第33話 「令嬢〈レディ〉の扱いがなってませんわ」
ラミスを侮り、手で掴みかかろうとするヘルニア兵達。……どうやらまだ、ラミスの外見に惑わされている様だ。
「ヒャッハー!!」
「ふへへへへへへ……。何だぁ、このお嬢ちゃんはぁ。」
ヘルニア兵達は、奇声を発しながらラミスの腕を掴みにかかる。
……しかしラミスは、にっこりと微笑む。
「あら、強引な殿方は嫌われますわよ?」
──バキッ!
渾身の右ストレートを御見舞いし、さらに倒れてる敵兵士に追い撃ちを喰らわす。
──ドカッ!
「…………。」
「……は?」
地面に顔を埋め、起き上がらない仲間の姿に静まり返るヘルニア兵士達。
「きっ、貴様ぁ!!」
ラミスの実力にやっと気が付いたのか、ヘルニア兵達は剣を構えラミスに襲いかかり始める。
──シュババババッ!
ラミスはヘルニア兵の斬撃を、尽く回避していく。そしてヘルニア兵の後頭部に回し蹴りを喰らわした。
──ドゴォ!
「プリンセス延髄ですわ。」
「ぐはぁっ!!」
──これで二人。
「いけますわ!」
残りは……。
「囲んで、同時に突き刺せ!!」
敵兵の一人が、そう叫ぶ。
「……は?」
槍を構えたヘルニア兵、数人に囲まれるラミス。
──ざざざっ。
そして、その刃はラミスに突き付けられ……。
────────。
「……ひ、卑怯ですわ。」
またもや、牢の中へと逆戻りのラミス姫様。
ラミスは真っ白に燃え尽き、ただ呆然と放心状態になり天井を見上げていた。
……やはり多勢に無勢。一対一ならともかく、多対一の経験が無いラミスには、数で押し切られると、どうしようもなくなってしまう。
沢山のヘルニア兵士に対し、こちらはラミス一人なのだから……。
……先にミルフィーやガルガ隊長と合流してもいいのだが、その場合は村人の救出は間に合わないだろう。
今のラミスの力では、全てを救う事等出来ない。ラミス姫に出来る事は、かなり限られているのだから……。
今はとりあえず村の探索と、二人の姉の捜索を優先するしかない。二人の姉に合流さえすれば何とかなるに違いない。……ラミスはそう信じていた。
特に長女のリン姫は三人の妹達の憧れであり、四姉妹の中でも一番頼りになる存在なのである。
力強さと美しさを兼ね備え、リーダーシップに溢れる長女リン。
政治や商才の知識を身に付け、公国一の才女と謳われる次女ナコッタ。
可愛さと美しさで公国全員に愛される、公国一の美姫と謳われる末女ミルフィー。
そして三女ラミス。博愛の精神と社交性に溢れ、公国民全てから慕われ愛され──。
かつ、立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花、容姿端麗、頭脳明晰、才気煥発、博覧強記、英明果敢、天地神明、驚天動地、拍手喝采、不撓不屈、万里一空、縦横無尽、勇往邁進、雲外蒼天、百花繚乱、明鏡止水、万里不屈、神姫鳴動、才色兼備、羞花閉月、山紫水明、眉目秀麗、傾国美女、国色天香、戦姫絶唱、仙姿玉質、画竜点睛…………(以下約、一京二八五八兆五一九億六七六三万三八六七文字続く……)




