表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
438/442

7巻発売記念SSーお祭り①

☆本日7巻発売記念SSです☆

 ミーミユ湖の畔にある皇家所有の別荘で、まさか実の姉に湖に突き落とされるなんてな。俺ってとんでもなく、いわくつきの皇子に転生したんじゃないか? と、少し落ち込んだりもしたのだけど。

 その別荘から帝城に帰ってきて、陽が暮れるのがほんの少しだけ早くなったかな~なんて思っていた頃だ。


「え、おまちゅり?」

「そうですよ。帝都でお祭りがあるんです」

「へえ~、しりゃなかった」

「このお祭りが終わると夏季も終わりですね」


 四阿でりんごジュースを飲んでいると、ニルが教えてくれた。お祭りかぁ、ちょっと行ってみたい。


「ニル様、そんなことを殿下に言ったら駄目ッス」

「ふふふふ」


 ニルが意味深に笑った。これは分かっていて言ってるよね。なら期待に応えないと!


「ねえ、りゅか」

「駄目ッス」

「えー、まだなにもいってないのに」

「だってどうせお祭りに行きたいとか言うんでしょう?」

「りゃって、いきたい」

「駄目ッス。クーファル殿下にまた叱られるッスよ」

「ばりぇないようにいこう」

「いや、聞いてましたか? 駄目ッス。てか、バレないようにって何ッスか!? 行くのがもう決まりッスか!?」

「ふふふふ」

「ニル様!」

「私は黙ってますね」

「うん、にりゅ。けりょ、にりゅもいっしょにいこう!」

「私もですか!?」

「しょうしょう。いっしょにいこう!」

「殿下! だから駄目ッス!」


 リュカがいくら言っても、そんなことは気にしない。だって行きたいもの。

 前世では仕事が忙しくてなかなか行けなかった。それよりも院内で長期入院の子供たちと一緒にお祭りみたいなイベントをしてたっけ。

 自分の息子たちもちびっ子の頃に、何度か連れて行った。日本のお祭りといえば、やっぱ屋台だよな。焼きそばにたこ焼き、りんご飴に綿菓子。最後に花火なんて上がったりして。


「あら、三人で何の相談なの?」


 母が優雅にやって来た。昼間はまだ日差しが強いから、母付きの侍女が日傘を差している。

 いつ見ても、キラキラしている母だ。それに元気でバイタリティに溢れているように感じる。結構お転婆さんだと思うんだ。元侯爵令嬢なのにさ。


「かあしゃま、おまちゅりがありゅって、しってましたか?」

「帝都のでしょう? あら、リリは知らなかったかしら?」

「しりゃなかったれしゅ」

「屋台がたくさん出るわよ。婚姻する前は、一家総出で毎年お祭りに参加していたわ」


 一家総出だって。きっと参加というよりも、何かしていたのだろう。母の実家はボランティア活動をよくしているらしいし。


「みんなで子供たちにクッキーやマドレーヌを無料で配るの。それを大量に焼くから前日から大忙しだったわ」

「へえ~! しゅごいれしゅ!」

「大人にはワインを樽で差し入れしたりね。今年もするのじゃないかしら?」


 ほうほう、それは凄い。とっても良いタイミングじゃないか。


「かあしゃま、ボクもしたいれしゅ!」

「あら、そう? じゃあ今年はリリも参加しましょうか」

「エイル様、良いですね!」

「いやいや、エイル様! ニル様まで、何言ってんッスか!」


 ほらほら、母とニルは行く気だよ。リュカも諦めな。クーファルにバレなきゃいいんだ。


「絶対にバレるッスよ。また魔王の降臨が決定ッス」


 魔王の降臨ってなんだよ。確かに怖いけど。


「リリ、いらっしゃい」


 母に呼ばれて、隣に座ると膝に乗せられフワリと抱きしめられた。おや、どうした?


「元気そうで安心したわ」


 母は別邸での出来事で俺を心配してくれていた。確かに直後は泣いてたけど、クーファルが来て慰めてくれた。

 怒ると怖いクーファルだけど、いつもはフォローの人だ。兄弟みんなのことを、いつもよく気にかけてくれている。


「じゃあ、陛下に言って警護を出してもらわなきゃね」

「え……」


 そんな大っぴらに行くのか? 俺はこっそり行くつもりだったのに。


「リリ、正々堂々とよ」


 そう言ってパチンとウインクをした。お、おう、母ったら肝が据わっている。大胆すぎる。俺はそこまでできない。


「ふふふ、リリはよくクーファル殿下に叱られているでしょう? 堂々となさいな」

「ええー……」


 お転婆なだけじゃなく、悪戯っ子だったらしい。しかも堂々とだ。俺とはレベルが違うぞ。

 母は言い出したら聞かない。おまけに行動が早い。


「早速陛下に相談しましょうね」


 そう言ったかと思ったら、もう歩いて行った。あれは本気だよ? どうする?


「ありゃりゃ」

「ふふふ、エイル様がご一緒なら叱られませんね」

「ニル様、甘いッス」

「あら、そうかしら?」

「はい。クーファル殿下の魔王化を舐めたら駄目ッス」


 なんだよ、それ。クーファルは一体どんな奴なんだってことになるぞ。


「りゅか、もうあきりゃめなきゃね」

「仕方ないッス。エイル様には敵わないッスから」


 おやおや、リュカもそう思う? 奇遇だな、俺もそう思う。だって誰も母を止められない。

 そうは言っても、そんなに大袈裟なことにはならないだろうと思っていたんだ。だって街に出るのだから、まさか騎士団を出したりなんてしないだろう。なんて思っていた時もあったよね。


お読みいただき有難うございます!

応援して下さる方、続けて読んで下さる方は是非とも下部↓の☆マークで評価をして頂けると嬉しいです!

宜しくお願いします。


とうとう今日発売になりました!7巻が!

もうご存じの方もおられるかも知れませんが、7巻で完結しませんでした!(^◇^;)

書籍をご購入してくださった方は、あとがきをご覧ください。

完結しなかったので、めっちゃ加筆してます。それはもう、書き下ろしくらいに!( ߹ㅁ߹)

記念SSは毎日一話投稿で今のところ5日分あります。終わりが見えない!どうしましょう!

気楽に読んでいただけると嬉しいです。

今月はリリのコミックも発売になります!

待望の1巻です。書影を活動報告に投稿してますのでよろしくお願いします!


口絵の紹介を!↓

初代皇帝、めっちゃカッコいいと思いませんか?いつもnyanya様が期待以上のイラストを上げてくださいます。嬉しい!

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
面白かったです。リリ7巻購入しました。楽しみにしています。コミック1巻も楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ