第132話 「そろそろローストポークになるお時間ですわ」
『42155回目』
「と言う訳で、お次は豚さんですわね。」
強敵ゲイオスとの戦いに勝利を納め、ラミスに残された課題は後僅かとなる。祖国解放へと一歩一歩確実に進み、ラミス姫の表情に笑顔が溢れる。
それにラミス姫に宿る新たな神々の力"蘇生の力"により、自分は決して一人では無いと思える事が何よりも心強かった。
ラミス姫に残された課題は残り後五つ、豚と豚王そしてバラン将軍の復活。それに襲われている北西の村、二つとなっている。他三つはともかく、北西の村はラミス姫の新たな新技を使えば何とか対応可能だろう。
……つまり、次ラミス姫がやらなければならない事は必然的に決まってくる。
──それは。
「ミルフィー!>△<」
──ひしっ。
とりあえず、妹のミルフィーに抱き付くラミス姫様。"凄腕の剣士"ゲイオスに勝利を納めたラミス姫の次なる目標は、因縁の怪物豚となった。その為、豚と一対一で戦いやすい、ここミルフィーの居る東の山へとラミスは足を運んだ。
……すりすり。
「ミルフィー。>_<」ひしっ
「お姉様ー。>△<」
ラミス姫は一時の間、ミルフィーとの楽しいお喋りとお紅茶の時間を楽しんだ。
しかし、流石にガルガ隊長達がヘルニア帝国による侵攻の報せに不安を感じ。公国が今置かれている状況を、ラミス姫に聞きたそうにそわそわしていた。
ミルフィーを始めガルガ隊長達は皆、公国の現状を全く知らされていない。ただヘルニア帝国が侵攻を開始したと伝令から報告を受け、ここ東の山まで戻って来たのである。
だが仮にも一国の姫君であるラミス姫が、ここ東の山までたった一人で逃れて来たのにも関わらず。特に困った様子も見せずに、妹君であるミルフィー姫と楽しそうにお喋りをしているラミス姫の姿を見て。
ガルガ隊長達は皆、一体どっちなんだ?と、少し困惑していた。
ラミス姫もそれにようやく気が付き、ミルフィーには神々の力の話を、ガルガ隊長達には公国の現状を話し始めた。
「公国は、既にヘルニア帝国に占領されておりますわ。」
……けろっ。
城が既に落ち、王は殺され、公国が誇る最強の将軍二人も敗れ。クリストフ将軍は瀕死の重症を負い、バラン将軍に至っては既に戦死しているこの状況。
ガルガ隊長は、公国の置かれている悲惨な現状を聞かされ絶望し、悔しさを噛み締めヘルニア帝国への怒りを露にする。
……のだが。父である王が殺されたにも関わらず、ミルフィー姫と楽しそうにお喋りをするラミス姫の姿に酷く困惑していた。
「あ、それともうすぐ。こちらにヘルニア帝国の一軍がやって来ますわ、数は千五百くらいだったかしら?」
「……な、なななななっ!?」
こちらもこの様な重大な報せを、さらっと話すラミス姫の姿に。驚きを通り越し、心配になるガルガ隊長であった。




