17話師匠が出来てしまったよ
やられたとフーナは思った。魔法は使えないということは、ずっと隠してきたことだ。バレれば使うのを禁止されるかもしれないからだ。
「お母さん、言ったわよね〜。魔法が少しでも出たら教えるようにって」
「それは、そうなんだけど……使っちゃ駄目っていうんでしょ?」
親としては心配になる気持ちはわかる。だが、興味があるものなのだ。
「そう思ってたのね。逆よ!魔法が使えるかもって思ったからレガレストを呼んだのよ」
「ふっ、その通りだ!私がお前を鍛えてやるために来たんだ」
そんな目的で来たのかと思う。
「最初は魔法が使えるか調べてもらうつもりだったんだけど、それは不要だったな」
と父さん。
「そういうことだ、師匠と弟子で仲良くするとしよう!」
ウインクを飛ばしてくる。遅かれ早かれバレたにせよ、許せんものだ。
「師匠チェンジとかない?」
「失礼なぁ!私以上の魔法使いそうそういないぞ。こうなったら明日から覚えておけよ」
随分とムキになるなぁ、見た目通り子供だと思う。
「レガレストは凄いんだから、びっくりするわよ〜」
と言われる。あんまり信用できないが両親が言うのなら納得するしかないだろう。
翌日……
「では、質問だ。魔法を始める上で大切なものはなんだと思う?」
「想像力?」
適当に答える。
「それなりになってからならば想像力は良いが、まだ魔法を使ったことがないものに必要なものを教えよう」
初心者向けで最初から学んでいくようだ。
「それは?」
「体力だ!」
はい、脳筋確定!と心で思うが口に出さない。
「体力を付ければ、身体が強い魔法に耐えられる。身体が強ければ魔法も強いだ!」
「なるほど……」
と言いつつ、レガレストを見る。そこまで体力があるとは思えない……
「ジロジロと私の身体を見おって、さては、ロリコンか?変態め」
「し、失敬なぁ!体力とかあんのかって思っただけだよ!」
てか、自分でロリって認めてるじゃんそれって思う。
「なら、試してみるか。あそこに木があるだろう?あそこまで走って競走するとしよう」
「良いぞ!ぶっちぎってやる」
これは勝ったなと思う。レガレストはそこまで走れるように見えない。
スタートラインを引いて並ぶ。
「転移すんなよ」
「そんなもの要らんのじゃ」
と話しながら、フーナはクラウチングスタートの態勢になる。
「なんじゃ、そのポーズ?」
「ふっ、素人が」
この勝負貰ったと思いながら準備を整える。
「コインを投げるのじゃ、チャリンと落ちた音がしたらスタートなのじゃ」
「オーケー」
と答えると、レガレストがコインを取り出して指で弾いた。弾かれたコインが宙を舞い石にぶつかってチャリンと音を立てる。
2人が地面を蹴った。
「はぁ?」
すぐさま、フーナは驚く。あっさりとレガレストに前を行かれたからだ。そのまま差を開かれて、ゴールされた。とんでもない差だ。数歳歳上と走ってもここまでの差は開かない。
「嘘だろ……」
異世界に来て1番の驚きだ。アスリートを超えてやがる……と思った。
「あっはっはっ!どうだ見たか!体力が違うんだよ、体力が!」
勝った途端に偉そうになる。フーナに指を刺してゲラゲラと笑っている。
「ちくしょーーう!」
フーナは、声を上げて地面に拳を叩きつけるのだった。
「ママ、向こうで何かやってる!」
「見ちゃいけません」
なんて会話がされていたことなど、フーナとレガレストは知らない。




