第56話 「そうだわ、パンが無ければ殴ればいいのだわ」
……不味いですわ。
「…………。」
非常に不味い状況である。起死回生に繋がるであろう、ミルフィーの新魔法は残念ながら弾切れの様だ。
……しかし、先ほどのラミスの脅しが効いたのか。ヘルニア兵士達はミルフィーの魔法を恐れ、近付かなくなっていた。
「…………。」
弾切れで魔法が使えない──。
──!!
「そうですわ!」
頭の上に"ピコーン"と豆電球が浮かび、手をぽんと叩くラミス姫様。
「弾が無いなら、補充すればいいのだわ。」
ラミスはミルフィーの肩や腕を揉みほぐし、マッサージを始めた。
「ほーら、ミルフィー。貴女はだんだん魔法が使いたくなーる、ツカイタクナール。」
「お、お姉様!?それは流石に無理があるのでは……?0∩0」
「うおーっ!」
キャッキャッ、ウフフしている仲の良い姉妹に一人のヘルニア兵が斬りかかる。
「きゃあぁー!」
──バシュー!
またもやミルフィーの手と背中が青い光を放ち、風の様な魔法の刃が敵を切り裂いていった。
「…………。」
「……あらー?」
……あらあら、出ましたわね。
…………。
「わっ……。私の計算通りですわ!」
──キリッ。
「流石です、お姉様。」
下顎に手を添え、どやるラミス姫様。……おほほほ、ですわー。
「ほらねっ、ミルフィー。私の言った通りでしょう?」
「流石、お姉様ですぅ。」
すかさずキャッキャッ、ウフフする仲の良い姉妹。
「ラミスー。ほら見て、見てー。」
豚と格闘中のリンお姉様のお声に。ラミスとミルフィーだけでなく、ヘルニア兵達も一斉に振り向き、一同がリンの姿を見る。
「ほら見て見てー。討ち取ったわよー。さっすが、私よねー。」
倒れて動かなくなった豚の上で、子供の様にぴょんぴょん飛び跳ね、はしゃいでいるリンお姉様。
──!?
あの豚さんを倒したんですの!?流石お姉様ですわ。……と姉の強さに驚くラミス。
「素敵ですわー!お姉様ぁー!!」
そして、手をぶんぶんと振って喜ぶラミス姫様。
「でっしょー!もっと私を誉め称えなサーイ!!」
「さてと……。」
よっこいしょ……ですわ。
息をふーっと吐き。ヘルニア兵を見ながら、お目々が光るラミス姫様。
「……形勢逆転ですわぁ。」
ふふふ……。
「そっ、そんなバカな!……あんな怪物を!?」
「豚を倒す事など、人に出来る筈がっ……。」
姉リンの強さに、ヘルニア兵士達が一斉にざわめき出す。
フフフフフ……。
リンお姉様のお目々も光り、不敵に笑っていた……。
「お仕置きの時間よ!覚悟なさい!!」




