第64話 「バランス感覚は、淑女の基本中の基本ですわ」
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ラミスは今までの事を、全て話した。
……何回も死に戻り、戦った事。
……脱出するまで、死に物狂いで努力し戦い続けた事。
……今まで文字通り、命懸けで集めた情報の数々を。
その全ての出来事を話した。
…………。
「お姉様……。」
リンはおもむろにラミスに歩み寄り、ゆっくりとその体を抱きしめた。
「よく頑張ったわね……。ずっと今まで一人で戦って来たのね。……大変だったでしょう?」
「お……お姉様。」
ラミスは姉に抱き締められ、今まで溜め込んでいた想いが一気に込み上げ、涙が溢れて止まらなかった。
「これからは私達も一緒だから、三人ずっと一緒だから。いいえ、違うわね。四人……。ずっと四人一緒だからね。」
「お、お姉ざばー。」
姉のその言葉に感激したラミスは、今まで一人で溜め込んでいた数々の苦悩や想いが溢れ出て、泣きじゃくった……。
「お姉様。私ずっと、ずっと一人で悩んで……。苦しくて、痛くて、怖くて、何も出来なくて……。何度も何度も死んで……。お城の人達が大勢亡くなって、それにまだ沢山の人達が捕らわれていて……。でも、誰一人救えなくて。私、私……。」
ラミスはそれからも、ずっと泣き続けていた。リンとミルフィーは、そんなラミスを暖かくそして優しく抱きしめた。
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「と言う訳で、私達の戦いはまだ終わってないと言う事ね!ナコッタが生き返る可能性がある以上、こんな所で何時までも落ち込んでなんかいられないわ!」
リンは勢いよく立ち上がり、手にぐっと力を込め握りしめた。
「お姉様……。」
ラミスとミルフィーも涙を拭き、リンに答える。
「そうと分かれば、何だかお腹が空いてきたわ!しっかり食べて休んで、明日の戦いに備えるわよ!」
──しゅたっ!
「分かりましたわ、お姉様。ラミスがすぐに取って参りますわー。」
──だだだだだだだ。
ラミスは勢いよく扉を開け、音速で駆け出し、厨房の方に走り去って行った。
……しばらくすると、メイド達が騒ぐ声が聞こえだす。
「ひ、姫様ー。そういう事は私共メイドがやりますからぁー。」
メイド達はそう叫びながら必死に走るが、ラミスが速すぎて全く追い付く事が出来ない。姫様速すぎ問題。
「姫様ー。」
両手に皿を持ち、さらにもう一枚を頭の上に乗せ、高速で風の様に駆け抜けるラミス姫様。……ラミス姫様体幹バランス、パナイ案件。
「急ぎますわー。・~・」~♪
「姫様ー。えっ!?はやっ!」




