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レヴィア・テンペスト!!  作者: ハートフル外道メーカーちりひと
第七章. 知られざる逆転国家の秘宝

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157. 負けてなんてられない

「いたか?」

「いや、少なくとも家には戻っていないようだ」


 夜闇の中、たいまつを持った兵士がネイの実家から出てきた。家の前を監視する数人の兵士たちの姿もあり、ネイたちを探しているようだった。

 

「やはり駄目か……」


 ネイは少し離れた壁際に隠れ、その兵士を注視。何とかここまでたどり着いたが、やはり追手が放たれていた。少なくとも家には戻れそうにない。

 

「困りましたね。フィガロ様やネロ殿がこのまま逃亡するのは無理でしょう。私たちだけならこのまま墓所へ向かう事も出来ますが……」


 ガウェインが厳しい顔で言った。

 

 本来であればもう少し考えを練るべきだろうが、事が発覚してしまった以上、取れる手段はあまりない。

 

 故に王墓へ向かおうとしているのだが、ここで問題なのはカルドの男である。ガウェインの言う通り、カルドの男はあまり強いとはいえない。加えてリズの体力も回復していない。王墓まで一日二日の距離とはいえ、この状態で砂漠を歩くのは無理がある。

 

 だからこそ三人をどこか安全な場所に残していこうと考えたのだが、ツテのある家にはすでに手を回されており、実家のある貧民街にも手勢が派遣されていた。もはや王都付近に安全な場所はなさそうだ。

 

「ネロ様、ネイ様」

「ッ……!」


 ふと、後ろから語り掛けてきた声。勢いよく振り向けば、貧民街の住人の一人がいた。その姿に心辺りがあるらしく、ネロが「ラウロさん」と彼の名を呼ぶ。

 

「事情は分かりませんが、追われているのでしょう? どうぞ私の家へ」

「ラウロさん。だけど……」

「ヴィットーリア様とネロ様には世話になっております。この場所でお二人を売るものはいません。さあ」


 どうやらかくまってくれるようだ。ヴィットーリアのお陰で安全になったこの場所である。慕うものは非常に多いのだ。

 

「有難い。では母上とフィガロ様、それとリズはここで待っててほしい。私たちは王墓へ行ってくる」

「待って下さい。ネイ様、ボクも行きます」

「フィガロ様……!?」


 が、フィガロが同行すると主張してきた。

 

「初代様の教え。女性のネイ様たちには理解できない事かもしれません。ガウェイン様は外国の方ですし。だから……」

「ううむ……」


 気持ちは分かる。分かるが、少々抵抗がある。王族たるフィガロは宮廷暮らし。体力があるとは思えない。砂漠を歩くのに加え、王墓の中まで探し回るのに同行する。彼にとっては非常に辛い道のりとなるだろう。

 

「ネイ、連れて行ってあげなさい」

「母上?」

「男が男を上げようしているんだ。それをサポートしてあげるのがいい女というものだよ。けれどフィガロ様。想像以上に辛い試練になることは覚悟しておいてください」


 ネロの言葉。フィガロは「はい!」と威勢よく返事をした。

 

 だが、本当に大丈夫なのだろうか。父の言う事も分からなくはない。しかし、現実的にはやはり厳しい気がする。

 

 そんな風にネイが悩む中、ガウェインが軽く微笑む。

 

「ふふっ。私どもと価値観は違えど、そういった心意気が素晴らしいのは共通なのですね。フィガロ様に想われるアリーナ殿は幸せ者だ。ネロ殿。このガウェインが必ずフィガロ様を無事連れ帰ると約束しましょう」

「ガウェイン様……! ありがとうございます……!」


 胸に手をやり、騎士の礼をするガウェイン。感動したように声を震わせるフィガロ。「うむ! ガウェイン殿の言う通り……いや……うん、これは言う通りのはずだ」と葛藤しつつも同意するネイ。

 

「という訳で、王墓へは私とフィガロ様、それとネイ殿で行きましょう。他のお三方は……」


 ガウェインがちらりとレヴィアの方へと目を向ける。視線の先は猿轡(さるぐつわ)をして縛り付けられているレヴィア。まるで世の中の全てを敵に回したような目つきの。

 

 全方位ケンカ売りウーマンと化した彼女。もはやこうするしか止められないと仲間に判断された結果だった。

  

「かわいそうだよ。やっぱりほどいてあげようよ」

「駄目……」


 そしてそれを心配げに見つめている純花と、うつ伏せに倒れているリズ。倒れつつも純花の足を掴んで妨害している。ただでさえ疲弊したところをここまで逃げてきたリズ。もはや死に体と言っていい。

 

「うーむ。なんだかんだで遺跡にはレヴィアが一番詳しいからな。色々と不安はあるが、連れて行くべきでしょう。純花は……」


 悩みどころである。戦力的にはこれ以上なく頼りになるが、正直強すぎるのだ。この間発揮したような力を放てば王墓は間違いなく崩壊する。

 

「なあスミカ」

「? 何?」

「お前の魔力。凄まじく強力なようだが、制御は出来るか? 例の砂漠のような事が王墓でも起こるのは困る」


 ネイは悩んだ結果、素直に問いかける事にした。

 

「うーん。たぶん出来るんじゃないかな。ええと、この間はこれくらいだったから……」


 純花は光輝く魔力を手のひらに纏わせる。次いで「こうかな?」と純花が言うと、魔力はかなり弱まった。どうやら制御できているようだ。これならば問題ないだろうとネイは判断。

 

 ただ、正直もう少し早く知りたかった。知っていれば先ほどの修羅場も無事に切り抜けられただろう。母たちと共に。

 

 だが今となっては仕方ない。ネイは素早く頭を切り替える。

 

「よし、ならば私とガウェイン様、レヴィアと純花、フィガロ様の五人で行こう。皆、いいな?」


 ネイがそう問うと、「ええ」「はい」「うん」「むぐー!」と返事が返ってくる。

 

「待って……。私も行く……」

「リズ?」


 が、そこでリズが言葉を放つ。ブッ倒れている彼女。声も明らかに疲弊している。

 

「リズ。無理をするな。魔法役のお前がいないのは辛いが、今回はガウェイン様がいる。父上と共に残っているといい」


 ネイは優しく声をかけた。しかし……


「仲間が……仲間が道を踏み外そうとしているのよ……? 見捨てるなんて出来る訳ないじゃない……! 負けて、負けてなんていられないのよ!!!!」


 リズは謎の使命感と共に立ち上がった。

 

 その鬼気迫る様子にネイは「お、おう」とちょっぴり引いてしまう。意味不明であったが、今の彼女を止めるのはフィガロ以上に難しそうだ。

 

「よ、よし。ならばすぐにでも出発しよう。休む間もなく辛いだろうが、捜索隊に見つかればさらにやっかいな事になる。夜闇にまぎれて行動すべきだ。……リズ、本当に大丈夫か?」


 ネイは最後に問いかけた。が、リズの意思は固い模様。

 

 一行は出来る限りの準備をし、ネロと別れ、すぐさま砂漠へ旅立つのであった。


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