一時の休憩
広一は目が覚めた。全身の傷が熱を持っていた。
「痛っ!」
そう言って起きたら何も着ていない事に気が付いた。傍らには寝ている彼女が見えた。
「・・・!え?何これ?」
理解が出来なかった。(なんだ?)彼女が目を覚ます。
「起きました?大丈夫ですか?服は傷を見るのに脱がさせて貰いましたから。」
そう言って頬をあからめた。
「何もしてないですから!手当てしただけです!」
よくよく見ると身体には包帯が巻いてある。
「君がやってくれたのか?」
「はい。」
「まだ俺は奴等にはなっていないようだな。助かったんだ。」
そう言い深い溜め息を吐いた。
「まだ傷が治ってないんだから安静にして下さい。」
「奴等は!?」
「大丈夫です。近くのは退治しましたら。」
彼女は説明した。どうやら、別荘よりもトレーラーにゾンビは集まるらしい。2階からボウガンで狙い、倒したらボウガンの矢を拾いに行き、トレーラーの中の荷物を取りに行ってたとの事だった。
「ちょっとの間に逞しくなったね。」
「だって私がやらなきゃ・・・でしょ?それより何か着てもらっても良いですか?目のやり場に困ります。」
「えー、自分で脱がせたのに。」
「あの時とは状況違いますもん。」
広一は服が置いてある車の方に歩いて行った。
車を開け着替える。車両を見ると所々ぶつかってヘコんでいた。
「あの時ホントもうダメかと思ったよ。テレビのヒーローとかよくあんな場面に遭遇しても平気でいられるよな。もうあんな行為はゴメンだな。思い出しただけでブルッちゃう。」
着替え終わり彼女の方へ向かう。
「着替えて来たよ。怪我の手当てありがとね。後助けに来てくれて悪かった。」
「だって死んじゃうかと思った。こんな世界でまた1人は嫌だったし。」
葵も思い出して泣き出してしまったようだ。
「泣かないでくれ。大丈夫死なないように心掛けるから。」
「死なないように心掛けるって、なんか日本語おかしくないですか?」
「そうか?」
彼女は少し笑った。泣き止んだようだった。
「あ、ここ、水と火が使えるんですよ。コーヒーいれますね。」
キッチンに向かって行った。
「とりあえず傷が治るまで外に動かない方が良いかな?とっさの動きが出来なそうだ。」
葵がコーヒーを持ってきた。
「お待たせ。」
「ありがと。あのさ、大変もうしわけないんだけど、俺の傷が治るまでここにいても大丈夫かな?こんなんじゃ逆に足手まといになりそうだ。」
「広一さんが良いなら大丈夫よ。私が守ってあげる。」
「はは、心強い御言葉ありがと。」
コーヒーを飲み終わった広一は使わない家具を使ってバリケードを作り始めた。




