第156話 「何時〈いつ〉も、遠ざかって行きますわ」
プリンセス神拳超奥義、五十式プリンセスマグナムの完成により。42121回目にして、初めてラミスは豚を撃ち破る事に成功した。
残る、ラミス姫の敵は……。
「あの豚さん、だけですわね。」
……豚王、オークキングのみである。
ラミスは、ふと西の空を見た。西の村に居る姉を心配するラミスだが、公国最強の将軍であるバランが向かっているのだ。……何一つ、問題は無いだろう。
ラミス姫一行は姉達と合流する為、北の街を目指した。
「ナコッタお姉様ーっ。」
「ラミス!ミルフィー!良かったわ……。二人共、無事だったのね。」
涙を流し、再会を喜ぶ姉妹。……ナコッタは涙を拭いラミスに、こう問いかける。
「ねぇ、ラミス……。リンお姉様は、ご一緒では無いの?」
姉の心配をするナコッタに、ラミスはにっこりと笑顔で話し出す。
「ご安心なさって、ナコッタお姉様。実は、かくかくしかじか~しかのこのこのこ~で。」
ラミスは自分達に宿る、神々の力について話した。その間にラミスは、ミルフィーに怪我人の治療をお願いする。
ナコッタは、姉リンに掛けられている神々の力を解除をし。夜にはリンが遅れて駆け付け、姉妹四人全員が揃う事となった。
……再会を喜ぶ姉妹四人、それを暖かく見守る多くの仲間達。
後はレティシア将軍率いる援軍が到着すれば、全ての戦いの準備が整う事になる。
「……後は豚さんを倒して、公国を取り戻すだけですわね。」
これで決戦の準備は整った。……ラミス達は、最後の戦いの前に一時の眠りに就くのだった。
「急報、急報!!」
──!?
翌朝。ラミス一行が泊まる伯爵家の元に、慌ただしく駆け込んでくる一人の兵士。その報せと共に、伯爵家全体が騒然となる。
「…………。」
ラミスは慌てて起き上がり、伯爵の元へ急いだ。
──たたたたたたたたっ。
真剣な面持ちで、廊下を駆け抜けるラミス。
……おかしい、何かがおかしい。
ラミスの表情からは、焦りが隠せなかった。
残すラミスの問題は、あの豚王だけの筈なのである。今までに無かった筈の事態に焦り、ラミスは拭いきれない不安を感じていた。
……何時も、そうなのだ。祖国解放が目前に迫った、その瞬間。何時もラミスの前に巨大な壁が立ち塞がり、ラミスの前から遠ざかって行く。
──ギリッ。
伸し掛かる不安と、その悔しさに。ラミスは歯軋りをし、祈りながら伯爵の部屋に駆け込んだ。
「何があったのですか!?伯爵。一体何が……。」
「ひ、姫様……。たたた、大変でございます。」
伯爵の顔は酷く青ざめ、覚束無い足取りでラミスに近寄ってくる。
「姫様、落ち着いて聞いて下さいませ。帝国が……。ヘルニア帝国の軍勢が、攻めて参りました。」
「…………。」
……あら?
「姫様方は、至急ホースデール王国に避難して下さいませ……。」
……その報せに、ぽかんと口を開け、目が点になるラミス姫様。
「あー。」
……忘れていましたわ。
そうラミスは今日、ヘルニア帝国が攻めて来る事を忘れていたのである。
……そして単純に、寝ぼけていただけのラミス姫様。
……何時もの、うっかりラミス姫様でした。
ちゃんちゃん。
皆様ー。
(;>_<;)
いつもお読み頂きましてー、
恐悦至極で、あります!!
お気軽に、感想頂けると喜びます!
ブクマ、評価もごろごろして喜びます!
……リアクションだけでも、ぽちぽちしていって下さいませー。
゜+(人・∀・*)+。♪
アリガトウダヨー♪




