9話 満を持して、本物の、ヒーロー見参!!!
9話 満を持して、本物の、ヒーロー見参!!!
才藤の答えを聞くと、
その女神は、
「――興味深い解答だ」
目を閉じ、一度頷いてから、
「それで、私に話とは?」
「今から、俺が、革命的なエボリューションを見せてやる。『この世界の純性質』が『決定論的カオス』から『オメガ無矛盾』へと変わる瞬間を……形而上の運命論的なソリューションに至るその瞬間を見せてやるから、ちゃんとそこで見ていやがれ!」
「了解した。この迷宮の――『この世界のGM』として、その瞬間をとくと見せて貰おう」
そこで、才藤は、
懐から『宝くじの護符』を取り出して、
「俺は祈る」
右手を胸に手をあて、左手に握っている『宝くじの護符』を天に掲げ、才藤にしか使えない、唯一無二のスキルを使用する。
それは、
「この俺こそが、全ての絶望を切り裂き、あまねく世界を救い、大切な人を完璧に守れる、そんな……本物のヒーロー足らんことを!」
叫ぶと同時に、護符が発光する。
煌めく輝きは一度世界を包みこむと、柔らかく収束した。
――気づいた時、才藤の手には、一枚のカードが握られていた。
「おやおや、拡張パッケージに変化しまちたか。うーん、GMにオネダリして超級アイテムを貰うなんて、卑怯でちゅねぇ……で、それを使うとどうなるんでちゅか?」
「俺の背中に、最強の煌めき――『英雄の剣翼』が顕現する」
「はっ……最強アイテムを宝くじで入手とか、もはや、卑怯っていうか、卑劣でちゅねぇ」
「俺に出来る全てを投入して、あんたに『俺の想い』を叩きつける。そうだ……俺は祈る。俺だけではなく! あんたも! 本物のヒーロー足らんことを!!」
言いながら、才藤は、拡張パッケージを使用する。
カードが粒子になってロザリオに飲み込まれていく。
気付けば、巻かれているロザリオは『Z』の形に代わっていた。
――才藤零児が憧れた、最高のヒーローを示す一文字――
――絶対なる終焉にして究極――
――全てを包み込む光――
――たった一つの希望――
「悪鬼羅刹は表裏一体。俺は独り、無間地獄に立ち尽くす。どこまでも光を求めてさまよう旅人。ここは幾億の夜を越えて辿り着いた場所。さあ、詠おう。詠おうじゃないか。喝采はいらない。賛美も不要。俺は、ただ、絶望を裂く一振りの剣であればいい」
言葉がゆらめく。
魂魄がまたたく。
「それでは、独善的な正義を執行するとしよう。たゆたう血で穢れた杯を献じながら。――俺は……才藤零児」
グっと目を見開き、腹の底から叫ぶ!
「ヒーロー見参!!」
背に顕現する!
全部で十六本の剣!
後光のように光輝く!!!
それを見た終理は、
ニタニタと笑うのをやめ、
スっと感情を消して、
「はっ……ヒーローねぇ。くっそ、バカバカしい。いい加減、卒業しろってんだ」
ボソっとそう呟いた直後、
「死んでろ、クソ厨二野郎! 詠唱とか、マジでダセぇんだよ!」
ミスターZは飛んだ。
我先に『主導権を握ろう』とスラスターを噴かせた。
極悪な火花が舞い散る。
空間を駆ける二つの破壊兵器。
炸裂し、弾けて、拡散する。
『破壊』と『断絶』が絶え間なく重なり合い、
色彩を超越した幻想の光になる。
美しく、儚く、『仄かな一瞬』が世界を満たしていく。
命が輝く。
高位の兵器は、複数のジオメトリを三次元に投影させる。
平面幾何学と立体幾何学、そして、抽象的な幻影の幾何学までもが美しく組み合わさり、しかもそれが、七色の瞬きに照らされているものだから、その幻想的な光景は、当然のように、見る者全ての魂を釘付けにする。
ファントムの嵐。
まるで神の絵画。
「本当にチートアイテムだな、英雄の剣翼ってのはぁあああ! この私がガチで組み立てた兵器が押し負けているじゃないかぁあ! 少し傷ついたぞぉお、才藤零児ぃい!!」
「あんたに憧れた『この俺』という存在はぁ! 決して『無意味な残骸』なんかじゃねぇえ! それを証明してやる! 世界を変えてやる! 俺はヒーローになる!!」
「勘違いも大概にしておけよ、クソガキぃ。私が、その気になればなぁ!」
そこで、終理は、両手の指を鳴らし、
「《ログオープン・ランクSS+》」
そう呟いた瞬間、終理の目の前に、
『大量の情報で溢れたマルチエアウィンドウ』と、
空中に浮かんでいる『異なる形状をした三種類のホロキーボード』が出現した。
終理は、高速で打鍵し、速攻で、
「くく……見つけた」




