第十二話 聞き込み、家主の話。
はあ。
確かにディアスさんはうちの店子です。
借り始めたのは去年の十一月ごろ。
よく覚えてますよ。
このあたりは魔法使いがたくさん住んでるでしょ?
ディアスさんは夜中に奇声を上げたり、爆発したりしませんでしたからね。
いい店子です。
それがあんなことになって。残念なことです。
菜園?
ディアスさんは菜園は借りていませんよ。
そもそもわたしも貸していませんし持ってもいません。
このあたりの畑や庭で育てるのは魔術の材料になる怪しげな薬草ですよ。
冬ニンジンなんて、まともな野菜を育てたりしません。
紙幣騒動のころのディアスさん?
えーと。治安判事の助手さんに他人の商売をあれこれ言うのは気が引けるんですけど、でも、もうご本人も亡くなっていることですし。うん、話しても大丈夫そうですね。
ディアスさん、盗品売買のようなことをしていたようです。
扱っていたものが何かは具体的には知りませんけど。
でも、かなり稼いでいたようですよ。
お家賃はもう半年先の分までもらってます。
ひょっとすると、宝石を取り扱っていたのかもしれませんね。
十日前くらい前、赤い石のはまった指輪を誰かに渡しているのを見たんです。
そういう立ち聞きみたいなことはしたくなかったんですけど。
相手ですか?
そうですね。盗品に関わるような人には見えなかったです。
若くてハンサムで、貴族さまみたいな方です。
ウンベルト二世伯爵?
どうでしょう。似てる気もしますし、似てない気もしますね。
わたしははっきり伯爵の姿を見たことがないんです。
あの人たちをじっと眺めたりしたら、大変です。
わたし、八分の一、エルフの血を引いているんです。
あの人間至上主義の人から見ると、わたしは泥水を頭から浴びせられても仕方がない存在らしいですよ。
嫌な人たちです。
ディアスさんの名前ですか?
一度きいたんですけど、えーと。
デゼルヴァロ? ああ、そんな名前でした。
デゼルヴォロ? そう言われると、そっちが正しいような。
ちょっと分からないです。
娘さんにきいてみたら、どうですか?
娘さんはまだ、あの家に住んでいますから。
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エビ漁師、死体の指輪を売る
現在 ウンベルト二世出かける
1日後 呪術師〈まわる蛇〉死体で発見
→死んだ時刻は午前三時
→錆びた針金を飲まされて殺害
→最後に会ったのは青い帽子の男
貸出娘、指輪を所持
デゼルヴァロ・ディアス=デゼルヴォロ・ディアス?




