第十一話 ラケッティア、膝枕の尊きよ。
「焼夷兵器製造のため、司令の脳波をトレースします」
「あっ、はい」
現在、どんな感じかというとですね、海を眺めながら、フレイに膝枕してもらってます。
そして、アタマをなでなで。
「あのー」
「なんですか?」
「おれとしては役得でいいんだけど。いままで脳みそトレースされたときって、いつの間にやら、トレースされてたから」
「それが何か?」
「いえ、何でもないです」
……。
あったけえ。
フレイはいつもSFサイバーパンク風戦闘美少女みたいなぴっちりとしたスーツにいろいろちょっとした機械がついてるのを着てる。
で、その太腿なんですが、これがとても暖かい。
ひょっとして膝枕の温度調節機能とかあるのかな?
「司令」
「うん」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます? ちょっと待って、おれ、何かありがとうって言われることしたっけ? 道路舗装労働者ギルドの利権あげたとか」
「忘れてほしい。来ないでほしい。そう言いました。でも――本当は来てほしかった。忘れられるのが怖かった」
「あー」
フレイ宇宙に連れ去られ事件。
「あれは、別にお礼言われるほどのことじゃないよ」
「司令はお優しいですね。だから、きっと――今回のことも優しく解決すると信じています」
「おれのやってること、戦争に寄生する害虫よ?」
ぴとっ。
今どうなっているかというとフレイがおれの頭を抱え込むように抱きかかえています胸が当たってます暖かいですなでなでも続いてますこれなに?めっちゃあったかいですあったかいですやわらかいですやわやややややわらかいです巨乳至上主義者に言いたいです大きかろうが小さかろうが乳は乳おっぱいはおっぱいで殺すぞこのやろ!きのこたけのこ戦争並みの愚劣な戦争はやめて女の子に膝枕してもらえってそうか膝枕してもらえないから戦争してるのかアハハハハハ
ちゅっ。
前髪をちょっとかきあげられて、額にキスされました。
「せめて夢のなかだけでも」
会いに行こう。行かなアカン。




