表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/70

1話 才藤零児の日常。


 1話 才藤零児の日常。


 ――翌日の朝。

 登校すると、



(おやおや)



 才藤の机は芸術的な有様に変貌していた。


 マジックで、『死ね』や『キモい』と大量に書かれており、

 教科書等が破られた状態で散乱しており、

 机の中には生ゴミや、小動物の死体が詰められていた。



(うぅわっ……子猫やハムスターの死体まである。まさか、このために殺したんじゃねぇだろうな。引くわぁ)



 視線を動かして、クラスメイトたちの顔を確認してみた。


 このクラスにも3割ほど存在する『比較的マトモ』な連中は、

 才藤の様子を、少しだけ心配そうに窺っていて、


 『比較的普通』な6割の連中は、無責任なヤジウマをしている。


 そして、最後の1割は、

 俗に一軍・イケてるグループと呼ばれている風見達で、

 犯人特有のあからさまな顔でニヤニヤしながら才藤を見ていた。


(俺が地下迷宮研究会に入ったから……かな? クラスカーストの王様的には、『軽くイジっていたカス』の『妙な成り上がり』は非常に遺憾であるため制裁を加えることと相成りました的な? まったく……教科書や机はともかく、小動物の死体で遊ぶのはやめとけよ。ここまできたら、流石に笑えねぇぞ)


 しんどそうな顔でため息をついていると、


「おいおい、サイトー、どうした? なんかあった?」


 風見が声をかけてきた。


「んー、うーわ、お前の机、どしたん? ヤベぇ事になってんじゃん」


 その発言の直後、取り巻き連中の笑い声がクラスに響いた。


 笑っている連中に、才藤は視線を送ってみた。


 別に睨んではいない。

 どんな顔をしているのか見たかっただけ。


 連中は、才藤が冷たい視線を送っても、

 楽しそうに笑っていた。


(スゲェな。どういう精神構造してんだろ。ちょっと、お前ら、周りを見てみろ。比較的マトモな連中がゴリゴリに引いているぞ)


 そこで、風見が、才藤の肩に手をまわしてきて、


「まあ、でも、お前ってリア充のエリートだから、このくらいは何ともないよな? むしろ、良い事と悪い事がつりあって、人生が均等になった的な? よかったな」


(理屈が超展開すぎて理解がおいつかないな)


 『さて、どうしたものか』と考えていると、


「ちょっと聞いた話なんだけどさぁ……お前の親父って連続強姦魔なんだって?」


(ん? まさか調べたのか? 別に隠してないから、少しその気になって調べれば簡単に分かるだろうけど……んー、つまり、こいつは、少しその気になって俺のバックボーンを調べたってことか。どんだけヒマなんだ。俺みたいなカスのことは、無視しとくのがベストなんだけどねぇ)


 心の中で呟いてから、


「確かに俺の父親は最低の鬼畜だ。で? それがなんだ? だから石を投げても構わないだろって言いたいのか?」


「あ? んな事言ってねぇじゃん。なに? 被害モーソー? 引くわぁ。てか、キズついたわぁ。おい、謝れよ。手をついて」


「それ、どういうギャグ? どうせなら、もう少し面白い事を言ってくれない?」


「……なんだ、その態度」


 才藤の揺るぎない態度に、

 本当にイラっときたらしく、


「ガチで言ってんだよ。謝れ」


 そこで、風見は、取り巻き連中を煽り、リズミカルに手を叩いて、


「ど、げ、ざ! ど、げ、ざ!」


 すると、取り巻き連中はもちろん、

 ヤジウマしていた連中の中でも、何人かが乗ってきて、

 結構な合唱になった。


 土下座コールを一身に浴びた才藤が、


(土下座ねぇ……別にやってもいいんだけど……さてさて)


 呑気にそんな事を考えていると、

 流石に見かねたらしい『比較的マトモ』な連中の中でも、

 特にマトモな、学級委員をしている女子生徒の山村が、


「あの……風見くん、流石に、そろそろ……ちょっと、やりすぎじゃない?」


 おずおずと、しかし、勇気を出してそう言った。

 そんな彼女の勇気を目の当たりにして、

 それまでずっと超然としていた才藤が、初めて動揺を見せた。



(や、ヤベぇ! この展開だけはマズい! 俺へのヘイト(敵意)がそのまま山村に移っちまう)



 ブワっと冷や汗が出る。


(クソバカ女が……俺のことなんざ、無視してりゃいいのに……俺の顔色、ちゃんとみろよ。この程度でヘコむほど、俺はまともじゃねぇんだよ、くそがぁ!)


 心臓の鼓動が驚くほど速くなる。


「あぁ? やりすぎぃ? ねぇ、山村さぁん……何がぁ?」


 風見は、山村に対して、かなり威圧的に、


「俺は酷い事を言われたから謝ってほしいってだけなんだけど? 何がやりすぎ? あ? マジで、どういう意味? あ?」


「ぃ、ぃや、ぁの……」


 ついに、うつむいて、プルプル震えだした山村を見て、

 才藤は覚悟を決めた。


 クラス中に聞こえるくらい『大きく舌打ち』をしてから、

 スゥゥっと息を吸って、


 『スーパーサイコパス才藤零児』は、





「引っこんでろ、ブス、ごらぁ!」





 喉をつぶす勢いで叫んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 二話投稿、ありがとうございます! [一言] かぁあああー、そこで偽悪的になるかぁー! 次話読むのがキツい……w クズニートの聖堂ポジションなのかな。聖堂はちょっと調子に乗ってトコにボコら…
[良い点] 厨二迷宮2話投稿、ありがとうございます。 相変わらず、才藤が偽悪的な善行を やってますね。 [一言] こういうカスみたいな人って、未だに いるんですかね。本当にいたら、クズすぎて 笑えない…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ