24話感謝されたよ
ボチボチやってます
「随分とめんどくさそうな顔をしておるの」
「そりゃあ、相手が偉い人だと気を張るもんだろ。良いよな、師匠は能天気でそんなこと考える必要がないから」
「私だって、礼儀くらいあるわぁ!」
杖で頭を叩かれる。
「痛ぁ……弟子を殴る奴があるかよ」
「ふん、弟子の教育なのじゃ」
元の世界の常識は通じない様だ。暴力を行う師匠など、教育者に相応しくないから懲戒処分にでもなれば良いのにと思う。
現在フーナと師匠レガレストがいるのは、セプガースト辺境伯のお屋敷だ。その客間にいる。
辺境伯は、もうすぐやってくるとのことなのでお茶やお菓子を頂いている。それはもう、村では出会えなそうな美味な焼き菓子である。
「ぬっ!私の焼き菓子がないのじゃ!」
「しらねぇよ、さっき食ったてたろ」
レガレストが慌てて周囲を見回すが、焼き菓子ならばすでにフーナの腹の中だ。
「ぐぬぬ、お主が食べたのだな。フーナ!」
怒気が見えんばかりの勢いだ。
「お菓子ごときで随分とまぁ……師匠は、子供ですか?」
「ムキィぃーーーー!」
腕を振り回して突っ込んで来ようとするので、頭を押さえてお茶を飲む。魔法以外であれば、自分が有利だろうと思う。
なんやかんややっていると、扉が叩かれて2人の人物が入室してくる。この屋敷の主、セプガースト辺境伯とその娘、オテンバお嬢のミルドレナだ。
「初めまして、フーナ君と呼ばせて貰っていいかな?ミルドレナの父ガイリオン・セプガーストだ。この度は娘を助けてくれてありがとう」
若い男だ。まだ30歳にもなっていないだろう。前世と年齢を合わせれば自分の方が歳上かもしれない。
「ほれ」
とレガレストに肩を叩かれて、頷く。
「初めまして、フーナ・ヤシーハと申します。お嬢様がご無事であったこと心から嬉しく思います」
転生は前は、早詩と言う苗字だったが、逆にしただけになっている。天使さんが何かしたのかもしれないが、もう少し格好良くしてくれたら嬉しかっなと思う。十分感謝はしているが……
「礼儀正しい真面目そうな子ですね。レガレスト様がお教えになっているので?」
「うむ、そうじゃ!私のもとで学んでいる成果じゃな。それにしても久しぶりじゃな、ガレリオン」
師匠め、勝手なことを言いやがると思いながらも口出しするわけにはいかないので黙っておく。ミルドレナは、というとこちらをじっと見てくる。
(見過ぎだろ……)
と思いつつ、微笑んで見せるとパァーと花が咲いた様に顔が明るくなる。
「村に何度か訪れましたが、タイミングが悪く会えませんでしたからね。それにしてもお変わりなくお元気そうで」
「うむ、身長がここ数年で1セーンチ伸びておるがな!」
ドヤっとない胸を張る師匠。フーナとしては伸びていたのかと驚かざるを得ない。ちなみに、センチはセーンチ、メートルはメトル、キロはキーロなど単位が若干知ってるものと近しい。
「今回は、お呼びさせて貰ったのはフーナ君にお礼を言いたかったのと、お願いしたいことがありまして!」
とガレリオンに言われる。
「私にですか?」
あーあ、厄介ごとだろうなと思わずにいられない。さすがに魔王を倒しに旅に出ろとかはないだろう。話が飛躍し過ぎている。
だが、このようなパターンは厄介ごとでしかないだろうなと思いつつ耳を傾けるのだった。




