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迷宮と掲示板 改稿版  作者: Bさん
3章 坑道の迷宮
47/88

40話

「んあ?」


 目が覚めるとベッドだった。

 何だか、懐かしい夢を見た気がする。


「ご主人様」

「あ、ティア。おはよう」


 挨拶をするとティアが抱きついてくる。

 いきなり朝から積極的だな。どうしたんだ?


「主様、目が覚めましたか?」

「ますたぁ……」


 パステルはこちらを見てホッとした顔をしているし、タリスは何故か泣いている。何だ? 何だ?

 

『スズキは炎に焼かれたんだよ』

「あ、そうか。思い出した」


 ネクの文字を見て昨日何があったか思い出した。

 俺はゴーレムに焼かれたのか。

 

「皆すまん。避け切れなかった」

「頭を上げてください。私こそ謝らなければならない事が……」


 何だろうか。特に謝られる事はない気がするんだが。


「主様を介錯いたしました。どのようなお叱りも受けさせて頂きます」


 そう言ってパステルは頭を下げてきた。

 介錯? というと……。


「ああ、焼かれて半死半生の俺にトドメを刺してくれたのか」


 そう言うとパステルの肩が跳ねた。

 思わず軽く言ってしまったが、使い魔が主を殺すというのは苦渋の決断だったのだろう。

 失敗しちまったな。

 叱りを受けるというのも、いつもみたいなお遊びの叱りじゃない。

 本当の意味で覚悟をして、言っているのだろう。


「マスター、パステルを許してあげて」

「解かってるよ、タリス。パステル、ありがとう。お陰で苦しむ時間が短くて済んだ」

「主様……」


 大火傷をした人の話は聞いた事がある。

 その辛さも聞いた話では相当なものだった。

 殆どが途中で死んでしまう。あるいは、大きな後遺症を残す。

 この復活する世界であっても、痛みや辛さは残るのだ。

 下手に長く続いていたら、戦闘に対して恐怖心をもってしまい、もう二度と戦えなくなっていたかも知れない。


「だから、パステルは良くやってくれた。俺が責める事はしないよ」

「ありがとうございます」


 パステルは再度頭を下げてきた。うん、後でご褒美にお仕置きをしてあげよう。


「それで、俺はどれくらい寝てたんだ?」

「丸1日くらい。今日は翌日の昼」


 ティアが今の時間を言ってくる。結構長く寝ていたらしい。

 死んだ時の状況でその寝ている時間が変わるのだろうか。


「そうか。体は調子良いし、ゴーレムの対抗策を練ろうか」

「それですが、既にいくつか案があります」

「早いな。教えてくれ」


 どうやら、俺が寝ている間に色々と作戦を練ってくれていたらしい。

 うちの使い魔は優秀だなぁ……。


「まず、あのゴーレムですが、最初の状態は弱いです。その状態で、如何にその足を破壊するのかが鍵となります」

「そうだな。最初は普通に攻撃を避ける事が出来ていたし、攻撃も当てようと思えばいくらでも当てられた。ただ、硬すぎるだろ? あれで足をどうやって破壊するんだ?」


 最初は腕を振り回すか突進くらいだ。余裕を見ればいくらでも避けられる。

 だが、魔法銀の剣ではダメージを与える事が出来なかった。

 

「はい、それに関してはこれを使います」

「……つるはし?」


 パステルはアイテムボックスからつるはしを取り出す。

 そもそもつるはしは武器じゃない。採掘する為の道具だ。いや、ゲームだとつるはしを武器に使うのもあるけどさ。


「はい、つるはしです。実はこれ、鉱石に対して多大な威力を発揮出来るのです」

「ああ、そういえば、ゴーレムって魔法銀っぽかったな。って、え? あれ削れるの?」


 俺が聞くとパステルが頷く。マジかよ……。しかし、どうやって確認したんだ?


「つるはしで削れる可能性は解かったんだが、本当に出来るのか?」

「はい、問題なく出来ました。これで足を破壊します」

「……出来ました?」


 自信満々に予測で出来た、と答えるなんてパステルらしくもない。

 まさか。


「主様の予想通り、コクの意見を聞いて試しに行きました。結果も出てます」

「……そうか。でも、出来ればそういう事はしないで欲しい」


 つまり、パステルはそのつるはしが効果があることを実証する為に、単独か、あるいは誰かと共にボスに挑んで試した、と。

 そして、自らの命をわざと絶つ事で戻ってきたという事らしい。

 

「申し訳ございません。ですが、主様をあれほどの目に合わせた相手を倒すためなら、私は何でも致します」

「……」


 その忠誠心が重いっ。どこまでパステルは俺を信じているんだよ。

 思わず無言になってしまったじゃないか。


「では、続けます。両足を破壊すれば、後は格好の的です。その状態でつるはしで徐々に破壊出来ます」

「もしかして、俺がいない間にクリア出来たんじゃないのか?」

「そうですね。ですが、主様不在でクリアなどという事は出来ません。そこで戻らせて頂きました」


 パステルはあっけらかんとそんな事を言ってくる。

 何だろう。この空虚な気持ちは。

 俺、必要ないじゃん?


「解かった、では今日これからは出来る雰囲気ではないから、明日クリアしよう」

「ん、ご主人様はもう寝て」


 今まで寝ていたし、今は健康体だから寝る気はないのだが……。

 皆に見守られている状態ではどうしようもない。心配もかけたし、下手に出歩くのはやめたほうが良いか。


「ん、それじゃ、皆出よう」

「その前に、パステルだけ残ってくれ」


 パステル以外の全員が部屋を出た事を確認する。

 生命感知でも部屋の前にこっそり居ない事を調べた。


「さて、パステル。お仕置きな」

「ああ、主様。そんなご無体な」


 一発で乗ってきやがった。解かりやすいな。

 そして俺は、パステルにご褒美のお仕置きをするのだった。





 そして翌日、俺たちはボス部屋へと入った。皆が同時にアイテムボックスからつるはしを取り出す。

 いつもは弓を使っているパステルもちゃんとつるはしを装備していた。


「これで殴るって何だか滑稽だな」

「効果はちゃんとあります。主様は後ろへ」


 そう言われて、俺とタリスは下がる。3人の様子を見ると何だか凄く黒いオーラみたいなのが溢れ出していた。一体何事だよ。


「ご主人様にあんな事をした……許さない」

「ええ、私にあのような事をさせたのですから、完膚なきまで破壊しましょう……ふふふふふ……」


 そんな言葉が聞こえてきた。何だか怖いです。そして3人はゴーレムに向かって走り出した。


「なぁ……タリスは行かないのか?」

「あたしじゃつるはしは持てないでしょ。それにあの中に入るのは怖いのよ……」

「……そうだな」


 最初にゴーレムのもとに到着したのはネクだ。つるはしをその足目掛けて横に薙ぎ払う。普通採掘であんな振り方はしない。だが、そのつるはしは、ゴーレムの足を切断する。つるはしって削る物じゃないのか……?


 片足を失ったゴーレムはバランスを崩して転倒する。その隙を逃さず、ティアとパステルがゴーレムに飛び掛かった。攻撃をしている所からどんどん削られていくゴーレム。もうこのボスには何も抵抗する事は出来ないようだ。


 無残にも体が削られていき、やがて胴体を少し残すくらいになった。

 良く目を凝らしてみると、その中心辺りに光る何かが見える。


「タリス、あれって何か解かるか?」

「ゴーレムのコアらしいわよ。魔法生物はコアと呼ばれる物があって、それを破壊してやっと倒した事になるんだって」

「へー」


 露出したコアにネクがつるはしを振り下ろす。コアは脆いらしく、簡単に砕け散った。そして、残ったゴーレムの破片は粒子となって消えていく。


*3階層のボスが倒れました。4階層が開放されます。またこの拠点からこの部屋への直通ゲートが開放されます。*


「……終わったようだな」

「うん、皆凄く怖かった」

「……ああ」


 俺はこの光景を忘れないだろう。決して彼女たちを本当の意味で怒らせてはならない。そんな戒めの為に。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆


【色んなボス】ボス対策【楽しいな?】


114 名前:名無しさん

もうムカデはいやぁぁぁぁぁぁぁあああっぁぁ


115 名前:名無しさん

何階層のムカデよ


116 名前:名無しさん

5階層


117 名前:名無しさん

そこはやばいwwww

今一番の高難易度じゃねーか


118 名前:名無しさん

何で5階層のムカデがやばいんだ?


119 名前:名無しさん

5階層ってよりそれ以上のムカデがやばい

何せ、ボスと????の競演だからな


120 名前:名無しさん

????って伏字か

つまり、ボス以外に強い敵がいるって?


121 名前:名無しさん

ああ、その通りだ

正直、あそこを乗り越えられたのは奇跡だわ


122 名前:名無しさん

????がいるのならやばいな

6階層に進んだけど5階層の????を倒せそうにないし


123 名前:名無しさん

それがボス戦時に強制的に出てくるからな

回避なんてできやしない


124 名前:名無しさん

とりあえず、レベルを上げて物理で殴れ

それしか言えない


125 名前:名無しさん

ううう・・・それしかないのかよ


126 名前:名無しさん

装備品を買うという手もあるけどな

オリハルコンでも買えれば余裕余裕


127 名前:名無しさん

そんな武器買う方が難易度高いわっ


128 名前:名無しさん

3階層のゴーレムさんかわいそう


129 名前:名無しさん

いきなりどうした


130 名前:名無しさん

使い魔が皆でリンチした

次々破壊されていくゴーレムの目を見てしまうと

なんだろうか

哀れに思えてきてしまったんだ


131 名前:名無しさん

3階層のゴーレムって情報出てたっけ?


132 名前:名無しさん

いや?

2階層のゴーレムは出てたけど3階層以降は出てないな

どうやって倒したんだ?


133 名前:名無しさん

つるはしを使った

皆でつるはしを持っていった


134 名前:名無しさん

なにそれwww

採掘かよ


135 名前:名無しさん

採掘だよ

ゴーレムという塊を削っていく採掘だよ!!


136 名前:名無しさん

うわぁ・・・

搦手を使う攻略はいくらでもあるが

それは色んな意味で酷いな


137 名前:名無しさん

ムカデみたいなのよりは遥かにいいけどな

クリア出来るだけ


138 名前:名無しさん

つるはしを使わないとどうなるんだ?

それを使うって事は鉱石なんだよな?


139 名前:名無しさん

ゴーレムが暴走する

そして火炎放射器を使ってくる


140 名前:名無しさん

そんなもんあるのかよ

焼かれたら洒落にならんな


141 名前:名無しさん

いや、俺焼かれたんだけど

それを見た使い魔が切れちゃって


142 名前:名無しさん

それでゴーレムをリンチか

愛されているじゃないか


143 名前:名無しさん

それは嬉しいんだけどさ


144 名前:名無しさん

惚気かよっ!!

うちの子を自慢してやろうか

原稿用紙30枚は余裕で書けるぞ!!


145 名前:名無しさん

止めろよ

変な長文があっても邪魔なんだから


146 名前:名無しさん

皆幸せそうだな

うん、爆発しろ

うちは男しかいないんだぞ


147 名前:名無しさん

ああ、運が悪い人か


 ざ

  ま

   ぁ


148 名前:名無しさん

なぐりてぇ・・・

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