第112話 「ラミスきちんと黄泉返ってるもん、ウソなんて付いてないもん、本当に生き返ってるもん。ですわ」
姉ナコッタは瞳を閉じ、何かを懸命に探っている。
「……うーん。」
うんうん唸りながら、頭を抱えて悩んでいるナコッタお姉様。
「……やっぱり、おかしいわ。」
…………。
……?
「恐らくユミナさんが生き返ったのは、この蘇生の力だと思うのよ。……でも。」
「あら、やっぱり私の神々の力で生き返ったのですわね。私の、私の神々の力でっ。」
……どやっ。
「……ええ。それは、間違い無いと思うわ。きちんと、ここに。……ヘルニア兵士に驚いた拍子に躓き転倒し、頭部を強打。死亡したものの、神々の力によって蘇生。と、きちんと書かれていますもの。」
──!?
「えっ!?私、死んでたんですかっ?」
……はわわわわわ。
びっくり仰天のユミナお嬢さん。
……いたのね。部屋の隅っこで、メイド達と背景に徹していた一般人ユミナ。あまりの衝撃にうっかり、かじっていたクッキーを落としてしまう。後でスタッフ一同が、美味しく頂きました。
「でも死んだのに生き返って、更に時間が巻き戻るなんて……。何処にも、そんな事は書かれていないのよ。」
……?
「私の鑑定の力で幾ら調べても、何処にもそんな記載が無いわ。」
……えっ?
いや、そんな筈は無いだろう。実際、ラミスはこうやって何度も生き返っているのだから。
……?
「その蘇生の力……。とは、違いますの?」
目を閉じて、何かを考えている姉ナコッタ。恐らく神々の力である鑑定の力を使っているのだろう。
…………。
ナコッタは目を開け、少し考える。
「蘇生の力の事を、もう少し詳しく説明するわね。」
「蘇生の力」
死者を黄泉返らせる力。対象を蘇生する事が可能。ただし、術者本人には使用する事は出来ない。基本的にはどんな人間でも蘇生可能だが、一部魔力制限があり。術者本人の魔力によっては蘇生が出来ない場合もある。
「……やっぱり、蘇生は術者本人以外。と、あるわね。」
……?
「一体、どういう事なのかしら?」
実際こうして生き返っているのにも関わらず、何故か姉ナコッタの神々の力"鑑定の力"では表示されない。これは一体、どういう事なのだろうか?
いや、しかし。この蘇生の力は、神々の力による物なのは間違い無いだろう。
…………。
姉ナコッタの鑑定の力では、まだ分からないだけなのかも知れない。
……うーん。
「まっ、その内分かるでしょ。次は私の番よね。」
「そ、そうですわね。……では、気を取り直して。」
分からない物は仕方がない。神々の力なのだから……。
気を取り直し、姉リンの力を鑑定するナコッタ。




