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終末は突然に  作者: SMILE
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コミュニティ

 車は静岡に向かっていた。

「やっと富士宮の看板が見えてきた。ようやく静岡だな。樹海の自殺者がまさかゾンビになるなんて思いもよらなかったよ。」

「そうですね。人が少ない方へ向かったのに奴等に囲まれるなんてまさかの悪夢でした。」

 2人はゾンビの集団を思いだしテンションが下がる。

「相談なんですが、皆をこっちの車に全員乗せようかと思いまして。トレーラーに居てもらってもよいのですが、話をする度に止まらなきゃだし、何かあった時に万が一トレーラーを置いていくのにも乗り降りに時間がかかりますし、」

「確かにね。樹海付近で襲われた時も連携が取れず大変だったし。」

「まあそもそも車内が汚いから人が乗れないのが問題ですけどね。」

 そう言って広一はルームミラー越しに車内を見た。

 汚いと言うか荷物が多い。工具や傾向缶などがそうだ。

「あの道の駅で車内を片付けながら今後の対策でもするか。」

 そう言って孝夫は道の駅の看板を指差した。

「急いで片付けますので。」

 そう言うと道の駅に入って行った。

 道の駅には生存者は居なかった。いるのは奴等だけだ。

 奴等がいない離れた方に車を止めトレーラーに向かった。

「皆、これから車の方に乗り換えてもらうから支度して。車内は6人だとそこまで荷物は入らないから手荷物は最低限で、後はトレーラーに入れといて。」

「ここで休憩?」

「違う違う、荷物整理してちょっと打合せしたらすぐ出発するよ。」

 そう言うと広一は跳ね上げてた3列目のシートを出すために荷物を一旦全部出し始めた。

「父さん、女子はこういうのって時間かかるから、終わるまで奴等が来るのを防いでいよっか?」

 早々に荷物を片付けた栄太が言った。

「はは、たまにはお前は良い事言うな。」

 そう言って孝夫と栄太は武器を構える。道の駅の建物から人影が何体か出てきた。もちろん生存者ではない。

「頑張るぞ!」

 そう言って孝夫は栄太の肩を叩いた。栄太は無言で頷いた。

 奴等が来た。

「行くぞ!」

 そう言って栄太は刀を顔面に向け突き刺す。刺さりながらも尚も栄太に向かって行く。

「ぬ、抜けない!」

「くそ!」

 刀が刺さったゾンビを真横から孝夫が勢いよく斧で切った。

「大丈夫か!?」

「父さんありがと。」

「安心するなまだまだ来るぞ!」

「今度は一発で仕止める!」

 そう言ってゾンビの首を跳ねた。

「うえ・・・首だけでこいつ動いてる。」

「やはり、話の聞いた脳を殺らないとダメなんだな」

 孝夫はゾンビの頭を斧でかち割った。

 その時後ろで声が聞こえた。

「2人共、準備OKです。ありがとうございました。早く乗って下さい。」

「わかった!」

 そう言うと、2人は後ろに乗り込んだ。

「奴等が多くて打合せ所じゃなかったですね。」

「広一さん、道の駅の前にある地図を最後に確認しないか?何か次へのヒントがあるかも?」

「時間は余り無いですが確認はしていきますか?」

 車はゾンビを数体跳ねながら進んで行き地図の前に着いた。車内越しに確認する。

「ここはここだから・・・えーと・・・ここならどうだろう?」

 広一は1人でぼそぼそ呟いてた。

「広一早く!奴等に囲まれる!」

 ゾンビが道の駅の駅の建物から以外にも周りから来てどんどん増えてきた。

「広一!」

「あ、わかった。すまない。出発するよ。」

 車を走り出させた。

「葵が船を運転出来るからさ、やっぱり船に行きたいと思って。」

 隣にいた葵に話しかけた。

「茨城じゃ失敗したしね。」

「あの時は先に人がいたからね。」

「こっちは大丈夫かしら?」

「船があれば、伊豆諸島にでも逃げようかと。上手く行くかわからないけど・・・」

「船乗るの!?」

「栄太君どうした?」

「おれ、船乗った事ないんだ。」

「はは、じゃあ楽しみだね。」

「祥子姉も乗った事無いよね。」

「うるさい!」

 とても仲が良さそうだ。

「では伊豆半島方面へ行ってみます。」

 皆納得した返事をした。

「ガソリンスタンドがあるからちょっと寄ってみよう。」

 車をスタンドへ走らす。

「ゾンビがここら辺余りいない気がする。」

「そう?いない事は良い事じゃない?」

「そうだけど。」

 スタンドに着いて皆降りた時だった。

「動くな!」

 声がした方を振り向く。

「お前ら手を上げろ!」

 人影が3つ程見えた。顔はバンダナ等を使っているのか判断はつかない。声からすると男性のようだ。手には銃を構えていた。

「待ってくれ!俺らは危ないやつじゃない!」

 手を上げながら話かけた。

「黙ってろ!ここは俺らのエリアだ!早く立ち去れ!」

「エリア?他にも誰かいるのか?」

「お前何も知らないのか?ちょっと待ってろ。銃は構えたままにしてろ!」

 そう言って手に持った無線で誰かと話し出した。

「はい、自分です。・・・え?はい、警備中に生存者に合流しまして・・・こちらの事は何も知らなそうです・・・前に来た野盗達とは違う様子で。え、はい、聞いてみます。」

「お前ら何処から来た?」

「自分達は山梨から来た。静岡には来たばかりだ。」

「山梨から来たと・・・はい、女子供もいますし多分害はないかと思いますが、はい連れて行きます。」

「お前ら悪かったな。手を下ろして構わない。最近野盗のグループに襲われてね。皆ピリピリしているんだ。もしまだ行き先を決めてなかったら俺らの所に来るかい?」

「ちょっと待って下さい。」


「どうするの?」

「罠かもよ?」

「とりあえず断る理由もないですし。」

「とりあえず今日はもう昼も過ぎてるし。無理に進むんで夜になるよりも、一泊だけさせてもらうってのはどーかな?」

「そうですね。どちらにせよこの空気、同行するしか無さそうですし。」


「話しは決まったか?」

「はい、ではお邪魔させて頂きます。」

「そうか、じゃあついてこい。」

 スタンドの死角から彼等はの車が出てきた。それについていく。

「大丈夫かしら?」

「どちらにせよここらの地域の情報も欲しいし仕方ないよ。」

 2台はしばらく進む。やがてバスで道が塞がれた場所に出た。何やら向こうの車で無線で話しているのが見えたかと思うと、バスのエンジンがかかり、動き出した。その間所を2台は進む、バスを通りすぎた所でまた2人居た。そしてまたバスはまた元居た場所にバックで戻っていく。

 そのまま徐行で進んで行くと何人もの人が道を歩いているのが見えた。子供もいる。

「このグループはこんなに多くの生存者がいるのか?」

「そう見たいね。久々に生きた人間を沢山見てる気がするわ。」

「ホント。」

 どうやら彼らは1本の通りの守りを固めて居住区を作っていたようだった。やがて一際目立つ大きな家の前で車が止まる。前にいた人物から「降りろ」という、ジェスチャーが見えた。

「到着したらしい。降りてみよう。」

「おおっと、よそ者は武器を持たないでくれ、念の為だ。一般人の人が不安になるからな。」

 広一達は車内に武器を置いた。

「じゃあ行くぞ、ここの代表だ。元はこの町の市長だった人物だ。」

 扉を開け中に入って行く。やがてある部屋の前ついた。

「失礼します。先程無線で話した人物を連れてきました。」

「わかった、入れ。」

 隣を開け中に入った。奥には年配の男性が1人だけだった。

「横田さん、連れてきました。」

「ご苦労様。先程は失礼したみたいね、申し訳ない。皆前に野盗にやられてイライラしてるんだよ。君達は何処から来たのかな?」

 そう言われ今までの経緯を話した。

「そうかやはり何処も大変そうだね。ここもね、ここまで安全にするのに苦労したよ。」

「そうですね、生存者が道を歩いているのなんて久々み見ました。」

「この家を含め10件ある通りを封鎖したんだ。奴等は何処で生きた人間を探しだすのか知らないけど、バリケード何てすぐに破られたりで中々上手くいかなかったけど、バスを手に入れたからそれで道路を封鎖したんだ。流石に大型バスは簡単には倒せないみたいでさ、それでやっと今の状態を手に入れたって訳。」

「今ここには何人いるのですか?」

「子供含め、非戦闘員の住民は40人で、警備員やここにいない探査員も含めたら50人は居るハズだよ。」

「そんなにいたんですね。」

「そうだね、皆で助けあっているよ。そいえば、行き先は決まっているのか?」

「はい、実はまだなんです。伊豆半島のが南は海だから北から来るのを警戒すれば良いかも?って考えのもと来ました。」

「私達も始めはそう思ったんだけど、山で奴等が出てくるんだ。出てくると言うか潜んでいるんだ。体力が無尽蔵なのか山なんてお構い無しみたいで。近隣の生存者はやられてしまったみたいで結構な数の奴等が半島にいるよ。多分行かない方が安全かも知れないよ。」

「とりあえず一泊だけしたら出ていく予定でいますので良いでしょうか?」

「構わないよ。」

「寝るのはトレーラーで大丈夫ですので。」

「まあゆっくりしていってくれ。」

「はい、失礼します。」

 最後に挨拶をして部屋を出た。

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