14話関わり合いになりたくないよ
「あなたの言う通り、私はミルドレナ・セプガーストよ!あなたも名乗りなさいよぉ」
「失礼しました、私はフーナ。ただの村人です!貴方のような高貴な方とお話し出来る幸せ、神に感謝致します」
それっぽく挨拶をしておく。相手も同い年くらい……コミュ力は自分の方があると信じたい。
「そ、そう!感謝することね。……高貴だなんてぇ……」
前半は偉そうに、後半は何やら照れているような反応だ。顔を少し赤くしてモジモジとしている。
「大丈夫、ただの社交辞令だ!」
「しゃこじれ?」
まだ意味がわかっていないだろうから、聞こえても良いだろう。思い切ってサムズアップしてみる。
「それで、あんたは……いえ、ミルドレナ様は一体どうしてこんな何もない村に?」
「お父様に付いて来ただけよ!別に来たくてこの村に来たわけじゃないわ」
さしずめ暇になり、散歩でもしたのだろう。少し離れた所に兵士がいてこちらを見ているため1人で来たと言うことはない様だ。
「そうですか。では自分は用事があるのでこれにて!」
と言い即座に走って逃げようとする。
「ちょっと待ちなさいよ!少しくらい喋りましょ」
しかしミルドレナによってムズッと腕を掴まれてしまう。力が強くて話すことが出来ない。
「ちょっ、えっ強い!離してください、早く行かないと母が危篤でぇ!」
「それならとっくに村が大騒ぎよ!嘘つくんじゃないわ」
チィと心の中で舌打ちしつつ離れようとするが、やはり腕の力が強すぎる。
「ふふふ、私の強くなるスキルから逃げられるわけないでしょ!」
「〈身体強化〉か、良いスキル持ってるからなぁ」
確かに先程鑑定でスキルを覗いた時に、〈身体強化〉を見つけたが、まだ5歳位であればスキルを意識的に使えるとは思っていなかった。
それにしても5歳で、ここまで使えると言うことはもしかすると天才タイプなのかもしれない。だが、フーナも逃げるのを諦めるつもりはない。のんびりしていると日が暮れてしまいそうだ。
「失礼、ミルドレナ様!」
「ちょっ、あはは!何しゅるのよぉ〜。アハハ!」
フーナは、ミルドレナの脇に手を伸ばしてくすぐりを発動する。しゅるのって言い方は、可愛いなと思う。
くすぐりが効いたため掴んでいた手からは解放された。生活魔法で攻撃でもすれば自分の首が飛ぶかもしれないのでくすぐりにしておいたのだ。
「さようなら!」
全力疾走して、辺境伯令嬢ミルドレナからフーナは脱走するのだった。




