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ラケッティア! ~異世界ゴッドファーザー繁盛記~  作者: 実茂 譲
ボストニア=セブニア二重王国 マッチ・ポンプ・セールス編
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第二話 ラケッティア、イカれたメンバーを紹介するぜ。

 死の商人やります。


 戦争する両陣営のあいだを反復横跳びして武器を売って儲ける悪の極みです。


 ただ、やる商売がデカいので、連れていく人数も多くなるし、役割ごとに部隊を分ける必要があります。


 まずボストニア王国に武器を売る営業社畜チーム壱号。


 これはおれとマリスとアレンカとツィーヌとジルヴァ。


 おいおいおい、ヴォンモがいないだろ! お前は社畜じゃなくて鬼畜だ!って義憤するよい子のパンダのみんながいるだろうが、ヴォンモは別チームに欠かせないキーマンならぬキーガールだ。

 あとで説明する。


 次にセブニア王国に武器を売る営業型社畜チーム弐号。


 これはクレオとイスラント。


 なんで、このふたりなのかって?


 いや、面白そうだなって思って。

 それにこのふたりは兵器のスペックを覚えるのが得意みたいだし、えぐい武器はクレオが、華麗な武器はイスラントがプレゼンして、営業効果は四倍だぞ四倍。


 ジャックを入れないのは何でだ?って、よい子のパンダのみんなは思うかもしれないけど、ジャックを連れていくとバーテンがアスバーリだけになってしまう。


 まだアスバーリはバーテンとして未熟だから、ジャックが残らないと〈モビィ・ディック〉が立ちゆかない。


 ちなみにバーで出す軽い食べ物は出待ち幽霊がつくるってさ。

 そういえば、おれが生まれるはるか以前に『居酒屋ゆうれい』という映画があったそうだが。


「出待ち幽霊、包丁とか持てるの?」


「ポルターガイスト的な力で何とかなるねん」


「得意料理は?」


「雷こんにゃくと鯛の皮の酢味噌あえ」


「ほんとに居酒屋じゃんか」


 雷こんにゃくと鯛皮の酢味噌、食いたくなってきた。

 もうボストニア王国まで三時間なのに。

 食ってから出発すればよかった。


 さて、ボストニアとセブニアの両国にセールスかけるチームがこのようにふたつ。


 そして、三つ目は戦場に放り込むチームだ。

 こいつらに何を期待するかというと、戦場にあるカンパニーが売った兵器をぶっ壊す。


 もう、カンパニーから兵器は買わん!と言っちゃうまで叩き壊させる。


 この不運なチームに放り込まれたのはトキマルとシャンガレオンだ。


「諸君には忍術と狙撃術の限りを尽くして、頑張ってもらいたい!」


「ふざけるな! 待遇改善を要求する!」


「労働組合みたいなこと言いやがって。散髪料と称して小銭巻き上げるぞ、こらぁ!」 


 すると、おずおずとシップが、


「ボクも行きます」


「え?」


「対兵器戦闘でしたら、ボクも得意です」


「いやー、でも」


「お願いします。お役に立ちたいんです」


 と、いうわけでトキマルとシャンガレオンとシップの戦場社畜チームが決まりました。


 で、三つのチームが出たところで、最重要の四つ目。

 兵器工場チーム。ちょっと知恵ついたいい方すると、工廠チーム。


 モレッティの悪夢チャンネルとフレイの亜空間を組み合わせてつくった死の四次元ポケット。


 これを営業社畜壱号と弐号から等距離の位置にある無人の廃墟となった古城に待機。


 しかし、フレイの亜空間リソースは無限ではない。


 では、兵器の材料はどうするのか。


 鉄? 木材? いいえ、(尊い)ポイントです。


 つまり、Tポイントにより更なる進化をするモレッティの悪夢にフレイの亜空間をジョイントすることによって、ヴォンモを尊いと思うだけで、何でもつくれる。


「ねえ、フレイ。マジで何でもつくれる?」


「なんでもつくれます、司令」


「ねえ、モレッティ。Tポイントでいいの?」


「Tポイントでいいです」


 これはあれだね。チートだね。


 でもさ、おれ、異世界転移主人公なんだよ?


 魔王を素手で殺せるとか、ハーレム百人斬りとか、そういうのないんだよ?


 毎日、確定申告の百倍面倒なナンバーズの帳簿つけて、隙あらば『ラケッティア! ~異世界ゴッドファーザー繁盛記~』をBL小説にしようとするヨシュアとリサークの攻撃をかいくぐり、今日の晩御飯をどうしようか考えながら、爆弾エルフの爆風を伏せてかわし、シマに粗悪なヤクを流したとかいうデル・ロゴス商会とケレルマン商会のいざこざをゴッドファーザー・モードで仲直りさせたり……まあ、これはゴッドファーザーらしくていいんだけど、とにかく、おれ、休みなしで働いてるんだよ。


 だったら、ここでチート能力の恩恵を受けてもいいですよね?

 好きな兵器を好きなだけ、コツコツ貯めたTポイントで作ってもいいよね?


 もちろん、世界観を大きく逸脱する兵器は売らないよ?


 ただ、問題はTポイントをどうやって貯めるかだ。


 おれはボストニアでセールスしないといけない。


「そこで愛に生きる小売王の登場ですよ」


「黙れ、自販機。ドヤ顔するな」


 もし、おれが地獄に落ちるとしたら、不法賭博や殺人教唆じゃなくて、このために落ちる。


「いいか、おさわりなしだぞ。見るだけだぞ」


「でも、据え膳食わぬは、ですよね?」


「てめえ、ぶっ壊すぞ」


「分かってますよ。ヴォンモちゅわんを尊いと思えばいいんですよね。そんなのするなっていうのが無理ですよ。古城をひとり遊ぶ幼女……」


 ぴこん。


「あ、司令。いま、Tポイントが三ポイント貯まりました」


「すげえな。Tポイント」


 と、まあ、こんな具合です。


 それと、遊撃部隊にクリストフ。

 武器を売って儲けるクズどもからかっぱらうだけかっぱらいます。


 もちろん、クルス・ファミリーからもかっぱらう。


 そうしないと、誰かが、おい、なんであいつらだけノーマークなんだ?って言って、集中攻撃される。

 死の商人が戦いに巻き込まれたらアカンわけですよ。


 死の商人は安全なところで死を売って初めての死の商人なんですよ。


 と、まあ、こんなところでスタートです。


 ああ、あと、ウェティアとフェリスを連れてこなかったのはおれの優しさです。

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― 新着の感想 ―
[一言] これはなかなかの大所帯…派手な感じになりそうですねぇ。 ところで出待ち幽霊ってファミリーの正式な構成員なんですか?それとも客分的な感じですか?
[一言] ヴォンモの尊さは無限なので、生産量もまた無限ですね。
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