籠城
「出来たら立て籠りなんてしたくなかったんだけどな。」
「え?」
「今までスーパーとか色々見てきただろ?奴等生きた人間を探し当てて集まってくる習性があるみたいだし。」
「そうね、でも集まる前に減らしていけば良いじゃない。」
そう言うとボウガンを構えて見せた。
「ホント逞しくなったな。始めの頃とは大違いだ。」
「広一さん怪我してるし私頑張らないとじゃない?」
「そりゃどーも。」
この建物にはいってから3日がたった。相変わらずゾンビは毎日集まってくる。(確かに集団になる前に仕留めれば囲まれる事は無いか。スーパーとかだと完全に密室になるからどんどん増えてったって事か?)色々考えを巡らせた。
「そいえば、ボウガンの矢が先が欠けたり何本か曲がったりしてしまってるの。予備も何処に置いてあるかわからないし不安。」
「ホントだ。確かに。そいえば自分の鉈も血で錆びてきてるし。バールも曲がって来てる。新しい武器を調達しないとまずそうだな。」
「どんな店に置いてあるかもわからないし。とりあえず大事に使わないと。」
「こういう時にネットを見れればすぐわかるのにね。」
「何か手はないかな?」
ふと思い出した。昔は絶対あったあれが。
「あれがあるじゃん。」
「あれって?」
「公衆電話の所に置いてあった電話帳だよ!」
「あ!でもここら辺にあったかしら?」
「今すぐじゃなくても良いんだよ。途中あれば取りに行けば良いんだ。そうすればショップを探して入ればよいんだよ。武器がダメになる前に探せればよいけれど。」
「そうね。武器が無くなると今となると不安だわ。」
「傷が治ったら出発しよう。」
そう言って立ち上がったが痛みで顔が歪んだ。
「治ったらね。」
彼女の笑顔が逆に怖かった。




