第75話 「我ながら、恐ろしい技を編み出してしまいましたわ」
またもや真っ白になり、天井を見上げるラミス姫様。
「あば、あばば……。о△о」
……プスプス。
『9279回目』
「はっ。」
我に返るラミス。
…………。
「……やはり、この技はしばらく封印ですわね。」
…………。
「ム、ムリですわー。やはりあんな化け物、人間には倒せませんわ。」
何時もの様に、ごろごろ転がる姫様。
「…………。」
しかし、今回は少し考え。そして立ち上がる。
「……ふむ。」
「よし。お次はナコッタお姉様に、会いに行きますわよっ!」
──だだだだだっ!
ラミスは姉ナコッタに会う為、西の村へと走り出した。
「なっ。貴様何をしている!?」
──ドカッ!
「忘れてましたわー!」
とりあえず、ゲイオルグを蹴り飛ばす姫様。
そして、ゲイオルグと四人のヘルニア兵士を倒し、外に出ようとした瞬間、ふとラミスはある事を思い出す。
「……そうでしたわ、その前に。」
何やら、何処かへすたすたお出かけする姫様。
……お出かけしますわ。
…………。
ラミスは要件を終え再度、西の村目指して走り出す。
「ナコッタお姉様とは、色々お話がある事ですし、急ぎませんと……。」
──したたたたたた!
…………。
……やはり、自分の体に少しの違和感を感じるラミス。姉リンと会ってから以降、体が少し軽い気がするのである。
……気のせいだろうか?
まあ毎回毎回、ラミスはかなりの距離を走っているのだから。体力が付き、足が速くなっているだけなのかも知れない。
……ラミスはあまり、深く考えない事にした。
西の森に到着すると、ラミスはヘルニア兵士の一行と遭遇する。
──!?
ヘルニア兵が、まだ西の村に辿り着いていない?
…………。
ラミスはヘルニア兵士に見付からない様。かなり遠回りをし、西の村へと向かった。
──ひょこ。
西の村に到着し、姉ナコッタの居る建物の中を、窓からちょこっと覗き込むラミス姫様。
じー。
「ナコッタお姉様とグレミオが居ますわ。」
ラミスは建物の入り口へと回り、姉ナコッタの居る部屋の扉を開けた。
「お姉様ー、ラミスですわー。」
色々あり、生きている姉ナコッタに会うのは久し振りだと、満面の笑みで登場するラミス。
──ドカッ!
「たっ、大変です!グレミオ隊長!クリストフ将軍!敵兵がっ、ヘルニア兵がすぐそこまで来ています!」
「むぎゅっ。」
────────。
後ろから走って来た兵士がぶつかり、顔面から思いっきり床に倒れる姫君。
…………。
ラミス姫様が、大変な事になっていた……。




