第137話 「ロースハムにしてさしあげますわ」
──ドゴォ!!
「プ、プギィ……。」
姫の拳を喰らい、堪らず悲痛な叫び声を上げる古の怪物、豚。
──ブウゥゥーン。
ラミス姫のその拳に、闘気が宿る。
──ドゴォ!!
ラミスは自らの纏う闘気を、その拳一点に収束させる。そして、轟音と共にその拳を豚に叩き付けた。
──スガァーン!!
悲痛な叫び声を上げ、苦痛に顔を歪ませる豚。ラミス姫の放つ無数の拳が、流星の如く豚に襲い掛かる。
──ドガガガガガガッ!!
「プギィ、プギィ……。」
ラミスは、その長きに渡るゲイオスとの死闘の中。自ら拳に闘気を収束させ、纏わせる戦い方を習得していた。
その闘気を纏う姫の拳は。今、この時──。鋼鉄よりも硬い強度を誇る豚の、強固な外皮をも撃ち貫く。
ラミス姫は、この長い戦いの末。闘気の纏う戦法を身に付け、遂に因縁の敵である豚と戦えるまでの力を手に入れた。
──ドゴォ!!
ラミスは、その拳に闘気を纏わせ、次々とその拳を豚に叩き込んでいく。鋼鉄よりも硬い、豚の強固な外皮を撃ち貫くラミス。
……だが、その姫の拳もまた砕けていた。
まだ闘気の扱い方が、不完全なのだろうか?まだ姫の拳が、その威力に耐えきれずに砕けてしまっていた。
『42156回目』
豚に敗れはしたものの……。ラミスは、先程の戦いで確かな手応えを感じ取っていた。ラミスは意気揚々と立ち上がり、再び豚との対決に闘志を燃やす。
ラミスは、自らの闘気が宿る右手を見つめて強く握り締める。そして、その手を天高く掲げ──。
「くるくるー、ですわー♪」
そして、回った……。
──くるくるくるー。
くるくると周り、華麗な復活の舞を披露するラミス姫様。
──キリッ。
このどや顔である。満を持っした姫君の舞が決め顔で止まり、ラミス姫は高らかにポーズを決める。
──そして、ラミス姫の瞳が強い光を放つ。
「さあ、私の美しい復活舞の下。今ここに、舞い戻るのです!奇跡の戦士よ、黄泉返れ!我がエインフェリア達!!でも~、そろそろバラン将軍とか。お願い致しっまーす!!」
──しゅぴしゅぴ、しゅぴーん♪
美しい舞いと共にポーズを決め、神々の力"蘇生の力"でエインフェリア召還を行う姫様。
──ぱよん。
──ばよえん。
そして、復活を果たすギリアム隊長とユリフィス少年。
「……よしっ、ですわ。」
そして、ラミスはミルフィーの待つ東の山へと走り出した。豚を倒す為に……。
ラミスはこれを何度も繰り返した。今の感覚を決して忘れない様に、何度も諦めず果敢に豚に挑み続けた。
……豚に勝つ、その時まで。




