を撫でてそう囁く。薄目を開けたティアだったが、安心したのかその目をまた閉じたようだ。

 その体に掛け布団をかけると、俺はベッドから降りてスリッパを履く。そしてパステルの方へ歩いていく。

 さすがに寝ているとは言え、この体勢では疲れは取れないだろう。その拘束を解いていく。


「……おや? もう朝ですか?」

「まだ早朝だ。外すからジッとしてくれ」

「はい。さすがに体の節々が痛いですね。これはこれで良いものですが」


 さすがに体に触れられているからか、パステルも目が醒めたようだ。でも、朝から変態発言するなよ。

 全ての拘束を外すと、パステルはベッドに立って体全体を伸ばす。全裸でそんな事をしたら丸見えだ。今更だけどさ。

 

「私はシャワーを浴びてきます。さすがにこの状態では体臭が酷いですから」

「解かった。後片付けはこっちでやっておくよ」

「それは私がやります。下僕……ではなく、奴隷……でもなく、使い魔の仕事です。主様はゆっくりお休み下さい」

「解かった、解かった。それじゃ、寝かせて貰うよ。そっちも休めよ?」


 それが使い魔の仕事であるのなら、意固地になっても仕方ないだろう。

 俺はそう言うとティアが寝ているベッドへ移動する。そして、ティアを抱き枕の様に抱きしめると二度寝をするのだった。




「ご主人様、朝」

「んあ、もう時間か」


 半端な時間に起きてしまったからか、眠りが浅くて寝足りない。だからと言って起きないわけにはいかないだろう。

 俺は上半身を起こすとティアが俺の服を差し出してくる。俺はベッドから降りてそれを着ていく。


「皆、もう起きているから早くね」

「俺で最後なのか」


 皆が早いというよりは、俺が遅かったようだ。部屋から出ると広間に全員が揃っていた。

 俺が入ると皆気が付いたのか、挨拶をしてくる。朝の挨拶ってして貰うだけで活力になるよな。

 キッチンで顔を洗って戻ると、既に朝食の準備が揃っていた。タリスがつまみ食いをしようとしてネクにたしなめられている。いつも通りの光景だ。

 全員が椅子に座ると朝食が始まる。パンと野菜などが中心で肉は軽く炙ったのが少しあるくらいだ。朝から重いのは辛いので、それくらいで丁度良い。


 朝食を終えて準備を整えると、いつものミーティングの時間だ。

 昨日まで長期間迷宮に篭っていただけに久しぶりの様な気がする。


「さて、今日からの予定だが、暫くは金稼ぎに坑道の1階を探索する事になる。コクが対抗出来る武器を提示してくれたんだが、その素材が凄く高価なんだ」

「そうなんだよね。1つ当たり10万DPで研究にも使うから最低でも2個は必要になると思う」

「20万DPですか……1日1万くらいですから、20日ですね。かなり時間がかかりそうです」

「20万かぁ……チョコが何枚買えるんだろ」


 俺の言葉をコクが補足をする。最低で2つか。余裕を持てばもう少し欲しい所ではあるが、高価だから贅沢は言えないだろう。

 しかし、相変わらずタリスはチョコ換算なのな。


「それで、その武器なんだけど……一発しか使えないんだよね。先端の素材が衝撃に脆くて二回目やろうとしても壊れて出来ないんだ」

「うげ、使い捨てかよ。てことは、何本も用意するって事なのか?」

「それが理想だけど、何個も買えるかどうか解からないし、相手のお腹を狙えば一発で倒せると思う」

「内臓を破壊するのか……なら、1人がそこを狙って他のメンバーがフォローするのが良いな」


 コクから昨日俺に告げられていなかった問題点を足される。クリスタルの部分は鋭いが、その分耐久性に問題があるらしい。

 なら、1人が腹の下に移動出来るように、全員でフォローして倒すのが現実的だ。駄目だった時は、数を用意する方向でやればいい。


「そうなると、使用するメンバーに敵対心を下げるスキルを付けた方が良いな」

「主様、それより霧隠れというスキルがあります。それは如何でしょうか?」

「霧隠れ、というと姿を消すのか? 詳細を頼む」

「はい、霧隠れのスキルは、文字通り隠れるスキルです。霧が発生していないと発動しませんが、その点は私が発生させる事が出来るので大丈夫です」


 霧隠れというくらいだから、霧に隠れるのだろう。

 条件が必要なスキルは使い勝手が悪い。とは言え、仲間の協力でそれの条件を満たせるのであれば、問題なく使えるだろう。

 常時発動する敵対心マイナスのスキルは、スキルレベルを上げないと効果が薄い上に、上げすぎると日常生活にまで影響する。折角上げたスキルを目的が終わったら消さないといけないのだ。かなりもったいない。

 あとは、誰がそれをやるか、だ。


「隠れて移動出来るとはいえ、一番危険な役目だ。誰が……」

「私がやる」


 誰がやるか聞こうとした所でティアが立候補してくる。ティアは、この龍に対して俺たち以上の思い入れがあるのは解かっている。

 出来れば、俺自身もティアにやって貰いたい。だが、復讐心を持つ者が冷静に相手を倒せるのだろうか。

 感情的になっている者に、1回しか使えない武器を渡す訳にはいかない。


「ティア、今あの相手を見て冷静に戦えるのか? 復讐心を押さえ込めるのか?」

「復讐をしたいという気持ちはある。だけど、それ以上に私自身が進む為にあの敵を倒したい。他の誰でもなく、私自身が!」


 ティアは俺の目を見ながらそう言ってくる。いつも感情なんて見せて来ないティアが珍しく熱心に語っている。

 だが、一番重要な所を答えてもらっていない。


「ティア。お前は家族の仇を前にして冷静で居られるのか?」

「主様。ティアに任せましょう。能力からして一番の適任はティアです。主様では危険なので向かわせられませんし」

「むむむ……」


 パステルがティアを援護する。こうまで言われては俺自身も拒否は出来ない。

 ネクがやるという手もあるが、一番速い速度で動けるティアが適任なのも確かだ。


「ご主人様、大丈夫。確かに復讐だけど、やるべき事はしっかりと理解している。絶対に失敗はしない」

「解かった。ティアに任せよう。だが、我慢出来るか試させて貰う」


 ティアの熱心な頼みに俺は折れた。とは言え、やっぱり我慢が出来るのかは心配だ。

 PCまで歩いていくと売買リストを開く。その中からマタタビの枝を購入する。いつかエロい事をする目的の為に目をつけておいたのだ。

 それを持ってティアの目の前に置いた。


「ご主人様、これは?」

「マタタビの枝だ。匂いをかいで見てくれ」


 手に持って匂いを嗅いでみせる。だが、全然変化は無い。なん……だと……。

 ちょっと待って欲しい。これってそういう目的の為に売ってたんじゃないのか!?


「猫獣人は猫じゃない……」


 ティアは少し怒った声で言って来る。なんてこったい。

 それじゃ、発情する事は無いのか? これで楽しもうと思っていた俺の想いは無駄になってしまったのか!?

 俺は地面に両膝を突き、そのまま両手も突いてうな垂れる。ハハハ、夢が1つ壊れちまったよ……。


 皆、そんな俺を蔑むような目で見ていた。笑えよ。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



雑談part55


144 名前:名無しさん

猫獣人にマタタビが効かなかった

ショックだ・・・


145 名前:名無しさん

え?効かないの?

エロエロな展開はないの?

嘘だと言ってよ、バー○ィ


146 名前:名無しさん

むしろ何で効くと思ってしまったのか

獣人って一部が違うだけの人間と大差ないだろ


147 名前:名無しさん

それでもっそれでも

俺は信じたかったんだよ!!

想像してみろ

発情して涙目でこちらを見てくる猫耳の獣人を


148 名前:名無しさん

それはグッとくるな

でもそれって媚薬でいいんじゃね?


149 名前:名無しさん

媚薬なんて開発されてんの?


150 名前:名無しさん

いや、開発はされていないけど

以前、売買のリスト見た時あったぞ


151 名前:名無しさん

あー、あれね

発禁食らったぞ

効果が高すぎたんじゃないかな

使った奴曰く、搾り取られただそうだ


152 名前:名無しさん

それはそれで怖いな

自動販売にないのか?


153 名前:名無しさん

さすがに禁止くらった物は出品出来ないだろ

両方ここの管理下だろうし


154 名前:名無しさん

残念だ

試してみたかったのにな


155 名前:名無しさん

チャレンジャーだな

でも、拘束して使ってみるのは良いかも知れん


156 名前:名無しさん

何気に酷いな

そういえば、薬品って新しいの出たのか?


157 名前:名無しさん

基本的に回復、スタミナ、魔力しか出てないな

酔い止めとかあったけど正直使い道が無い

毒が使えるくらいか


158 名前:名無しさん

新しいのは無いのか

こっちもいくつか試しているけど新しいのが出来ないんだよな


159 名前:名無しさん

調合スレでもそんな感じらしい

新しい素材が出ない限り無理だろうな

思ったよりパターンが少ないらしい


160 名前:名無しさん

種とかも野菜は豊富だけど

薬草はそんなに多くないんだよな


161 名前:名無しさん

かなり進んで素材ドロップにすると

新しい素材が出てくるらしいぞ

ただ、そこまで進んだ人が少ないから市場に余り出て来ない


162 名前:名無しさん

へー、結構奥まで進めば色んなのが出るのか

楽しみだな


163 名前:名無しさん

さっき言った媚薬とかも作れるかもな

調合スレで利尿剤が出来たとか喜んでいた奴いたけど


164 名前:名無しさん

何となく予想できた

使い魔、哀れな・・・


165 名前:名無しさん

何だかんだで特殊な性癖を持った奴多いよな・・・


166 名前:名無しさん

ああ、皆隠しているのさ

それを隠す必要が無くなった時、皆羽ばたくんだ


167 名前:名無しさん

一生羽ばたかなくていいよ

多分、その方が世の中の為だし


168 名前:名無しさん

恐れるな!

誰しも特殊な性癖を持っているんだ!!

恥ずかしがるな!

それはおかしい性癖じゃないんだ!!


169 名前:名無しさん

スカ○ロでも?


170 名前:名無しさん

あ、すみません

それは理解できないんです


171 名前:名無しさん

そかー


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