第55話 「無敵のお姉様が、スターシルヴァーに輝いて何とかしてくれますわ」
「待ってて、お姉様……。」
ミルフィーの手と背中が光り、ラミスの傷を癒していく。
「流石、ミルフィーですわぁ。」
頬に手を添えながら、頭をなでなでするラミス姫様。……いい子、いい子。
「えへへへへ……。」
幸せそうな妹ミルフィー。
──ギュオォ!
ラミスは蹴りの軌道を、器用に途中で変え。ヘルニア兵士の首を狙っていく。
──ドガガッ!!
「ぐああっ!」
一瞬で二人のヘルニア兵士を、地に沈めるラミス。
「久し振りの姉妹の再会に、水を指さないで欲しいですわ。」
わらわらとヘルニア兵士達が集まり、囲まれるラミスとミルフィー。
その数、約五十……。数が多過ぎる。
今のラミスでは、やはり厳しい状況であると言わざるを得ない。
「仕方ありませんわね……。少々無茶を致しますわ。ミルフィー、援護は任せましたわよ。」
「はいっ、お姉様……。えっ、無茶!?」
──ドガガガガッ!
ラミスはとりあえず、ヘルニア兵を蹴り飛ばし数を減らしていく。そして隙を見計らい、ヘルニア兵の首と後頭部を狙っていった。
──ガキン!
やはり兜が邪魔をする。そして同時にラミスの足も無事では済まない。
「くっ……。」
数を減らさねば……。とにかく数を減らさないと勝ち目など無い。焦るラミスだが、さらにヘルニア兵は集まり増えていく。
──ガッ!
懸命に戦うラミスだが、やはり多勢に無勢。数で押されるとやはり、どうしようもなくなってしまう。
「きゃああー!」
ミルフィーの悲鳴が聞こえ、慌てて振り返るラミス。ミルフィーがヘルニア兵に腕を掴まれている!
「いやっ、放して!」
当然だが、放して!と言って、放してくれる敵などいる筈がない。
突如、ミルフィーの手と背中が光り始める。
──!?
「えっ……。」
──バシュー!!
放たれた魔法の刃が、敵を薙ぎ倒して行った。
「えええっ!?」
魔法を放ったミルフィーもまた、驚き戸惑っている様子。
「やるじゃない!ミルフィー。凄いわ!」
ぱっと妹に飛び付いて、喜ぶラミス姫様。
「あ、私の傷も治して下さるかしら?」
「はっ、はい。お姉様っ。」
ミルフィーに傷を治療して貰いながらラミスはふと考える。
先ほどミルフィーが放った魔法の跡……。ミルフィーの放った空を切り裂く魔法の刃は、ヘルニア兵を一度に五人を薙ぎ倒していた。
……じー。
一度に五人も倒すなんて、もしかして私より強いのでは……?
……じー。
「ど、どうされましたの?お姉様。私の顔に何か付いてます?」
ラミスはふふっと微笑み、くるくると華麗に回りポーズを決める。
……くるくるですわ。
「さあ、ヘルニア帝国兵士の皆様!我が妹ミルフィーの魔法のお味を、テイストしたい殿方から御出なさい!……ですわ!」
ラミスは下顎に手を添え、優雅なお嬢様ポーズを披露した。
おほほほ、ですわー。
「お姉様っ、お姉様!0~0」
あたふたしながらラミスを呼ぶ、ミルフィー。
「おや?どうしましたの?ミルフィー。」
ミルフィーはラミスに近寄り、耳元で小声でこそこそ話す。
「お姉様、どうしましょう?……私、もう魔法が切れたみたいなんです。」
…………。
…………。
「あらー?」




