第122話 「お馬さんが、びっくりしていましたわ」
──ドガガッ!
「プギィ。」
豚の巨体に、ラミス姫の凄まじい蹴り技の数々が炸裂する。
──ドゴォ!
しかし、その豚の硬い外皮に阻まれラミスの実力では、まだ豚の体に傷一つ付ける事は出来ない。
……堅いですわね。
「……ならっ、これで!!」
──バリッバリバリ!
「プリンセス"雷鳴"!!」
──ドガシャーン!!
ラミス姫の渾身の蹴り、雷神の如き秘奥義が炸裂する。……だが。
「あばばばばばばば……。○△○」あば。
……ぷしゅー。
真っ白に燃え尽きるラミス姫様。
豚には全く効かず、逆にラミスの脚は砕けていた。これでは、もう走る事など出来ないだろう。
「……やはり、この豚さんは堅いですわ。」
頬に手を添え、深い溜め息を付くラミス姫様であった。
──だだだだだだだだだだ。
「この程度、走っていれば回復しますわー。」
ラミス姫様に宿る神々の力、"再生の力"はかなり便利な様である。
西の村へと向かい、疾風の如く走るラミス姫様。その道中、ラミスは今まで一人だけしか生き返らせる事が出来なかった神々の力が、新たにユリフィス少年を生き返らせる事が可能となり。今まで遠かった目標に、だんだんと近付いているのをラミスは喜んでいた。
このままの調子で頑張れば、いつかきっと目標のバラン将軍の復活を目指せる。
姉妹四人の力を合わせ、更にクリストフ将軍とレテシィア将軍、それに隊長の五人。
……そして、バラン将軍。
この公国の最大戦力を、再び揃える事が出来た時。きっとそれは公国を取り戻せる時なのだと、ラミス姫はそう信じ希望を胸に走り続けた。
……そして、ラミス姫は幾度となく挑み続けた。
────────。
「さあ、今こそ私の手で黄泉返るのです!希望の戦士達よ、今ここに!エインフェリア召還!!でも、なるべく強い人お願い致しまーす♪」
……キュイキュイ、キュイーン♪
バッチリポーズを決め、神々の力"蘇生の力"を使用するラミス姫様。
──ぱふん。
黄泉の淵から甦る新たな神の戦士、いや祖国解放の力を秘めた希望の勇者達。
──復活を果たす"剣豪"の称号を持つ、隊長ゴライアス。
ラミスはこの日、初めて剣豪である隊長の蘇生に成功したのである。
「ここは某に任せて下され、姫様ぁ。」
ゴライアス隊長は難なく廊下の兵士ことゲイオルグに勝利し、多少苦戦は強いられるものの。見事城を占領しているヘルニア兵士達を、一人で倒したのである。
新たな戦力の加入にそして圧倒するその力強さに、ラミスは笑顔で喜んだ。
「流石は"剣豪"の称号を持つ、隊長さんですわ。」
ラミスはこの長い戦いが終わり、祖国解放の日が近付いている事を肌で感じていた。




