第63話 「ラミスはラミスは思いますわ」
「えっ?じゃあ私の背中にも、何か化け物がいるのっ?」
背中をもどかしそうに、あせあせしながら可愛く摩るリンお姉様。
……お姉様?神々に向かって化け物呼ばわりは、失礼ではありません事?お姉様。
すーっとリンに近付く、ラミス。
「お姉様、失礼致しますわ。」
「えっ、あっ。ちょっとラミス!?」
リンお姉様の背中を覗き込む、ラミス&ミルフィーシスターズ。
…………。
「……タイガーさんが、いらっしゃいますわね。」
「えっ、タイガー!?」
「お姉様っ、お姉様っ。ナコッタお姉様のお背中には、何の神々が宿っていらしたのですか?」
……えーと、確か。
「亀さんがいらっしゃいましたわ。」
「……か、亀?」
「そうですわ。私にはフェニックス。ミルフィーにはドラゴン。リンお姉様にはタイガー。ナコッタお姉様には亀さんが、それぞれ宿っておりますわ。」
「ちょ、ちょっと待ってよ!ラミス。」
…………。
リンお姉様が、何やら真剣な眼差しでラミスの話に待ったを入れる。
「ねえ、ラミス。私、貴女の話を聞いて一つ思った事があるの……。」
そう言いながら、リンは改めてもう一度ミルフィーの背中を見た。
…………。
「……やっぱり。」
リンはミルフィーの背中を指差し、ラミスの方に振り向く。
「どちらかと言うとコレ、ドラゴンって言うより、蛇じゃない?」
…………!?
「へっ、ヘビ!?」
酷く慌てふためき、青ざめる末っ娘ミルフィー。
「ヘビは、ヘビはいやー!!>_<」
…………。
「……お姉様。これは神話の怪物、リヴァイアサンかと私は思いますわ。」
──キリッ!
「リヴァイアサンも海蛇だから、似たようなものよ!」
「海ヘビ!?……あわわわわわわ。」
何やらミルフィーが大変な事になっていた。
「それにフェニックスって、こんな感じだったかしら?……何だか少し違う様な気がしない?」
ふむふむ。……あら?
「それに私、虎なの?出来ればもっと可愛い猫とかの方が良かったわ!」
……なるほど。え?そっちですの?
「ヘビ……。背中にヘビが……。」
ぶつぶつ……。
…………。
「……そう言えば、お姉様。」
ラミスは前から気になっていた疑問を、リンに尋ねてみた。
「リンお姉様は、あれ程までに強くなられて、背中も光ってましたのに……。神々の力とか、お気付きになられなかったのです?」
「……え?」
「私が強いのは、ただ単に私が天才だからじゃないの?えっ?これ神々の力なの?……まあ、神々の力が無くても私だったら、このくらい楽勝よねっ。」
……お姉様?
どうやら、リンお姉様は少しだけ天然の様である。
「……お姉様。あの豚さんは普通の人間では、倒せませんわよ?」
…………。
「背中にヘビ……。ヘビ女……。」
ぶつぶつ……。
…………。




