第91話 「ケーキがとても美味しいですわ」
──前回までのあらすじ。
夜な夜な、麗しい姫君達の眠りを妨げる。狡猾で残忍極まりない犯人、"眠れる森の美女〈スリーピングダンサー〉"
その犯人は、卑劣にも。意識も無く抵抗も出来ない姫君に悪さを働き、卑劣極まりない犯行を重ね続けていた。
……しかし!
それを阻止すべく、彗星の如く一人の名探偵が現れる!
頭脳明晰、天地神明、才色兼備、博覧強記、傾国美女……。
──その名は、名探偵ラミス。
「犯人"眠れる森の美女〈スリーピングダンサー〉"の正体は、私が必ず暴いて見せますわ!……お父様の名にかけて!!」
……カチャカチャ。
ラミスは上品に、そして静かに粛々とデザートのケーキを攻めつづける。そしてもう一度お紅茶を頂き、これでもかっ!って、いう位に小指を立て紅茶をくーっと一気に飲み干す。
そして、ゆっくり順番に三人の顔を改めて見つめ始める。
……いや。ラミスは鋭い眼光を放ち、まるで獲物を刈る狩人の様な、勝利を確信した瞳で、姉妹三人を見つめていた。
ラミスには、もう犯人が誰であるのか解っていた。
……犯人は。
──そう、犯人"眠れる森の美女〈スリーピングダンサー〉"の正体とは!?
「それにしてもさー。ラミスの寝相は、ちょっと悪すぎるわねー。」
…………。
……は?
「私もお姉様の、お寝相にはびっくりしてしまいました。」
…………。
……え?
「……ふふっ。元気があって、いいじゃない。」
…………。
……あら?
「それよりさー、この前のあの演劇見たー?面白かったわ。悪魔嬢ドリキュア。」
…………。
……あらあら?
「私は、バイリスク~交換日報帳~がとても素敵でしたわ。」
…………。
……あらー?
…………。
…………。
ラミスは考えた。
「このケーキとっても美味しいですわねっ。
」
……うふふ。
「はーいミルフィー、お口開けてー。はい、あーん。」
……もぐもぐ。
「美味しいですぅ、お姉様。」
幸せそうに、微笑むミルフィー。
「うふふ、ミルフィー。ほっぺにクリームが付いてますわ。」
「あら、私ったら。」
……うふふ。
……うふふ。
……うふふふふふ。
何も無かった事にする、ラミス姫様でした。




