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迷宮と掲示板 改稿版  作者: Bさん
3章 坑道の迷宮
30/88

25話

「ふぅ……やっと解放されたか」


 先ほどまで、寝室で恥ずかしい台詞を連呼させられていたが、どうにか解放された。

 パステルが言葉責めを望んできたのには、俺とティアも引いたけど。

 2人は満足したように寝ていたので、放置してPCの前まで来た。

 いつもであれば、そのまま一緒に寝ているのだが、今日はまだやらなければならない事がある。

 

「明かりかー松明みたいなのを持ち歩くのかね」


 そう、迷宮探索に必要な明かりの準備である。

 松明でも明かりとしては十分効果があると思う。

 だが、片手がそれで塞がってしまうと、俺の様な盾と武器を使用するタイプにとって邪魔でしかない。

 

 剣だけで戦えば問題は無いが、俺の戦闘スタイルが防御して反撃という流れを作っている。

 その為、先手で攻撃するのがかなり苦手なのだ。

 こういうケースを想定して前々から訓練をしているのならまだしも、戦い方というのは一朝一夕で身に付くものではない。

 現在のスタイルを壊さずに明かりを得る方法を探さなければならない。


「天井についていたのを腰に付ける事は出来ないかね」


 販売物のリストを眺めながら考える。

 坑道の天井に吊り下げられるように付いていたカンテラは、ガラス状の内部を金属の外枠が守る感じで作られていた。

 あれなら腰に付けて多少動いてもそこを直接殴る事がなければ、内部が壊れることも少ないだろう。

 

 長方形の形のカンテラを人数分購入する。

 タリス向けの小さな物はなかったから、それは諦めるしかないだろう。

 パステルの近くに居れば問題は無いと思う。


 試しに鎧を着用し、剣を帯びている方に付けてみると、盾を持つからか結構遮られてしまう。

 明かりを灯すのは自分の位置を知らせる為ではなく、相手の位置を知る為に付けるのだ。

 これでは本末転倒である。


「盾を持たない方に付けるか」


 これなら邪魔にはならないだろう。腰を前後左右に振ってぶらぶら動かしてみる。結構激しい動きをしても外れないようだ。

 この光景を仲間に見られたら凄く恥ずかしいが。

 今後、仲間とか増えた時の為に多めに買っておいた方が良いだろう。

 戦闘中にガラス部分が壊れる恐れがあるのだ。

 

「次は火を灯してみるか。オイルとか入れるのかな?」


 普通のランプなんかだと下に燃やす際の燃料となるオイルを入れる。

 そこからガラスの中まで吸い上げて使用する形になっている。

 皆が知っているアルコールランプなどが解かりやすい構造になっているだろう。

 あれの外装がしっかりしているのがカンテラである。


 そう思って外装を外したのだが……。


「……石?」


 オイルを入れる所には1粒の石が入っている。

 説明書を読んでみると魔力に反応して明かりが灯されるタイプらしい。

 分解する前に読めばよかった……。

 魔力に反応してどうにかなるのであれば、こういうカンテラとかランプの形をしている意味がないと思う。

 雰囲気だけしっかりしているのに、魔法万能説はちょっと残念だ。


「魔法かぁ……どうやるんだろ」


 魔法スキルを得ていれば、現代人である俺にも魔力の流れというのを知る事が出来るかもしれない。

 だが、それらを一切取得していないのでは、やり方がさっぱり解からない。

 だからと言ってスキルを取得しようにも枠が一杯なので取る事は出来そうにない。

 明日、タリスかパステルに聞いてみるのが一番良いかも知れない。


「さてと寝るか」


 何だかんだで精神的にも肉体的にも疲労を感じている。

 恐らくこのままベッドに入れば、すぐに睡魔がやってくるだろう。

 寝室のドアを開けると……ムワッと色々なモノが混ざった臭いが漂ってくる。

 ああ、一旦外に出たからか……。

 その場に居れば気にならない臭いも、一度出て新鮮な空気を吸って戻れば気になってしまう。

 もしかしたら、今は体臭がやばいのかも知れない。

 そう思い風呂でシャワーを浴びてコタツに入って眠るのだった。




「マスター、おはよー」

「ん? ああ、おはよう」


 目が覚めて自分がコタツで寝ていた事を思い出す。

 そして声をかけてきた相手がタリスだと気が付きそちらを見る。

 その表情は明るく、いつものタリスだ。

 昨日の暗い表情はない。どうやら吹っ切れてくれたようだ。


「ティアがもうすぐ朝ごはんを作り終わるって」

「そうか。なら顔を洗ってくるかな」


 そう言うとコタツから出て立ち上がる。

 寝返りをろくに出来ずに固まった肩を回す。

 コタツで寝ると気持ちはいいが、狭いんだよな。


「それで……マスター。昨日はありがと」


 コタツの事を考えていると、タリスが真っ赤な顔で恥ずかしそうに昨日のお礼を言ってくる。

 その反応は予想外でポカーンとしていると、タリスはそのまま飛んで部屋を出て行った。


「いつも通りに戻れたんだな」


 俺はそう呟くと顔を洗うためにキッチンへと向かうのだった。




「今日から坑道の攻略に入る。かなり暗い場所だから、このカンテラを腰に付けて行動してくれ」


 いつものミーティングの時間、カンテラを取り出して皆に言う。坑道と行動をかけた駄洒落ではない。

 テーブルに置かれたカンテラを見て、皆興味を示したようだ。


「カンテラ?」

「ランプみたいな物でしょう。しかしどういう構造なんでしょうね」

『動くと割れそう』

「大きくて持てないわね」


 皆こんな反応だった。構造に関してはさっぱり解からないし、割れたら別のを使うしかない。


「魔力に反応するらしいから、試しにタリスとパステルが灯してみてくれ」

「魔力ですか。少し込めてみます」


 パステルはそう言ってカンテラを手に取る。

 そして数秒後、中に火が灯る。この状態からどれくらい持つのだろうか。

 説明書を取り出して読むと、丸1日は持続するらしい。燃費いいな。

 消すにはどうしたら良いかを知る為に読み進めていると、消すには破壊してください、とあった。

 文明的なのか野蛮なのかわからんな、これ。

 もしかして使い捨てなのか? 安かったし。

 

「1日持続するらしい。皆腰にでも付けて利用してくれ」

「ん、手に持ってもいい?」


 ティアがそう言ってくる。そういえば、ティアは片手を開けていたんだっけか。

 手に持った方が、灯せる範囲は広いだろう。

 反射的にそれで殴って壊しそうな気がするが、そうなったら注意すれば良いか。


「構わないぞ。壊さないようにな」

「努力する」


 せめて口約束でもしないと言って欲しかった。

 壊してもそれはそれで有りだろう。壊した事を口実にお仕置きをして楽しむという手もある。

 

「これ……重くて持てないんだけど……」

「やっぱり無理か。これ以上の小型の物はなかったから、タリスはパステルの近くで戦ってくれ」

「はーい」


 予想通りタリスには重すぎたようだ。

 確かにこのカンテラのサイズは30cm近くある。実にタリスの身長の半分はある。

 重量は1kgくらいだろうか。オイルが入っていないから思ったよりは軽いが、フェアリーにしては重いのだろう。

 これを振り回して魔法を使ってたら、そっちの方が驚きだ。


「これでよし、と。それじゃ、探索に行こうか。初めて行く場所だから無理はしない事。いいな?」


 そう言って締めくくると、俺たちは坑道の探索を始める為に直通ゲートから移動するのだった。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆


時系列的に20話の頃の話になります。


【2階層は】攻略スレ総合 part3 【異世界だった】


471 名前:名無しさん

坑道のモンスターまとめ

1階 ゴブリン、ドワーフ

2階 ゴブリン、ドワーフ、ゴースト、ゴーレム


ゴブリンは大量の集団だけど1体1体は弱い。驚くほど弱い。

ドワーフは1~3体くらいで現れる。斧を持ってるアタッカータイプ。防御は殆どしないから回避出来る人なら楽勝かも

ゴーストは魔法しか効かない。物理武器は素通りする。付与魔法で属性を付けるか、魔法で倒すしかない。

ゴーレムは硬い。とにかく硬い。でも動きが遅い。倒し方は基本魔法かハンマーのような打撃武器でやる。


ボスはでかいゴーレムで動きが遅く、ただのでくの坊。魔法を遠くから撃っているだけで勝てる。これに当たった人は幸運だな


色んな所からピッケルで鉱石が取れるのもここの特徴。


472 名前:名無しさん

ドワーフがいる上にボスも弱いとか凄く良い場所だな


473 名前:名無しさん

ドワーフってそんなに良いのか?


474 名前:名無しさん

鍛冶や採掘が得意で女はロリ枠

130~150cmくらいしか身長が無い

男はおっさん


475 名前:名無しさん

それは良い事を聞いた

ドワーフの女を一杯捕まえてくるわ


476 名前:名無しさん

おい、ロリコン自重しろ

顔も12~15歳くらいだからマジでやばいぞ


477 名前:名無しさん

ひゃっほーい


478 名前:名無しさん

逆効果だろそれ・・・


479 名前:名無しさん

やっちまったな

475の拠点がやばいことになりそうだ


480 名前:名無しさん

ゴーストとゴーレムが

剣が効かないのは痛いな

ずっと剣ばかり使ってたわ


481 名前:名無しさん

あーそりゃきついわ

魔法を使える奴とかいないの?


482 名前:名無しさん

居ない

構成は全員剣士


483 名前:名無しさん

偏りすぎだろ・・・


484 名前:名無しさん

いくら剣が取りやすいとは言え

それはちょっと・・・


485 名前:名無しさん

魔法タイプの使い魔育成をガンバレ

もしくは付与魔法だな


486 名前:名無しさん

付与魔法?それってどんなの?


487 名前:名無しさん

装備品に一定時間魔法効果を付与出来る

所謂、エンチャント

剣に火を纏わせたりそんな感じ


488 名前:名無しさん

それは格好いいな

付与魔法をとればいいのか?


489 名前:名無しさん

あー付与できるのは鍛冶で作った装備のみだわ


490 名前:名無しさん

鍛冶なんてあげてねぇよ!!!!

むりじゃねーか


491 名前:名無しさん

俺の格好いい剣が更に格好良くなるな

ちょっと付与魔法取ってくるわ

黒い炎を纏う魔剣とかいいな

イメージがどんどん湧いて来る!!


492 名前:名無しさん

自作しているのか

中二病をこじらせないといいが・・・


493 名前:名無しさん

プレイヤー間で取引が出来るようになりたいな


494 名前:名無しさん

機能の追加とかくるのかね

メニュー画面には???が2つあったけど


495 名前:名無しさん

進捗かねー

先行している攻略組もまだ開放されていないらしいし

いつになるのやら


496 名前:名無しさん

取引出来る様になったら

俺の格好いい剣を売ってやるさ!!


497 名前:名無しさん

ああ、はいはい

出来るようになったら買ってやるよ



☆ ☆ ☆ ☆ ☆

時系列は現在に戻ります。


自動販売 part2


774 名前:名無しさん

買ってやったよ!!

黒き炎の堕天使の剣


775 名前:名無しさん

おまっ

買っちまったのか……


776 名前:名無しさん

ああ、俺もそれ見た

確か鉄の剣なんだっけ?


777 名前:名無しさん

デザインは悪くないんだけどな

鉄じゃなくて魔法銀で作ってくれよ


778 名前:名無しさん

魔法銀なら使い道ありそうだ

んで、黒き炎はあったのか?


779 名前:名無しさん

付与魔法で炎属性が付いていたぞ

魔力を込めると刀身に火が付いた


780 名前:名無しさん

ちょっと格好良いな

んで、黒い炎だったの?


781 名前:名無しさん

いや、普通の赤い炎だったよ

しかも、使用したら黒く塗ってあった刀身の塗料が剥がれた


782 名前:名無しさん

欠陥品じゃねーか!

でも、魔法剣は憧れるかも


783 名前:名無しさん

結構これ危険だぞ?

火を出すには魔力を込め続けなきゃならない

魔力切れを起こす可能性がある


784 名前:名無しさん

マジかよ・・・

この世界の魔力切れって即死亡だろ?

危なすぎだ


785 名前:名無しさん

ああ、だから攻撃して当たる瞬間に発動させなきゃならない

結構タイミングが難しいんだ


786 名前:名無しさん

どれくらい効果があるかだなー

他の付与魔法ってどうなんだ?


787 名前:名無しさん

氷は火と真逆で凍らせる感じだな

風は軽量化、地は硬化

光は霊体に攻撃が届くし

闇は吸収だったかな


788 名前:名無しさん

へー結構良い感じっぽいな

でも、鍛冶で作った装備にしか使えないんだよな?


789 名前:名無しさん

ああ、その為にも鍛冶職人は1人は用意した方が良い

ドワーフが理想だけど出会えない人もいるしなぁ・・・


790 名前:名無しさん

うちのドワーフは10人体制で作ってるぞ

皆嬉々としてやってくれてる


791 名前:名無しさん

10人とか多すぎだろ・・・

そんなに居てどうするんだよ


792 名前:名無しさん

俺、ロリコンだからつい・・・

一応、後続のメンバーの為に格安で提供してるよ


793 名前:名無しさん

そりゃ助かる

ロリコンもたまには役に立つのな


794 名前:名無しさん

ああ、そうか

自動販売で買えばそれに付与魔法を使えるのか


795 名前:名無しさん

その通り、付与魔法は魔力の消費は多いけど

拠点で使えば安全だしな


796 名前:名無しさん

その内、工場のライン作業みたいなのが生まれたりな


797 名前:名無しさん

冗談と思えないのが怖いわ

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