第47話 「今なら豚さんを、ローストポークに出来そうですわ」
「そんなに簡単に出来るなら、苦労はしませんわ。」
ぷんすこ怒るラミス姫様だが、その動きはぴたりと止まる。
「…………。」
……ラミスは、少し考え込んだ。
「……そういえばクリストフ将軍も、似たような事を仰ってましたわね。」
一応念の為、ラミスは他の書物も目を通してみようと考え手を伸ばす。
『素手で豚を、倒す方法百選』
こちらも先程と同じく、何の突拍子も無く荒唐無稽な内容だったのだが……。
『~プリンセス神拳伝承者への道~』
当然の事だが、ラミスには格闘技の知識は全く無い。ラミスにとって格闘技の基礎知識や、その戦い方は例えどんな内容であってもラミスにとっては有意義な物であった。
「……ふむふむですわ、こんな技がありますのね。」
──ぱたむ。
本を読み終え、すくっと立ち上がるラミス。
「……何か、強くなった気がしますわ。」
ぐっと、力強く拳を握り締めた後。可愛く、しゅっしゅっとシャドウボクシングをするラミス姫様。
……そしてラミスは、扉を開け外に向かって行った。
「行って来ますわ、お父様。……天国から、このラミスを見守ってて下さいまし。」
そしてラミスは、また過酷な戦場へと赴いて行くのだった。
──バタン。
……ラミスに安らぎ等無いのである。姉と妹を救う為。姉リンを探す為。亡き父の無念を晴らす為。……そして愛する民達を救う為に。
──ラミスは戦わなければ、ならないのだ。
そしてラミスは全力で、走り出した。
「忘 れ て ま し た わ !」
……ちょこんと椅子に、お座りするラミス姫様。ラミスは、一番肝心である伝承の神々の本を見忘れていたのだ。そもそも父の書斎に来たのは、この古の神々の力の事を知る為である。
ラミスは気を取り直して、本を読み始めた。
「えーと。……何々ですわ。」
ページをめくり、神々の力の事を記された項目を探す。
「……ありましたわ。」
その書物はかなり古く、所々古代の文字が使われていた。その為、ラミスが読むには少し難しい内容だった。
……いや、それは正確には少し違っていた。解読されていないので、誰も読む事は出来ない文字なのである。
とりあえず、読める箇所だけ読み進めていくラミス姫様。
『───』
『──』古代──の──。──。蘇生の力を授ける。その者、神の如き力で、死から黄泉返る力を得る。
『──』古代──の──。──。幻術の力を授ける。その者、神の如き力を得、敵を葬り去る。
『──』古代──の──。──。猛将の力を授ける。その者、神の如き力を得、敵を葬り去る。
『──』古代──の──。──。法術の力を授ける。その者、神の如き力で、将や民を助ける力を得る。




