第113話 「リンお姉様の言う事に間違いはございませんわ」
『リン』四神──の力、猛将の力を宿す。
「ソードマスター」ランクA レベル34
「神速の力」
風の如き速さを得る。
「剛力の力」
岩を砕き、鉄をも斬り裂く力を得る。
「補正の力」
自らの身体能力を飛躍的に上昇させ、卓越した剣術が扱える様になる。
「以上。リンお姉様に宿る神々の力は、この三つなのだけれど。この神々の力は他の力とは違い、常時発動効果があるらしいわ。」
……ふむ、常時発動。クラスソードマスターと言い、レベル34と言い。姉妹四人の中で、最強なのが納得の強さである。これで四人全員の強さと、神々の力について。かなり詳しい詳細と、新たな事実が判明した。これにより、今後の行動や作戦の幅がかなり広がる物だろう。
……しかし、謎が二つ残る。
一つは、ラミスの生き返りの力について。これは先程も言った通りかなりの謎である。何故、姉ナコッタの神々の力でも調べる事が出来ないのか。
もう一つは。何故ミルフィーの神々の力が、使える時とそうでない時があるのか。
……それとラミスにはもう一つ、気になる点があった。それは……。
「あの……。ナコッタお姉様。」
「あら、どうしたの?ラミス。」
「その……。先程から何やら神々のお名前が、少し聞き取り辛いのですけれど。……どうしてですの?」
ラミスの問いに、姉ナコッタは頬に手を添え少し困った表情をする。
「それがねぇ……。この"鑑定の力"で見る事は出来るのだけれど。古代文字過ぎて、一体どの様に発音していいのか迷ってるのよねぇ……。」
「……え?発音?」
「例えば私に宿る神は、亀の様な姿の神様なのだけど。その発音は……。」
うーん。と、悩む姉ナコッタ。そうだわ!と、メイド達に紙とペンを頼み何やら紙に書き記し始める。
「……これが、古代文字よ。」
『玄武』
それは、ラミスが見た事も無い文字だった。古代の時代に使われていた文字なのだから、誰にも読めないのは当然である。
姉ナコッタは口元に手を当て、少し考えた後話始めた。
「恐らく……ゲンブ。」
「ゲンブ?」
「そう、ゲンブファー。……いえ、ケンプフ?それとも、ケンペスト?もしかすると、ケンプファーかも知れないわね。」
…………。
「つまり、ナコッタお姉様に宿る亀の姿をした神のお名前は……。」
ゲンブファー、ケンプフ、ケンペスト、ケンプファー……。の何れかになると言う事だが。……少し待ちたまえ君達、一体ちょっと落ち着こうか。
「私は、ケンペストだと思いますわ。」
ラミスがすっと、手を上げる。
「私は、ケンプフがいいと思いますぅ。」
姉に続き、ミルフィーも意見を述べる。
「私はゲンブファーと思ったのだけれど。……どうなのかしら?」
姉ナコッタは、ゲンブファー押しの様だ。
「ケンプファーで、いいんじゃなーい?」
姉リンを見る、一同。
…………。
命名。
「亀の姿の神、玄武〈ケンプファー〉。」
……うん。何だろう、少し間違っている気がしないでもない。




