第116話 「ただ、鎧ごとぶち抜くだけですわ」
ラミスは仕方がない、と一旦諦め。また何時もの様に、強敵との死闘に挑みに行った。
「先ずは、リンお姉様に追い付きたいですわね。」
それには先ず、あの凄腕の剣士ことゲイオスに勝利しなくてはならない。
ラミスは諦めずに挫ける事無く、何度も強敵との死闘に果敢に挑み続けて行った。
幾度と無く繰り返される強敵との死闘。何ら変わる事の無い日々。ただ同じ事の繰り返し。
そんな中。ラミスの努力に報いる様に、少しづつ変化が見え始める。
使えたり使えなかったりしていた、ミルフィーのあの風の様な攻撃魔法が、常に使える様になったのである。
詳しい原因は分からないのだが、姉ナコッタが言うにはその理由の一つとして。レベルが関係しているのではないか、と言う事らしい。
そしてラミスは蘇生の力を使い、英霊を黄泉返らせる。
……くるくるくるー♪
──キリッ。
ラミスは華麗にポーズを決める!
「さあ、今こそ甦るのです。私のエインフェリアよ!……あ、でもなるべく強い人をお願い致しますわー♪むにゃむにゃ……。」
──ぽよん。
…………。
……誰?
「うん?誰!?」
……どなたかしら?何か、違う人が出てきた。うん、ユミナさんじゃない。
ユミナ以外の人間が黄泉返り、少し動揺するラミス姫様。
……しかし、それはラミスがとてもよく知っている人物であった。またその人物も辺りをきょろきょろと見回しながら、ラミスと同じ様に驚いていた。
「あらー?ユリフィス君じゃなーい。」
ラミスはにっこりと微笑み、その人物との再開を喜んだ。
「……え、あれ?ラミスおねーさん?あれ、ここは何処?あれっ、どうして僕は……。」
頭の上に?マークが乱立して、混乱状態のユリフィス君。
「ふふふ……。久しぶりね、ユリフィス君。元気にしてたかしら?」
とりあえず、かくかくしかじか~しかのこのこの~する、ラミス姫様だが。元気どころか確実に死んでいたのは間違いなのだから、元気では無いだろう。
ある程度の事情を説明し、とりあえず牢の中から出て廊下に向かうラミスとユリフィス。
「あっ!?」
そして、廊下の兵士ことゲイオルグに気が付き驚くユリフィス少年。
「ちょっと、私はあの方と穏便に話して事を済ませて来ますわ。だから、ユリフィス君はここで大人しく待っていてね。」
……おほほほほ。
事を穏便に済ます。今のラミスにとって、それはなんらどうさの無い事なのである。
ただ単純に、ユリフィス少年に見えない速度で話して、少しお休み頂くだけなのだ。
ラミスは、ユリフィスを制止してゲイオルグの元に向かう。
「ちょっと待って下さい、ラミスおねーさん。こういう時こそ僕の出番ですよ。ここは僕に任せて、ラミスおねーさんは下がっていて下さい。」
ユリフィス君の言葉に、きょとんとした表情をするラミス姫様。
……うーん。この程度、楽勝なのですけど。
「そ、そう?でも危険よ、ユリフィス君。とっても危ないわ。」
……そうよ、危険が危ないわ。
「大丈夫ですよ、ラミスおねーさん。僕とっても強いですから。」
そう実際に、このユリフィス少年は強いのである。




