第114話 「水星は赤より青が好きですわ」
「次はミルフィーに宿る神々の名前ですが……。」
「あ、そうですわよね。リヴァイアサンかと思っていましたけれど、へ……。」
──ぐるん。
突如、ミルフィーの首が恐ろしい角度で曲がりくねり、その虚ろな瞳でラミスを凝視する。
──!?
……ビクゥ!!
「んっんーっ、可愛いドラゴンさんですわー。もう、とってもチャーミングでプリティーなドラゴンさんですわー。>_<」わー。
全力で、必死にミルフィーの頭を撫でるラミス姫様。
……なでなで。
「うふふ。0▽0」~♪
……にっこり、ミルフィー。
「で、名前はー?」
姉リンが話題を戻し、ミルフィーに宿る神々の名前を調べ始める姉ナコッタ。
「え?ええ、そうですわね。……えーと。」
『青龍』
「ええっと恐らく、セイロン。……いえセンロン、もしくはシェンロンと呼ぶのかしら?」
「んー、こちらもやはり。聞いた事も、見た事も無い神様ですわねぇ。」
「ちょっと、聞いた事があるような無いような……。」
こちらも話し合った後、姉リンの意見により名前が決定する。
命名
「龍の姿の神、青龍〈シェンロン〉。」
やはり、何処か違和感が残らないでもない。
「次はリンお姉様に宿る、神々のお名前を調べるわね。えーと。」
『白虎』
「読み方は、ビャッコ……。」
「……ビャッコ?」
「そう、ビャッコー。もしくはハクコー、いやでも。ヒャッコーやシャッコーの可能性もあるわ。」
「私は、ビャッコーがぴーんとキマシタワー♪」
ぴーんと来てしまった、三女ラミス。
「私は、ヒャッコーがいいと思いますぅ。」
思ってしまった、末女ミルフィー。
「私は、ハクコーが正解だと思うのだけど……。」
いい線行ってしまった、次女ナコッタ。
「やっぱり、シャッコーよねー。」
やってしまった、長女リン。
命名
「虎の姿の神、白虎〈シャッコー〉。」
何やら、あらぬ方向に向かってしまっている感が否めない。
「最後は、ラミスに宿った神々のお名前ね……えーと。」
『朱雀』
「なのだけれど……これが一番難しいわねぇ。読み方を一歩間違えれば、神々の怒りを買う事にもなりかねないわ。慎重に考えないと、いけないわね。」
……どういう事なのだろうか?
「……古代の文字の二文字目は、ザクなのよね。」
「……ザク?」
「ザク……。聞いた事もありませんわねぇ。」
「でも、何ザクなのかが分からないのよね。」
「……ザクなんて、沢山ありますものねぇ。」
「でも、一文字目の古代文字にヒントがあると思うのよ。一文字目の意味は、古代の言葉で"赤"を意味する言葉らしいわ。」
「……つまり、赤いザク。と、言う事ですわね。」
「候補は、シャ、シュ、シャア、シュウの何れかになるわね。」
…………。
「私は、シュだと思いますわ。」
……よーし。
「私は、シュウだと思いますぅ。」
……よーし、よし。
「そうね、私もシュウだと思うわ。」
よーし、いいよー。
「そこは、シャアじゃなーい?」
オイぃぃぃぃぃ!!
結果。
『リン』虎の姿の神、白虎〈シャッコー〉。
『ナコッタ』亀の姿の神、玄武〈ケンプファー〉。
『ラミス』鳥の姿の神、朱雀〈シャ◯ザク〉。
『ミルフィー』龍の姿の神、青龍〈シェンロン〉。
…………。
「何だか知りませんが、神様のお名前をそのままお呼びするのは少し恐れ多いですわね。」
「……私も、そう思うわ。」
……ノーコメントでお願い致します。




