第１５４話 「豚さんと、決着をつける時が参りましたわ」
「ひ、姫様ー！！」
何時もの様にガルガはラミスの元に駆け寄り、その姿に絶望する。
……そして現れる、古の怪物豚。
「ブヒィ。」
その初めて見る怪物に、隊長のガルガを含め兵士達は皆、恐怖に震えていた。
「何だ、あの化け物は……。」
──ひょこ。
「あれは、豚さんですわ。」
「姫様！？」
何事も無く、ひょっこり起き上がるラミス姫の姿に驚くガルガ隊長。
「あれ、おかしいな……。俺の見間違いだったか？」
……ごしごし。
ガルガの目にはラミス姫がつい先程まで、確かに死んでいた様に見えていた。そのラミス姫が平然と起き上がり、更に体の傷や火傷がじわじわと治って行くその姿に。……ガルガは驚愕し自分の目を疑い、ごしごしと擦った。
そしてラミスの姿がガルガの目から忽然と消えた、その瞬間──。
──ドガシャーン！！
稲妻が走り爆音と共に、豚の体にラミスの鋭い蹴りが炸裂する。
「ブヒィ！！」
ラミスは、豚に向かって鋭い目付きで睨み付けた。
「そろそろ決着を、着けさせて頂きますわよ。……豚さん。」
「……姫様。」
「……お姉様。」
ガルガ隊長もミルフィーも、敵味方関係無く。その場に居る全員が、ラミス姫と豚との戦いを見守っていた。
──ドガガガガガッ！！
ラミスの拳は更に激しさを増し、無数の光を放ち流星の如く豚に降り注ぐ。
「プギィ、プギィ……。」
ラミスの攻撃を受け、悲痛な叫びを上げる豚。
──ドゴォ！！
その姿は、明らかに豚を凌駕していた。
「…………。」
ラミスは一旦離れ、豚から距離を取り自分の拳を見つめる。ラミスの拳は豚の強靭で硬い装甲を貫けず、砕け散っていた。
──ドガッ！
ラミスは豚の攻撃をひらりと回避しながら、ある一つの事を考える。
「…………。」
はっきり言って豚の攻撃が、ラミスの体に当たる事はもう無いだろう。ラミスの足が砕けたりしない限り、豚の攻撃が当たる事は皆無と言っていい。
あの"凄腕の剣士"こと、ゲイオスと比べると。その動きは、かなり鈍く遅いと言える。
──ドカッ！
豚の攻撃を、次々に回避していくラミス姫様。
豚の攻撃はあまりにも遅く、ラミスはその身に雷を纏うまでもない。
「…………」
──ドガガガガガッ！！
「プギィ……！」
ラミスの強烈な攻撃を幾度と無く、その身に受けようとも。豚には致命傷とはならず、倒れる事は一度も無かった。
ラミスは攻撃を止め、砕けた自分の拳を見つめる。
「…………。」
……以前から、その構想はあった。
ラミスは武術の心得など、全く無い麗しい姫君である。戦い方も知らず、敵を殴る方法も知らず……。ましてや闘気の扱い方など、ラミスは全く知る由も無い。
ラミスはクリストフ将軍に、その方法を教わったのである。
……自らの拳に、"闘気"を纏わせる戦法を。
その方法を知らなければ、ラミスはここまで豚と戦う事は出来なかっただろう。ラミスはその戦法を知り、自らの拳に闘気を纏わせ。初めて豚の体に、傷を付ける事に成功したのである。
自らの拳に闘気宿らせる、その闘い方を……。
「……すぅ。」
ラミスは静かに息を吐き、己の精神の統一を図る。闘気を収束させれば、その威力は増すのだ。
──つまり。
ラミスは、その戦い方から。……ある、一つの解決の糸口を掴む。
そして、ラミスは更なる境地へと足を踏み入れた。
──次なる"段階"へと。
か、感想下ひゃい……。
(;＞_＜;)
……しゃい。
ブクマ、評価……。
いえ、リアクションだけても
ぽちぽちして下ひゃい……。
・゜・(つД｀)・゜・
お願いします、お願いします……。
うえーん。ガチャが出ないヨー。
