19話良い1日が台無しになりそうだよ
時は流れてフーナは10歳を過ぎた。平和な毎日……とは言えない毎日を過ごしながら成長していた。
「よし、師匠の身長に追いついたぞ。その内、追い越してやる!」
「むぐぐ……時間の問題と分かっていても辛いものだ」
もう数年後には、フーナがレガレストを見下ろすことになるだろう。
「今日も今日とて走りますか!」
5年前から日課となったランニングを始める。爽やかな朝の風を感じながら走るのは気持ちの良いものだ。前世では、ランニングなんて学校の授業くらいだったが転生して良さがわかった。
5年が経過しようとも村に変化は余りない。老いた者が亡くなり、新たな命が生まれる位だ。自分よりも小さな子供達が元気に遊んでいるのが見えた。
「よぉ、フーナ!今日も、頑張ってるなぁ!」
「よお、おっちゃん。仕事がんばー」
村で仕事の準備を始めているおじさんに手をあげて挨拶する。他にも多くの住民に挨拶して川辺に着く。
「今日も、良い1日になりそうだな」
「キャァァァァァァ!助けてぇ!」
悲鳴が聞こえた。いきなり気分が台無しだな……とフーナは思う。何が起きたかは知らないが関わり合いになりたくない。
「まあ、それで問題が起きても面倒か……」
諦めて、森に向かうことにした。ここ数年で魔法をかなり使いこなせるようになり森に入っても良いと言われている。ただし、勝てない者からは逃げることとされている。
フーナとしてもそれなりに判断は出来るつもりなので嬉しいものだった。これまでは出てもゴブリンだったので、楽だったが今回はそうでもないようだ。
「オーク……こりゃあ厄介だな。それに……」
すぐに村に戻りたい所だが、オークと向かい合っている少女が問題だった。
「ミルドレナだな。どうしてまた、こんな所に」
セプガースト辺境伯の娘だ。彼女も年齢を重ね、可愛さが増したようだ。時々、辺境伯と村に来るため目にしていた。フーナは、見つかればすぐに姿を消していたが……
「この豚!覚悟しなさい。さっきは驚いたけど、私が倒してやるのだわ!」
と剣を抜いて勝気に言う。
「いやいや、負けるだろな……」
こそっと隠れて見ながらフーナが呟く。
「〈身体強化〉」
ミルドレナがスキルを発動させて、戦闘が始まるのだった。




