20話仕方ないので助けるよ
フーナは、木の影からミルドレナがオークと戦い始める所をそっと見ていた。これまで森にオークが出たなど聞いたことはないが、面倒ごとの匂いがするなと思う。
「頑張って倒してくれよ。俺は平和に生きていたいからな」
心からエールを送っておく。
師匠であるレガレストを呼びに行くというのも考えた。彼女であればオークなど一瞬で倒せるだろう。前に大量のゴブリンと遭遇した時もあっさりと倒していたから実力はわかっている。
しかし、彼女を呼びに行っている間にミルドレナが殺されれば大変よろしくない。高飛車お嬢でも一応辺境伯の娘、言い方は悪いが命の価値は村人より高いだろう。
「殺されるよりも、慰み者にされるパターンが見てられないな」
オークという生き物に敗北すれば、ろくな未来が待っていないことだろう。
とりあえずは、戦況を良く見ておくことにした。
「まあ、負けるよな……」
頑張れと思っていたが、ミルドレナが負けるのは予想通りだ。スキルも強力でそれなりに戦っていたが、所詮は10歳。生まれながらの英雄でもない彼女にオークは荷が重過ぎた。
「ゴブリンになら勝てるだろうけど、相手が悪かったか」
ボロボロでも剣を持って立ち向かうおうとする姿は、素晴らしいものだが一撃もらえば殺されそうだ。
仕方がない……フーナは思いながら木陰から飛び出して、魔法を使う。
「ファイアボール」
「グモォ!」
火球は見事にオークの顔にヒットする。突然の攻撃に油断していた様で、隙を作ることが出来た。フーナはすぐさまミルドレナの手を取って走り出す。
「あんたは、フーナ!なんでここにいるのよ!」
「あなた様こそ、どうして森にいるんです?子供が入って良い場所じゃないですよ!」
むうう……とミルドレナが唸る。様子見のためフーナは、後ろを振り返って驚く。
「伏せろ!」
「きゃっ!」
ミルドレナに覆いかぶさる様に倒れ込むと頭上を石が通過していった。
「危なっ!当たれば頭が吹き飛ぶだろうが」
「距離が……照れるのだわ……」
ミルドレナが顔を赤くしてこちらを見ている。こんな時によぉ、とフーナ思いながら立ち上がる。
「ファイアボール!」
魔法を放つが、先程の様に油断していないオークには時間稼ぎには余りならないようだ。これは、逃してもらえる感じではない。
「どっちかが生きるか死ぬか、はっきりさせないといけないか……」
とフーナは呟き、隣のミルドレナを立ち上がらせる。
「あんたも戦える?こいつを2人で倒すわよ!」
さっきまでボロボロにやられてたのに元気なものだと思う。フーナは、ミルドレナの肩に手を置く。
「協力出来るのね!勝ったらご褒美に、家来にしてあげるわ!」
と嬉しそうにミルドレナが言うが……
「よし、オークに突撃しろお嬢様!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」
フーナの突撃命令にミルドレナが大声を上げるのだった。




