30話
「素材?」
「うん、素材。鉱石とか薬草とかあるのかな、と思ってね」
ティアが寝静まったのを確認し、俺は広間へやってきた。
そうしたら、コクがこちらに来て素材が欲しいと言ってくる。
「薬草はいくつかあるが……調合が出来るんだっけか。ちょっと持ってくるよ」
「お願いね」
無限箱からいつも使っている薬草を持ってくる。
俺以外にも作れる人が居れば、もう少し生産ペースを上げても大丈夫だろう。
最近は消化が早くて作る方が間に合わないのだ。
「これ全部使って貰って構わないぞ」
「ありがとう。へー、かなり良い素材を使っているんだね」
受け取った薬草を見てコクがそう言ってくる。
俺には良し悪しの区別が解からない。そもそも無限箱の薬草しか知らないのだ。
「俺はちょっとPCを見てくるよ」
「いってらっしゃい」
既に仲間には休みである事を伝えてある。
そもそも、この状況では戦闘なんて出来る訳が無い。
何だかんだでパステルも稀に顔をしかめていた。
そんな調子で迷宮に潜っても、意外な所で致命的なミスをしてしまうかも知れない。
いくら楽な階層だからと言って油断をして探索できる場所ではないのだ。
「さて、生産素材か……鉱石とかはどうなんだろうな」
薬草は無限箱であったが、鉱床などがあるという事は鉱石は箱ではないのだろうか。
それを確認する為にリストを見ていくが、無限箱はなかった。
薬草も球根や種が販売されており、一部の物以外は全て栽培するしかないみたいだ。
「必要な素材を得るには採掘や栽培が必須か……大変だけどコクが留守番だし任せるか」
この先6人以上のメンバーが増える事もあるだろう。
そうなった時に、留守番のメンバーが出来る仕事があれば効率がいい。
銅の鉱床100DP、鉄の鉱床1000DP、銀の鉱床10000DPとなっている。
銅はそのままだが、鉄や銀を加工することで鋼や魔法銀に変化するらしい。
その辺りの製法はさっぱり解からない為、どうやって作るのかは解からない。
また鉱床からは、別の金属が産出する事があるようだ。
必ずしも目的の品物が出るとは限らない。稀にレアな鉱物が出る可能性もあるそうな。
鉱床の特徴はもう1つあり、全て採掘し終わった後に一定時間経過すると復活するそうだ。
これで毎回終わったら新しく作る必要は無いようで、経済的にも助かる。
「そう考えると鉱床は一通りあった方が良さそうだな」
銅と鉄だけなら合計1100である。魔法銀に関しては、ドロップを変更すれば3階層で入手できそうだ。
これは、今すぐ必要という訳ではないだろう。
DPを消費し、鉄と銅の鉱床、そしてそれを置く部屋を作る。
採掘となると音が大きそうなので設置場所に困ってしまった。
「通路を長く作るのも手だが……お? 階段があるのか」
通路などの項目を見ていると階段があった。これを利用すれば別の階が作れるらしい。
工夫をしていけば、この拠点も迷宮みたいに出来るのかも知れない。
とりあえず、地下に向かう階段を広間に作る。そこから通路を挟み採掘場所を設置する。
これである程度音を遠ざける事が出来るだろう。
鍛冶場などを作った際も地下に作れば、素材の運搬が楽になりそうだ。
後すぐに必要そうな物……ああ、寝室か。
パステルは俺の部屋で寝ているので、今まで必要と思っていなかったが、コクの寝る場所が必要になるだろう。
昨日はコタツで寝ていたので使わなかったが、毎日そうする訳には行かない。
俺とティアの部屋の下に部屋とベッドを設置する。
パステルとコクの相性がどうか解からないが、駄目そうならその時に別室を作ればいい。
「さて、こんなもんか。鉱床の様子を見に行ってみよう」
そう言って立ち上がる。どうせならコクを誘った方が良いだろう。
テーブルの所を見るとそこで調合をしていた。下手に邪魔すると爆発するんだよな。
その苦労を知っているだけに声を掛け辛い。丁度瓶に薬品を移しているタイミングを待つ。
「コク、鉱床を作ってみたんだ。様子を見に行かないか?」
「鉱床を作る、というのが解からないけど行くよ」
普通は鉱山を掘り進めるものだからな。作ろうとして作るもんじゃない。
この拠点がどれだけ規格外で、不思議な空間であるか良く解かる現象だ。
俺とコクは階段を降りて行く。大体10段の折り返しを3往復くらいなので結構深い。
高さにして10m以上はあるだろう。地下は広範囲で場所を取る設備を作る為にあるのかも知れない。
地下2階以上を作ったら、エレベーターが欲しくなるな。
階段を降りていくと通路が伸びている。
奥は行き止まりで、左右に扉がある。この扉がまた大きく、高さは約5m、幅は約3mはあるだろう。
鉱石の運搬などをしなければならない為、余裕が有るに越した事はない。
扉を押し開ける。巨大な扉だというのにその抵抗は殆ど無く、すんなりと開いていく。
そして部屋の中にあったのは岩だった。正確にはごつごつした岩肌と言えばいいのか……。
「これって壁か?」
「……違うよ。これは凄いね。質も……うん、良さそうだ」
コクは岩肌を調べて、そんな事を言っている。
俺から見ればただの壁でも、知る人が見ればちゃんとした鉱床なのだろう。
その辺りは俺には解からないが、満足してくれるのならそれに越した事はない。
「いい鉱石が取れそうなら、好きなだけ採掘してくれ。俺にはさっぱり解からん」
「いい感じだよ。でもさすがに素手で採掘は出来ないかな……つるはしが欲しいんだけど」
そりゃ岩を殴って採掘するなんて人間技ではない。
道具が必要になるのだが……あの階段を上るのか。結構手間の様な気がする。
「それじゃ、今回は様子見って事で戻ろうか。もう片方の扉にも別の鉱物があるから後で確認してくれ」
「もう少し見てて良いかな。あ、後、採掘した鉱物を置ける場所が欲しいんだけど……」
「解かった。部屋を作っておくよ」
そう言って俺はコクを置いて階段を上っていく。
鍛冶は金かかるなぁ……。そう愚痴をこぼしながら。
「つるはしと部屋か。両方余り高くは無いが……つるはしは消耗品か。何度か使っていると破損して折れると」
消耗品であれば数を用意しなければならないだろう。
とりあえず10本ほど購入し、部屋は12畳の空き部屋を鉱床の近くに設置する。
つるはしをアイテムボックスに放り込みながら、思い出したようにコク用のタブレットも購入する。
使い方は他のメンバーに教えてもらえば良いだろう。
「ご主人様、おはよう」
「お? 起きてきたのか。大丈夫か?」
「ん、大分落ち着いた」
PCで他に何か無いか見ているとティアがやってくる。
もう二日酔いは大丈夫らしい。思ったより早いな。
獣人は体の循環とか人間と違うのだろうか。
「お粥美味しかった。コクにお礼を言いたい」
「そうか。今は地下に居ると思うから戻ってきてからで良いんじゃないかな」
「地下?」
そういえば、さっき作ったばかりだから、一緒に行ったコク以外は存在を知らないのか。
夕飯を食べる時に言っとかないとな。
地下は基本的に鍛冶関連の施設で埋まる予定だ。
殆ど俺たちが利用する事は無いと思うが、知らないよりは知っておいた方が後々トラブルは少ない。
「夕飯の時に一緒に言うよ。今日は休みだけど、ティアはこれからどうするんだ?」
「ちょっと体を動かしたい。ご主人様付き合って」
体を動かすと言っても性的な意味ではない。
昨日は皆ダウンしたからそういう期待も少しはあったのだが、ティアの目線の先は訓練所だ。
残念ながら武術的な体を動かす方らしい。健全だ。
「治ってすぐで大丈夫なのか?」
「一杯寝たから、いつもより調子いいくらい」
本当に獣人の構造ってどうなっているんだろうな。
本人が大丈夫だと言うのだから、これ以上心配しても仕方ない。
未だにテーブルで頭を押さえているパステルを横目に訓練場へと移動した。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
雑談スレPart 20
205 名前:名無しさん
そこで言ってやったんだよ
パンツは食い物だってな!
206 名前:名無しさん
いや、食うなよ
207 名前:名無しさん
それじゃ飲み物か?
さすがにアレは飲めんぞ
208 名前:名無しさん
何で飲食に繋がるんですかね
209 名前:名無しさん
そうだぞ
パンツは愛でる物だ
食べる物じゃない
210 名前:名無しさん
穿くものだろ・・・
211 名前:名無しさん
既出だったらすまん
魔法が合体した
212 名前:名無しさん
合体は女とだけにしろよ
魔法と合体ってどんな状況だよ
213 名前:名無しさん
もしかして噂にある魔法じゃね?
いきなり強力なのが出たっていうやつ
214 名前:名無しさん
あれって会心の一撃とか
クリティカルじゃないのか?
条件がさっぱり解かってなかったはず
215 名前:名無しさん
その条件を使い魔たちが頑張って調べてくれた
条件は3つ
1.その種族で最も得意とする属性の魔法を使う
2.2人以上で密着する程の距離に居る事
3.同時に発動させる
216 名前:名無しさん
距離か・・・
原因があるとすれば、これだな
217 名前:名無しさん
基本的に得意な魔法を使うからなぁ・・・
密着するほどってどれくらい近いのよ
218 名前:名無しさん
俺のところのはエルフが
フェアリーを抱えてたな
219 名前:名無しさん
抱えるって・・・
抱きしめるほど近いのかよ
220 名前:名無しさん
そりゃ無理だわ
フェアリーが相手なら出来るだろうけど
抱擁しながら戦闘ってきつすぎる
221 名前:名無しさん
盾役がしっかりしていればいけるかもなぁ・・・
乱戦では無理だけどさ
222 名前:名無しさん
乱戦の中抱擁する男女
斬りたくなるわ
223 名前:名無しさん
ちょっと試してくるわ
女同士で抱き合うシーンを凝視しながら
224 名前:名無しさん
いてら
結果をよろ
225 名前:名無しさん
んで、合成した魔法はどんな例があったんだ?
226 名前:名無しさん
両方風属性だったから
単純な威力強化と高速射出だったな
227 名前:名無しさん
高速は浪漫
てか、射出速度が上がれば威力も上がるんじゃね?
228 名前:名無しさん
物理的な威力を持つ魔法ならそうだな
229 名前:名無しさん
それなら鉄球とか打ち出せないの?
230 名前:名無しさん
装備に魔法をかけてやろうとしても
何故か素通りするんだよな
矢の速度とか上げられれば強いのに
231 名前:名無しさん
付与魔法じゃなきゃ駄目って事?
232 名前:名無しさん
付与魔法は別物だぞ
軽量化とか火が吹き出るとかそんな感じ
233 名前:名無しさん
ありそうでないんだよなぁ・・・
この合成魔法みたいに条件があったりして
234 名前:名無しさん
もしくは職業だな
まだ先を進む人が少ないからそこまで条件が出てないけど
235 名前:名無しさん
まぁ、その辺りはその内情報が出るだろ
236 名前:名無しさん
ちょっと試してきたぞ
きつかった
237 名前:名無しさん
何がきついんだよ
見ているだけなんだろ?
238 名前:名無しさん
使い魔が抱き合っているのを凝視
→使い魔がこっちを見ながら魔法を使う
→合成魔法発動
→俺、飛ばされる
239 名前:名無しさん
お前・・・嫌われているんじゃね?
でも、発動したのか
240 名前:名無しさん
嫌われているとは思いたく無いが・・・
かなり凄い威力だったぞ
下位だったから避けると思っていた使い魔が涙目で謝って来た
今晩が楽しみだ
241 名前:名無しさん
避ければ狙っても良いとかどんな環境だよ
242 名前:名無しさん
色んな属性を試してみたいな
でも、魔法使いは俺一人なんだよな・・・
243 名前:名無しさん
魔法系の使い魔を集めれば良いじゃないか
244 名前:名無しさん
男しかいねぇんだよ
男と抱き合いたくねーよ
245 名前:名無しさん
ああ、なるほど
絵面的にやばいな
246 名前:名無しさん
そうだ
数珠繋ぎにしよう
247 名前:名無しさん
おい、やめろ
それ以上の密着はないけど絶対止めろ
248 名前:名無しさん
数珠?どういう意味だ?
249 名前:名無しさん
知らないなら知らない方が幸せになれる
男ばかりなら尚更な
250 名前:名無しさん
そうか
なら聞かないでおくよ




