第155話 「豚さんが、何を言ってるのか分かりませんわ」
……ラミスは、新たな"戦法"を試みた。
──いや、その糸口から新たな"奥義"を編み出した。
拳に闘気を収束させる事で、その威力が増すのならば……。ラミスの体に纏わせている雷を、拳に集中させれば威力は上がるのではないだろうか?
──バチッ、バチバチバチ!!
「ブヒィィ!!」
ラミスは瞳を閉じ、自らの闘気と体に纏う雷を一点に集中させる。その間に豚の体は全快し、豚はラミス目掛けて棍棒を大きく振り上げた。
──バチッ、バチバチバチ!!
闘気と雷を集中させながら、ラミスはそっと目を開き豚を見つめる。……すると何故か動きが止まり、豚はがたがたと震え怯えていた。
魔物の生存本能なのか……。自分よりも強い者に逆らってはいけないと言う、獣としての本能なのだろうか。
……豚はラミスの姿に秘められた、恐ろしい何かを感じ取っていた。
「…………。」
──しゅっ。
ラミスは自分の拳を見つめた後、何気に軽いジャブを放つ。軽く緩やかに、そしてしなやかに。優しく、そっと撫でる様に……。
拳を痛めていた所為もあるのだろう。ラミスは先ずほんの軽く、練習も兼ねてジャブを放ってみた。
──ズガシャーン!!
「…………。」
その異様な破壊力に驚き、自分の拳を見つめるラミス姫様。
「ひいぃぃぃ……。」
それを見たヘルニア兵は驚きのあまり飛び上がり、その場にぺたんと座り込んだ。
ラミスが放ったその拳は、風圧で地面が抉れ。その超高速の拳は空を切り裂き、周りの木々を全て薙ぎ倒していた。……そしてその攻撃の直撃を受けた豚は勿論、無事では済まされない。豚は苦痛に顔を歪め、その腹は砕けていた。
豚はラミスの攻撃で初めて、その膝を大地に突いたのである。
「プギィ、プギィ……。」
……すたすたすた。
ラミスは、にっこりと微笑みながら豚に近付いて行く。
右手はぐーに、左手はそっと頬に添え、うっとりとした表情で豚に微笑み掛けるラミス姫様。……その天使の様な微笑みは、さぞ豚には悪魔の様な笑みに映った事だろう。
「あっらー、素敵な威力ですわー。」
……うふふふふ。
「プギィ、プギィー!!」
先程ラミスが何気に放ったジャブで、豚は既に動く事が出来なかった。豚は恐怖に怯え、必死で命乞いをするのだが……。
「あらぁー、残念ですわー。豚さんの言葉何て、私には理解出来ませんわぁ。」
……うふふふふふふ。
と何だか豚語を理解していそうな、返事をするラミス姫様。
そして、豚の命乞いも空しくその拳は放たれる。
──バチッ、バチバチバチ!!
……うふふふふふふふ。
「全力で放ったら、豚さんは一体どんな鳴き声を聞かせてくれるのかしら?……そして、どんなに素晴らしい破壊力になるのかしら?楽しみで、仕方ありませんわぁ。」
「プ、プギィ──────────!?」
……うふふ、うふふふふふ。
「では特と、ご覧下さいませ。これがっ、貴方を屠る技の名ですわ!!」
──カッ!!
「プリンセス"マグナム"!!」
凄まじい閃光が走り、辺り一面を目映い光が包み込む。
「……うっ!?」
ガルガ隊長を含め、兵達は皆。その光に目が眩み、その場に居る全員が目を瞑った。
そして遅れてやってくる、轟音と爆風。
──バゴーン!!
「…………。」
その破壊力に、ラミス自信も驚きを隠せなかった。
「……これは、想像以上ですわね。」
……びっくりですわ。
──その拳は、大地を引き裂き。
「あら?豚さんは、どちらへお出掛けかしら?」
──その拳閃は、大気を切り裂く。
「おかしいですわねぇ……。先程まで確かに、こちらにいらっしゃったのですが……。」
──そして天を穿ち、大空に漂う雲を割り青空を覗かせた。
「……あら豚さんが、あんな所に。」
──その拳は、豚の巨体を撃ち貫き。その体に大きな風穴を開け、大空の彼方まで吹き飛ばし、豚の体を跡形も無く粉々に弾けさせた。
「……あらあら、まあまあ。」
ラミスは、華麗にくるりと後ろに振り向き。その美しい髪を手で靡かせ、こう言い放った。
「全く、お下品な花火ですこと……。」
……汚ねぇ、花火だ。
(。・_・。)ノ
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