第41話 「奥義を教えて差し上げますわ」
「……己の闘気を、剣に纏わせるのです。」
……己の闘気?
「闘気を自らの剣に纏わせ、剣に心を乗せ剣と一つと成るのです。さすれば、この世に断てぬ物は有りません。」
……剣に?
「ちょっと、お待ちになって将軍。それでは剣を扱えない者は、どうすればよろしいの?」
「剣以外も同じでございます、姫。槍なら槍に、矛なら矛に、拳なら拳に……。自らの闘気を纏わせるのです。」
…………。
「ありがとうございますわ、クリストフ将軍。大変、参考になりましたわ。」
ラミスはにっこりと微笑み、将軍に感謝を述べた。
「ラ、ラミス……。一体、何のお話を?」
おずおずと尋ねる姉ナコッタに、しゅばっと音速の速さで移動し姉の手を握るラミス姫様。
「……お姉様。かくかくしかじか~しかのこのこのこ~ですわ。」
ラミスは自分達の身に宿る、伝承の神々の力の説明をした。
……しかし、答えは前回と変わらず。
「ごめんなさい、ラミス……。私には、何の事か全く分からないの。」
……そんな事は無い筈なのだ。姉ナコッタの背中には神々が宿っている。つまり何かしらの神々の力を使っている可能性が高いのである。
姉ナコッタ姫が、それを知らず知らず使っているだけ。だとは思うのだが……。それがどんな力なのかが、全く判別が付かない。
「…………。」
しかし、分からない物は仕方がない。ラミスとて、自分に宿る神々の力を全て、把握している訳では無いのだから……。
──ドカッ!
「ヒャッハー!見つけたぜぇ……。」
いきなり扉が開かれ、中へ入って来るヘルニア兵士。
それと同時に……いや、それよりも早く。ラミスは華麗に飛び上がり、空中でくるっと一回転していた。
そして振り下ろされる、戦斧。
──ガコォ!!
「プリンセス"戦斧"!!」
来ると分かっていれば、こちらのものである。ラミスは入って来たヘルニア兵に、渾身の空中踵落としを披露した。
……何気に、ラミスの新技の完成である。
プリンセス神拳十式プリンセス旋空踵落としが、ここに完成した。
もう一人の兵士もラミスの華麗な足技で、天国へと誘った。
「え?……ええっ!?」
「……ひ、姫様??」
「お姉様は、こちらにいらして?私は少々、外の様子を見て参りますわ。」
驚き戸惑う姉ナコッタとクリストフを後に、ラミスは建物の外へと向かった。
……いや。ラミスは、いずれは倒さねばならない"あの"剣士の元へと向かって行った。




