4話 イチャイチャ。
4話 イチャイチャ。
「今日は随分とつっかかってきまちゅねぇ。もしかして、女の子の日でちゅか?」
さらにイラァっとした顔を魅せる銃崎。
――そこで、華日が、銃崎と終理の間に入り、
「銃崎。あんたの、そうなってしまう気持ち、分からないでもないけれど、姉様と比べたら、あたし達なんて、ほとんど何もできない子供と同じ。それを認めた上で、じゃあどうするかを考えないと、一歩も先には進めない。みっともなくゴネて、『大人扱いしてくれ』って喚くのは、まさしくガキの所業。そうじゃない?」
「なんだ、その『お行儀よくまとまったセリフ』は。これまで自分に言い聞かせてきたテンプレか何かか?」
「……はぁ? あんたさ、『二年も年下の後輩に八つ当たりするような、死ぬほどダサいクズ』なんか、無能な乳飲み子扱いされても仕方ないって事に、いい加減気付いたら?」
イラァっとしているのが目に見えて分かった。
睨みあっている美女と美少女を見て、
才藤はため息をついた。
(うわー、鬼めんどくせぇ……)
そこで、才藤は、
ナチュラルに自分のピッタリ隣についている聖堂に、
チラっと視線を向け、
「おい、お前の友達がブチ切れてんぞ。なだめてこいよ」
「ト、モダチ……? なんだ、それは? 私は、貴様に、それが美味しいかどうかを聞けばいいのか?」
「お前は、どの次元にいるボッチなんだ」
「探せばいるものだな、喋るゴキブリという特異な存在も。まあ、何を言っているかは分からないし、そもそも探してなどいないのだが」
「……ついにはゴキブリ扱いか。サイコー嬉しいねぇ。しかし、お前、ほんと、俺のファントムワードを引用するの好きだな。なに? 俺に憧れてんの?」
「ゴキブリに憧れるヤツがいるか?」
「まあ、探せば、どっかにいるんじゃねぇの? なんせ、ヤツは飛べるからなぁ」
そこで、羽金が、
「イチャイチャしている場合? あの二人、マジで止めないと、どんどん険悪になってる。あんなにキレてる銃崎を見るのは初めて」
「なあ、聖堂。羽金パイセンは、俺とお前がイチャついているように見えたそうだ。どうやら、彼女は閉所恐怖症だけではなく、ほかにもいくつか、心の病気を抱えているらしい」
「セラピストか脳外科医を紹介してやるといい。通っているのだから詳しいだろう?」
「通ってねぇよ。俺を治せるほどの名医なんざこの世に存在しねぇからなぁ」
イチャつき続ける二人の視線の先で、
酒神終理が険悪極まりない二人の間に割って入り、
「まあ、まあ、何に怒っているのか知りまちぇんけど、銃崎たん、落ち着いてくだちゃい」
「君にイラついているのだ!」
「え……もしかして、学校の裏サイトに、『銃崎ってなんかスカしててムカつくよな、死ねばいいのに』って書きこんだのがバレちゃったんでちゅか? オイちゃんがやったって絶対にバレないよう、友達のスーパーハカーに頼んで、色々と細工をして書き込んだのに、まさかバレるなんて……ぃ、いやぁ、申し訳ないでちゅ。悪気はなかったんでちゅ。許してくだちゃい。ちなみに、これが書き込んだ証拠でちゅ」
「そんな冗談を聞いている余裕は……って、何をやっているんだ、君は?! 本当に書き込んでいるじゃないか! 悪気はなかったって……その念入りな行為からは、切れ味鋭い悪意しか感じないのだが?! ……って、一件だけじゃなく、似たような悪口を十件以上も書き込みしているじゃないか! 本当に何をやっているんだ、君はぁあ!」
大声を出したことで、
どうやら、少しは落ち着いたのか、
「……はぁ、はぁ……もういい」
とうぜん、完全に『もういい』と思っているわけではないが、
このまま無様を晒し続けるのは、
プライド的に許せなかったため、
どうにか、冷静に、言葉を並べていく。
「まだ研鑽が足りないというのなら、これまで以上に努力をするだけだ。いつか、必ず、君に私を認めさせてみせる」
自分自身に言い聞かせるような宣言の後に、
「酒神華日。すまない。君の言うとおり、酷い八つ当たりをしてしまった。大人気ない行為だったと本気で反省している。君には謝ってばかりで、もはや、私の謝罪からは誠意を感じられないかもしれないが……この通りだ。どうか、許してくれないか」
そう言って深々と頭を下げた。
「そんな深々と謝られたら、逆にこっちが悪いみたいになって、なんか不快なんだけど」
そう言ってからプイっと顔をそむける華日。
場が落ち着いたのを確認してから、怪津が、
「それで、終様。わたくしたちに見せたいものとは?」
「ちょうど辿り着きまちた。この扉の向こうにありまちゅ。じゃーん」




