第164話 「きっと、気に入って頂けると思いますわ」
……長い戦いが終わりを告げ、感動が収まらない中。ラミスは兵士達一人一人に、労いの言葉を掛けて回っていた。
……二万七千人、全ての兵士に。
…………。
──!?
……あの、ラミス姫様?
一人、五秒と計算しても。……三十七時間半も、時間がかかるのですが大丈夫なのですか?
──しゅばばばばばっ!
「……あら、問題ありませんわ。」
しゃばばと、高速移動するラミス姫様。ラミス姫が何人にも居る様に見えるのは、気の所為なのだろうか……。
大人気のラミス姫様握手会開催により、列を成して順番に並ぶ、お行儀が良い兵士の皆さん。
「ほら、きりきり歩け。」
握手会も無事終わり、ツインデール城内に隠れていたヘルニア兵士が連れ出される。
「くっそー。僕を、一体誰だと思ってるんだ!?お前ら、覚えていろよ!後でパパに、言い付けてやるんだからなっ!」
──げしっ。
「うるさい!黙れ豚野郎!!」
「ぶひぃ!」
そこには、姉リンに蹴りを入れられるヘルニア帝国第三王子、シュヴァイン王子の姿があった。
「……あら?まだ、生きてらっしゃいましたの?あの王子。」
かなり弱い王子だった為、最初の方で倒せたシュヴァイン王子。ラミスの頭の中では、既に死んでいるイメージだった様である。
姉リンに蹴り飛ばされるシュヴァイン王子なのだが、何かこう。……少し嬉しそうなのは、気の所為なのだろうか。
「王子ー。俺達、一体どうなるんでやんすー。」
「大丈夫だ。すぐにパパが、駆け付けてくれる筈だ。」
「おやびーん。一生、付いていきやすぜー。」
……とてとてとて。
「あらシュヴァイン王子、ごきげんよう。」
「ラミス!たっ、助けてくれ!頼むよー、僕とお前の仲じゃないかぁ。」
……にっこり。
その言葉に、ラミス姫はにっこりと微笑む。
……うふふ。
「シュヴァイン王子の為に素敵な、お部屋をご用意しましたのよ?案内、致しますわ。」
……そう言ってラミスは、ラミスが閉じ込められていた牢屋を案内するのだった。
……うふふ。まあ、何て素敵なお部屋ですこと。
「それでは姫様、私達はこれで失礼させて頂きます。」
王子を豚小屋にぶち込んだ後、レティシア将軍がラミスに挨拶に来る。
「あら、そうなのです?レティシア将軍とは、もう少しゆっくりとお話をしたかったのですけれど。……残念ですが、仕方ありませんわね。」
「……申し訳ありません、姫様。まだ、ヘルニア帝国の動向が探れないのです。また、何時攻めてくるやも知れません。姫様、この戦いが落ち着けば改めて訪ねさせて頂きます。」
「ええ、何時でも遊びにいらしてね。楽しみにお待ちしておりますわ。それと国王陛下に、よろしく御伝え下さいませ。後程、お礼を伝えに参りますと。」
「はい、それでは姫様……。」
「急報!急報!!」
レティシア将軍と話の最中、ツインデール城に慌ただく伝令が届く。
「レティシア将軍、大変です!ヘルニア帝国が、我がホースデール王国に侵攻を開始しました!」
「何だって!?」
「何ですって!?」
「我が軍は、劣勢に追い込まれています!至急、ツインデール公国とサイドデール公国に援軍を要請願いたい!!」
「……くっ。」
レティシア将軍は、ラミスの姿を一瞬見るのだが……。何も言わず、そのまま馬へと駆け乗った。そして手を掲げ、連れてきた王国軍二万に指示を出す。
「お待ちになって、レティシア将軍。」
ラミスは優しい瞳で、レティシアを見つめる。
「すぐに、援軍に参りますわ。……よろしいですわね、クリストフ、バラン。」
「はっ、姫様!」
「はっ、姫様!!」
「……ありがとうございます、姫様。」
そしてレティシア将軍は振り返り、二万の兵に号令をかける。
「それでは、行って参ります。……姫様。はあっ!!」
ラミスは去っていくレティシアの背を見ながら、新たに迫る戦いに底知れぬ不安を感じていた。
夕陽は既に沈み、次第に薄暗くなる中で。ラミスは、それを理解し絶望を感じずには居られなかった。
……この戦いは、まだ終わっていないと言う事を。
『王と名を持つ獣』編
「ツインデール公国、解放の章」完結
──次回
「ホースデール王国、奪還の章」開始
皆様、ここまでお読み頂きまして
誠にありがとうございます。
(ФωФ)ノ 魔神ねっこですにゃ。
次回のお話の、練り直しにより。
しばらく、お休みさせて頂きますにゃ。
二週間~二ヶ月辺り??
゜+(人・∀・*)+。♪
ちょっと、分かりませんが。
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゜+.゜(´▽`人)゜+.゜
それでは、皆たま。
また、お会い出来る日を楽しみにしております。
ありがとうございましたー♪




