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迷宮と掲示板 改稿版  作者: Bさん
3章 坑道の迷宮
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タリスの日記②

27日目

昨日の内容がショックで、あたしは朝から落ち込んでいた。

皆、あたしの調子がいつもと違う事で心配してくれたけど、どうしても気分が晴れることはなかった。

マスターたちは様子見で迷宮に潜っていく。

あたしとネクはお留守番だ。


ネクが、あたしの調子がどうか聞いてきたけど、ネクにまで不安を伝染させる訳には行かない。

あたしは、当たり障りのない返答をすると寝室に引き篭もっていた。

マスターたちが帰ってきた音が聞こえる。

あたしはそれを聞かないようにして、ベッドでそのまま寝転がっていた。


そしていつの間にかマスターが部屋に入ってきていた。

あたしの事を心配して見に来てくれたのだと思う。

それでもあたしの頭の中は、解放されてしまうかも知れない、という事ばかりぐるぐると回る。

あたしはもう他に何も考えられなくなってしまって悲しくなってしまった。


あたしを捨てないで。


泣きながらあたしの意思だけを告げた。

マスターは慌てていたけど、すぐにあたしを抱きしめてそんな事はしない、と言ってくれた。

そして、あたしにずっと一緒に居る事を約束してくれた。


この日の事は忘れない。

この日記を見て、すぐにこの日の事を思い出せる様に、出来るだけ詳しく書き残しておきたい。

この日があたしにとっての大きな分岐点の1つだと思ったから。



28日目

夕飯の後、皆で雑談をしている時にマスターにぎゅうの事を聞いてみた。

そうしたら、マスターは少し悩んだ後に「なら、絵を書いてやろう」と言って来た。

それなら、あたしでも解かりやすい。

少し待つと、マスターが絵を見せてきた。

だけど、その絵はあたしの予想と大きく違っていた。

頭には2本の角、背中には蝙蝠の羽、二足歩行で下半身は人間だった。

あたしは悪魔の肉を食べていたのだろうか。

あたしは悪魔の乳を飲んでいたのだろうか。


ネクはそれを見て持っていたカップを取り落とし、ティアは爆笑、パステルは呆れた笑いをしていた。

ティアが爆笑をしていたのは解からないけど、きっと絵が下手だったのだろう。

それ以外の見当が付かない。


その日からあたしのぎゅうに対する見方が変わった。

でも、美味しいからいいや。



29日目

新しい仲間が増えた。

その名もコク、ドワーフっていう種族らしい。

話によると鍛冶とかが得意らしい。

いい装備を作ってくれるみたいだけど、あたしには関係ないかな?


合成魔法というのの訓練をさせられた。

マジックポーションをかぶ飲み。

あの味嫌いなのに……。

そういったらマスターに無理やり飲まされた。酷いと思う。

今度、無理やり飲まされる苦痛を味わわせようと決意した。


これから宴会? というのをやるらしい。

何のことか良く解からないけど、楽しみ。


30日目

昨日何があったのかさっぱり覚えていない。

お酒というのを少し飲んだのを覚えているくらいだ。

昼間は凄く頭が痛かった。マスターの話では二日酔いというらしい。

お酒を飲みすぎると起こるんだそうだ。

もうお酒飲まない。


31日目

今日は2階を探索するんだそうだ。

ゴーストというのとゴーレムというのが出るらしい。

両方魔法が効きやすいんだって。

つまり、あたしの時代がやってきたという事だ。

マスターやティア、ネクじゃ倒せない敵をあたしがばったばったと倒していく。

聞いた時は、活躍出来る自分を想像していた。


実際出会ってみるとパステル無双だった。しょんぼり。

あ、ティアが凄い声をあげてた。あれにはびっくりした。

幽霊が苦手なの丸解かりなのに隠すなんてなんでだろう?


36日目

この間はずっとお金稼ぎ

日記に書くような話がなかったので書いていない。

今日はちょっとショックな事があった。

変異種? とかいうのに遭遇してティアが倒されてしまった。

どうにか撃退は出来たのだけど、マスターが自己嫌悪に陥っていた。

皆が同意した作戦だからマスターのせいじゃないのにね。


その夜のご飯は面白い味だった。

凄く濃い味で辛かったけど美味しかった。

何より肉がすばらしい。


37日目

マスターが突然休みとか言い出した。

ゆっくり出来るのならあたしも嬉しいけど、昨日のを引きずっているんじゃないかと心配になる。

聞いてみるとお金が出来たから大きな買い物をするんだって。

それを聞いた時は凄く楽しみだった。

そして運ばれてきたテレビ。

最初は何か解からなかったけど、凄かった。

何が凄いか解からないほど凄かった。

テレビ面白い。凄い。

ずっと見ていても面白い。


テレビを見ていたらマスターがジュースっていうのを持ってきた。

これがまた美味しかった。炭酸とか言ってたけどよく解からない。

だけどしゅわしゅわしていた。この感覚が面白い。

テレビ凄い、ジュース美味しい。

今日は幸せな1日だった。


38日目

付与魔法というのを覚えた。

武器に魔法を付けられるらしい。

これであたしの役目が出来て嬉しい。

だけど、使ったら凄く疲れた。

でも、あたしには秘密兵器があった。

ジュースと一緒に飲めば、ポーションの味も平気だ。

これのお陰でポーションを何本でも飲める気がした。

気がしただけだった。お腹が一杯……。


コクが新しい防具を出してくれた。

あたしの分はないんだろうな、と思っていたのにちゃんとあった。

少し嬉しくなった。

新しい衣装は、中々可愛い。

膝くらいまでのローブに肩や胸当てが付いている感じだ。

防具としては心もとないけど、魔法が強くなるらしい。

自分が強くなれるのなら嬉しい。

最近、マスターの役に立てる事が凄く嬉しいんだ。


39日目

今日はボス戦……だったんだけど、マスターが死んじゃった。

正確にはマスターが瀕死になった。そこでパステルがトドメを刺した。

あたしは、拠点に帰ってパステルを責めた。

ティアもネクも何も言わない。あたしだってあれが一番苦しまない方法だって解かってた。

それでもパステルの行動を責めずにはいられなかった。


パステルもまた無言でそれを受け入れていた。

あたしがどれだけ言っても何も返してこなかった。

あたしは自分が満足する為だけにパステルを傷つけてしまったんだ。


ごめんなさい、パステル。


40日目

ちゃんと朝起きてすぐにパステルに謝った。

すぐに許してくれたけど、それでもパステルの表情は晴れなかった。

やっぱりマスターが起きてくれないと、駄目なんだ。

早く起きてマスター。


その日のお昼頃にマスターは何事もなく起きた。

やっぱり、あたしたちにはマスターが必要。

居ないだけでこんなに皆が暗くなるんだ。

死なないでね。マスター。


41日目

皆でゴーレムをぼこぼこにした。

いつも弓と魔法を使っているパステルですらぼこぼこにした。

あたしはつるはしが持てないから出来なかったけど、持てたらあたしもぼこぼこにしてたと思う。

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