第43話 「必ず救ってみせますわ」
『9142回目』
ラミスはゲイオルグの鎧に身に付け、城内の捜索を開始した。
ラミスに出来る事は、かなり限られている。ラミス一人の力では、到底解決出来ない問題が山積みなのだ。
──そして、謎。
この力の事……。姉リンの居場所、姉ナコッタに宿る神々の力の正体。
以前からラミスは、一度城内も調べなければいけないと考えていた。
その一つが、父の書斎である。そこにある書物には一度、目を通しておいた方がいいだろう。
この現状を、力業で解決するのは不可能である為。やはり、何よりも重要な物は"情報"なのだ。
ラミスはまず、鍵を届けてくれたメイド。ロクサーヌに会いに行った。
ロクサーヌは鎧を着たラミスを、ヘルニア兵士が来たと勘違いをし、かなり怯えた表情を見せていた。
すぐにロクサーヌの手を取り、無事脱出出来た事を伝え感謝を述べるラミス。するとロクサーヌは震えながら、涙を流しラミスの無事を喜んだ。
……自分の事だけでも、大変だろう。しかし自分の事よりもラミスの身を案じ、涙を流してくれるロクサーヌの優しさに。ラミスもまた心を打たれ、涙をながしていた。
ロクサーヌに別れを告げ、ラミスはまだ城内に残されてる人達全てに話し掛けて回った。
ロクサーヌ同様、無理やり兵士の食事等の世話をさせられているメイド達、奴隷の様な扱いを受けている民達、牢に捕らわれている人々……。
ラミスは、これからの人々全てに話し掛け謝罪をした。今すぐ助ける事が出来ない事を何度も涙を流し謝罪をした。
捕らわれた民達は、このような状況になりながらもラミスの無事を喜び。進んでラミスに協力し、情報を提供してくれた。
これは民達の優しさも、勿論あるのだが……。その理由の一つに、ラミスの人望の厚さがあった。ラミスは城に住む全員の名前を覚えており、一人一人の名前を呼びながら声を掛けて回っていたのである。
ラミスの人徳もあり、集まった情報は以下である。
将軍クリストフ
一人で敵兵約二千五百を屠り、その後ナコッタ姫を敵兵の中から救出。ある怪物の一撃を喰らい生死不明。
将軍バラン
先陣を切り、一人で敵兵約七千を屠る。その後、ある怪物と死闘を繰り広げるも敗北し戦死。
隊長ギリアム
剣豪の一人。敵兵約五百を屠り、ある怪物に敗北し戦死。
隊長ゲッペルス
剣豪の一人。敵兵約百を屠り、その後姫ナコッタの救出の際に、ある怪物の一撃を喰らい戦死。
隊長ゴライアス
剣豪の一人。敵兵約百を屠り、その後敵陣にて戦死。




