第十五話 ラケッティア、現状維持で。
はい。やってきました。
SAWのバスルーム。
アタマを吹っ飛ばしたモレッティが立ち上がる。
ちなみにグアリーノ・〈ウィリー〉・モレッティも頭に数発撃ち込まれて死んでいる。
今回のメンバーはおれ、クレオ、トキマルだった。
「なにこれ?」
「SAWのバスルームは初めてだったな」
「ようこそ、不条理の悪夢へ。ククッ」
「ここで手錠につながれた状態で、お互いの報告をきくのが日課なんだ」
「手錠ってこれのこと?」
「外しちまったのかよ?」
「忍びなめないでよ」
さて、お互いの報告だが、まず戦場チームはまた幼女を四人見つけて、城に送った。
弐号営業社畜たちはドラゴン戦車をカツアゲされた上にイスラントが殺されかけた。
「その秘密警察のトップがエルネストによく似ていてね。クックック」
「書類偽造が死ぬほど好きなのか?」
「見た目の問題さ。そっちは?」
「カンパニーが刺客をよこした。七名。そいつらつぶれたトマトになったよ。おかげで全国トマト会議の参加者だって嘘つくハメになった。セールスでは誰でも火炎放射器になれる外套を一セット売った。金貨六百枚。同じものをあと五着頼みたいけど、Tポイント足りる?」
「足りますね。避難してきた幼女たちがヴォンモさんを尊い尊いと崇めています」
「ヴォンモ、どんな感じ?」
「いいお姉さんになっていますよ」
「あ、いま、おれからTポイント発生しなかった?」
「発生しました」
「何ポイント?」
「十七ポイントです」
「それってどのくらい?」
「大陸間弾道ミサイルが手に入るくらいです」
「そんなに!?」
「嘘です。悪魔ジョークです」
「じゃあ、本当は?」
「攻城兵器用の最高級鉄釘一本です」
「低けりゃ低いでへこむな、これ」
「よかったじゃん、頭領。最高級の釘になれて」
「別におれが釘になるって話じゃない。ああ、それといま、おれはエビにハマっている」
つまり、こうだ。
カンパニーの殺し屋どもに襲われる前、葦がいい感じに生い茂っている川辺や沼で小エビの独占漁業権をゲット。
早速、小エビをバケツ一杯もらって、首都でちょっくら商いしてみようと思ったところで外道どもの襲撃を受けた。
小エビの入ったバケツはひっくり返って、パー。
「面白くねえよな」
「頭領。そんなことするなら、食料を直接確保して売ったら?」
「そんなことしても没収されるのがオチだ。それにこんな小さなエビが銀貨一枚だぞ」
「一日で金貨六百枚稼いだお方の言葉とは思えないね。クックック」
「まあ、現状維持だな。こっちは火炎外套を五着。そっちはドラゴン戦車にカネを払ってもらえ。戦場から幼女を送れ。以上、じゃあ、明日も悪党らしくクソたれてやろうぜ」




