第150話 「あら嫌ですわ、指にささくれが出来てしまいましたわ」
「……怪物?」
バラン将軍のその言葉に、少し違和感を覚えるグレミオ。
「…………。」
ゲイオスは動けなかった。そんな二人の会話を、ただ大人しく聞く事しか出来ない"凄腕の剣士"ゲイオス。その男が放つ圧倒的な闘気に圧され、指一本動かす事が出来なかった。
ゲイオスは理解していた。動く事……。それは、死を意味するのだと。
「……はぁ、はぁ。」
話ながらもバラン将軍の体からは、それ程までに闘気放っていた。
動く事が出来ないゲイオスの前に、一人の男が歩み寄る。
「おいおいゲイオス、一体何を遊んでいるんだ?お前なら、こんな二人程度。……どうって事無いだろ?」
「なっ!?」
ゲイオスは、震えながら横目でセルゲイを見る。
「なんなら、この俺様が手を貸してやろうか?」
「馬鹿かっ、貴様死にたいのか!?セルゲイ!貴様には、あの男が放つ恐ろしい闘気が見えないのか?」
「……あ?おいおい、それは状態で言っているのか?あんたでも、冗談何て言うんだな。」
セルゲイは震えながら必死に話すゲイオスの言葉に、あまり耳を貸さず。鼻で笑い、そのままバラン将軍に近付いて行く……。そしてセルゲイが大剣を持つ手に、力を込めた。その瞬間──。
──ザシュ!
それは、一瞬の出来事だった。いや正しくは、その場に居る全員が気付く事すら無かった。
そのあまりにも速い抜き身に、目にも止まらぬ剣速に……。
「馬鹿なっ!?抜き身すら、見えないだと……。」
ゲイオスは、自分の目の前に居るのは想像以上の化け物だと理解せざるを得なかった。
全く相手にもならず、塵と化すセルゲイ。それには味方の筈のグレミオも、恐れる程の速さだった。
そもそも勝負に、なる筈が無いのだ。"剣豪"であるセルゲイが、一つ上の称号"ソードマスター"の更に上を行く称号"剣聖"。
その"剣聖"の称号を更に上回る、"剣王"の称号を持つバラン将軍に勝てる筈も無かった。
──ギリィ。
「……この、化け物がっ。」
その圧倒的戦力差の前に、動く事すら出来ず。ゲイオスは、ただ悔しさに歯を噛み締めていた。
ゲイオスは理解していた。自分でも、それは良く分かっていたのだ……。
この男とは勝負にすら、ならない事を。
──だが、しかし。
ゲイオスにも矜持があった。ゲイオスは気迫で、己の恐怖を殺気で上塗りをしていく。……そして、その剣に己の全ての力を込める。
──いや、魂を込める。
「だが、退く訳には行かぬ!このゲイオス!例えどんな強敵であろうと、退く訳には行かぬのだ!!」
ゲイオスは恐ろしい迄の殺気で金縛りを解き、バラン将軍に斬りかかる。
「ここで退けば、剣士の恥よ!!」
「その意気や良し!」
──ザシュ!
バラン将軍の目が鋭い光を放った、その瞬間。
……ゲイオスは、塵と消えた。
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