第160話 「公国の未来を、全てを貴方に託しましたわ」
山の如き巨大な怪物、豚王に一人立ち向かうバラン将軍。
古の怪物に挑む公国最強の将軍、バランの戦いを公国全体が見守っていた。
──ザシュ、ザシュザシュ!!
バラン将軍の大剣が唸りの声を上げ、豚王への猛攻が始まる。そのバラン将軍の強さには、同じ将軍のクリストフもレティシアも驚く程だった……。
しかしバラン将軍の強さに沸き立つ中で、ラミス一人だけが浮かない表情を見せていた。
ラミスは知っていたのだ。バラン将軍一人の力では、あの豚王には絶対に勝てない事を。
……ラミスは、理解していた。
バラン将軍の実力を持ってしても撃ち貫く事が出来ない、硬い外皮に覆われた豚王。理不尽なまでの再生力、そして不利になれば身を守る小賢しさ……。
ラミスはこの戦いでバラン将軍が敗れ、豚王に殺される事を知っていた。
──ズガガガガガガガガッ!!
バラン将軍の猛攻が、豚王に襲いかかる。豚王はバラン将軍と普通に戦っていては勝てないと判断し、防御に徹し守りを固めていた。
──ガガガガガガガッ!!
「プギィ、プギィィイ!」
バラン将軍の凄まじさに、誰の目にもバラン将軍の勝利を疑う者は居なかった事だろう。バラン勝利の攻撃は前回より増して猛威を奮っていた。尚も攻撃の手を緩めず、バラン将軍は豚王を斬り裂き続ける。
──ザシュ!!
「…………。」
バラン将軍は体力を温存せず短期決戦に挑み、豚王を全力で攻撃し続けていた。
──常に全力で。
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『バラン将軍……。あの豚王に勝利する方法は、一つしかありません。』
……バランは死闘の最中、牢の中での姫の言葉を思い出していた。
『豚王を倒すには、あの脅威的な再生力を上回る攻撃をするしか倒す方法がありません。バラン将軍には常に全力で体力を温存せずに、豚王を攻撃し続けて欲しいのです。』
──ザシュ!
バラン将軍は尚も凄まじい威力の攻撃を繰り出し、豚王の体を斬り刻んでいく。
「…………。」
『体力を温存せず常に全力で攻撃し、豚王の体力を最大まで削る事が出来れば……。後は私が───。』
「…………。」
『後は、私の力で───。』
「はああっ!!」
──ザシュウッ!!
「プギィィィイ!!」
バラン将軍の猛攻は、凄まじいものがあった。その刃は容赦無く豚王に襲いかかり、斬り刻まれた豚王は悲痛な悲鳴を上げる。
ラミスの作戦とは、常にバラン将軍に全力で攻撃して貰い。豚王を極限まで弱らせ、後はラミスの力で削り切る方法だった。
……つまり豚王の体力を、バラン将軍が全力で削る必要がある。
『バラン将軍、お願い致しますわ。勝利する為に、公国の未来の為に。……バラン将軍のお力を、私に貸して下さいませ。それが豚王を撃ち破る、唯一の方法なのです。』
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……バランは嘆いていた。
全ては、自分の力が未熟な為。自分が無力だったが為に、姫にあの様な表情をさせてしまったのだ。
……バランは、己の非力さを嘆いた。
──ザシュ、ザシュザシュ!!
「プギィ、プギィィイ!!」
バランは豚王の体を切り斬みながら、強く心に誓うのだった。
……もう二度と、姫にあの様な表情をさせてはならないと。
バランは大剣を持つ手に力を込め、そう心に刻み込む。
──姫の笑顔を取り戻す為に!
「ならば、このバラン!命を賭して、姫様に勝利を捧げるまで!!」
……か、感想下ひゃい。
・゜・(つД`)・゜・
うえーん。
ブクマ、評価とは言いません。
リアクションだけでも、ぽちって下さいませ。
リアクションをお恵み下さいませ。
何卒、底辺作家の魔神ねっこめに寛大なる施しを……。
(/´△`\)
猫缶だけでは厳しい……。ちゃうちゅーるが食べたいです。




