第126話 「高みを目指しますわ」
──時は少し遡り。
ラミス姫の手によって甦るエインフェリア、希望の戦士達。
"剣豪"の称号を持つ最後の隊長、ギリアム。
隊長であるギリアムの実力は、五人の隊長の中でも最強と噂される実力者であり。ガルガ隊長と一体どちらが強いのだろうか?と、兵士の間ではよく議論される程だった。
実際ギリアムは強かった、間違い無くガルガ隊長に匹敵する強者である。次々にヘルニア兵を打ち倒すそのギリアムの姿に、ラミス姫も惚れ惚れする程であった。
ギリアムの放つその高速の剣は、一度に十数人のヘルニア兵を斬り裂き。そのギリアムの圧倒する剣技の前に、ヘルニア兵達は恐れ武器を投げ捨て逃げだして行った。
ラミス姫とギリアムが戦っている間に、ユミナにはロクサーヌや城に居る人達を連れて、ミルフィーの居る東の山へと向かってもらう。
「ギリアム隊長を見てグレミオがとっても驚いてましたの、私つい笑ってしまいましたわ。だってグレミオったら、飛び上がって驚いていたんですもの。……ふふふ。でも流石に悪いですので、私が先に行ってギリアム隊長が生き返ったと皆に伝えておきますわね。」
ラミス姫は、くすくすと溢れんばかりの笑顔を浮かべていた。
「ははっ、あの冷静なグレミオがですか?それは是非とも見ておきたかったですな。……先?」
──びゅーーん!
「速っ!?」
音速で疾風の如く去っていく、ラミス姫様の足の早さにギリアム隊長もびっくりである。
……姫様、速過ぎ案件。
「ヒヒーン。」
……お馬さんもびっくり。
以上。姫様は先に向かい、確かに皆に伝えると言っていた筈なのだと疑問に思うギリアムだった。
そしてやって来る、ヘルニア帝国軍の一個小隊。
襲い来るヘルニア帝国兵の数は二百強、そして"凄腕の剣士"ことライ・G・ゲイオス。
対する、こちらの布陣は……。
初手"第三公女"ラミス姫、そして"剣豪"ギリアムと同じく"剣豪"のグレミオ。
「…………。」
──!?
「ラ、ラミス!?何故ここに?……姫。ここは危険だ、俺達に任せて君は早く戻るんだ。」
「ははは……。グレミオ、お主もまだまだだな。姫様の体に纏われる、あの凄まじい闘気に気が付かぬとはな。……姫様は、我等より遥かに高みにおらせられる。」
「……は?何を言っているんだギリアム、冗談なんてお前らしくもない。」
驚き混乱が止まらない、騎士グレミオ。
「それでは二人共、周りのヘルニア兵士の皆さんは任せましたわよ。私はあの"凄腕の剣士"ゲイオスに挑みますわ。」
「はっ!姫様!!」
悠々と決戦に挑む、ラミス姫様とギリアム隊長。……と、混乱するグレミオ君。
……もう少しきちんと説明してあげましょうよ、姫様。




