表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三香とviolet  作者: violet
9/10

逢魔が時

三香とvioletの不思議体験です。こんなことあるんですね。

順番が前後するのですが、京都に行く前のことです。


三香とvioletが実家に戻っていた時の事。


以前、使ったことのない遠くの駅に向かう途中で、住宅街の中に森があってそこが神社であることを発見したのす。道路からは遠くに神社の鳥居が見えただけなので、小さな神社だな、ってぐらいしか思わなかった。

その時は急いでいたので通り過ぎましたが、いつか参拝しようね、と話してました。

実家から徒歩20~30分ぐらいのところにあって、近くではないけど、遠いわけでもない。


その日は用事を済ませて実家に戻ると、夕方だけど陽が沈むまで少し時間がありそう。

「今日はいい天気だから、陽が沈む前にあの神社に行けるんじゃない?」

と、三香が神社を思い出したのです。

violetは、遠い実家のことだし、以前のことなので、神社の存在をすっかり忘れてました。


そうなると行く気満々、暗くなる前に神社に着きたい、と思う気持ちが先走って競歩の選手のように早歩きです。

風もないので、急いで歩くと暑いぐらいです。


ちょうど小学生の下校時間に重なったらしく、小学校の前で下校中の子供達の列に遭遇。

子供達の帰る方向と神社の方向が同じなので、後ろを付いて行って不審者に思われたら大変、とわざと話し声を出して、不審者じゃないアピール。

道幅の広い所で子供達を追い抜かして、早足で歩く三香とviolet。

ところが慣れない道なので、「あれ? 神社こんなに遠かった? もう通り過ぎた?」と不安に話していたら、後ろにいた子供達が気づいたようで、

「神社はもうちょっと先だよ、あそこの駐車場を曲がるの」

と教えてくれました。 

「ありがとう」

と言って私達が駐車場を曲がるのを、子供達は見ていて行き過ぎないように気にしてくれている姿が可愛い。子供は好奇心旺盛。帰ったらお母さんに、帰り道にこんな人がいて道を教えてあげたよ、って話すのだろうな。


子供達のおかげで、日が暮れる前に神社に到着。

鳥居の前でお辞儀して、神様に挨拶。

小さな神社だけど、宮司さんのいる社務所があって、だんじりを納めている蔵もある。

境内はだんじりをお披露目できる広場になっていて、思っていたよりも広い。

ただし、夕方の陽が暮れようとする時間で、社務所の窓は閉まり、境内には三香とvioletの二人きり。


拝殿の前には、七五三参りの立て看板があって、賽銭(さいせん)箱の前に立つと拝殿の様子が良く見えます。

誰もいないのをいいことに、(のぞ)いちゃいます。

奥に本殿があって、拝殿の天井には一面の風鈴。

「わぁ、きれいだね」

「うんうん、風流」

ここで七五三の御祈祷をするんだね、映えるよね、風鈴がいっぱいだよね。

だね、だね、と姉妹の会話が続くけど、特別な話はなにもない。


賽銭をして拝礼をして、お願い事いっぱい。


薄暗くなってきたし、帰ろうと拝殿を後にして鳥居に向かう。


チャリリリッ!!

一斉に風鈴の音!!!


風鈴の大きな音は、一つとかじゃなく全部が鳴っているとわかる音。


風は、吹いてない。

風鈴だけが、ずっと鳴っている。


後ろを振り向く勇気はない。

三香と二人、無口になって鳥居をくぐって礼をする。

その頃には風鈴の音は止んでいたけど、深く深くお辞儀をする。


少し歩いて、三香がポツリ。

「怖かったね」


「うん」

チキンな姉妹は、それ以外の会話もなく前だけ向いて歩く。




violetは、怖かったよー、と職場やあっちこっちで話しました。

お茶のお稽古の時に、先生や社中の先輩に話したところ、

「神社は午後からの参拝はよくないって聞いたことがあるよ」

「夕方のその時間って、逢魔(おうま)が時、って言うんじゃない?」

先生や先輩の言葉が、胸にストンと落ちました。


昼と夜の境目で、神隠しとかもこの時間だったとか、妖しいものに出会いやすい黄昏時(たそがれどき)


いやいや、あれは神様が、violetのいっぱいの願い事を聞いたよ、って言ってくれたんだ、と思うことにしてます。


神様、他人に優しく、真面目で誠実に生きてますから、お願い事をよろしくお願いします。


読んでくださり、ありがとうございました。

あの時、風がないって分っているのに、風が吹いてないか確認しようとする自分がいるんです。鳴り響く風鈴の音に背中がゾーとしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ